LUXMAN M-2000
¥225,000(1975年12月発売)
解説
M-4000の姉妹機として発表されたステレオパワーアンプ。
メインアンプ部は2段差動増幅回路を用いた全段直結ピュア・コンプリメンタリーOCL方式、パラレル・プッシュプル接続の出力回路で構成されています。
出力段には大出力用パワートランジスタを4個用いたパラレル・プッシュプル構成を採用しており、各トランジスタのhfe-Ic特性のリニアリティが優れた部分を使って大出力時から小出力時まで低歪率で安定した動作を可能にしています。
また、A級動作のプリドライブ段とB級動作の出力段の間にエミッターフォロアが設けられており、スピーカー負荷によるインピーダンスの変動がプリドライブ段に及ぶことで歪率特性が悪化するのを防ぐとともに、プリドライブ段の高域における負荷条件を改善しています。さらに、要所要所に定電流回路を配するとともに、プリドライブ段にはfT(高域遮断周波数)が高く、Cob(コレクター出力容量)の少ないトランジスタを採用するなどによって、軽い位相補正を施すだけで全帯域にわたる安定した低歪率ドライブを可能にしています。
電源部は、左右チャンネルの出力段に供給する電源回路を別系統とするとともに2個の±2電源用電解コンデンサー(10,000μFx2)を組合せ、さらにプリドライバー段用の電源を完全に定電圧化しています。これにより左右チャンネル間の干渉による歪の発生を防ぎ、AC電源電圧の変動やパワー部の電流変動の影響を排除しています。
保護回路には、スピーカー端子に±3V以上の直流電圧が発生した場合にスピーカーシステムを切り離して保護するDCドリフト検出回路を搭載しています。
また、パワートランジスタが破壊されるような過大電流が流れた場合に電子的に電流を抑圧してASO領域にとどめておき、設定した抑圧時間以上に継続したときのみヒューズで電流を切断する異常電流検出回路を備えています。
入力回路には、レベルセット用として左右チャンネル別々に高級アッテネーターと同型の1dBステップ精密型ディテントボリュームを採用しています。
また、エミッターフォロア回路をメインアンプ回路の前に設けることでコントロールアンプとメインアンプ回路が両方とも最良の状態で動作するようにしています。
平均レベル表示の大型VUメーターや、瞬間的なピーク値を表示するLEDピークインジケーターを搭載しています。
また、0dB~-10dBの出力表示感度切換や出力表示OFFスイッチを備えています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
連続実効出力 | 120W+120W(8Ω、両ch動作/片ch動作とも、20Hz~20kHz) |
全高調波歪率 | 0.02%以下(8Ω、120W、20Hz~20kHz) |
混変調歪率 | 0.02%以下(8Ω、120W、60Hz:7kHz=4:1) |
周波数特性 | 5Hz~100kHz -1dB以内 |
出力帯域幅 | 5Hz~50kHz -3dB(0.05%) |
入力感度/インピーダンス | 800mV/50kΩ |
SN比 | 100dB以上 |
残留雑音 | 0.2mV以下 |
ダンピングファクター | 100(8Ω) |
付属装置 | 出力表示用VUメーター&ピークインジケーター 出力表示感度切換スイッチ 出力表示ON-OFFスイッチ 左右チャンネル独立型入力レベルセット(1dBステップ、22ポイント) |
保護回路 | スピーカー端子DCドリフト検出によるスピーカー保護回路 (保護回路動作指示用ランプ付き) 渦電流検出によるアンプ保護回路 |
使用半導体 | トランジスタ:102個 ツェナーダイオード:5個 バリスタ:8個 ダイオード:74個 LED:15個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 55W(無信号時) 450W(8Ω、両ch動作、定格出力時) |
外形寸法 | 幅485x高さ175x奥行295mm |
重量 | 18kg |