
LUXMAN M-12
¥150,000(1977年9月発売)
解説
薄型設計のステレオパワーアンプ。
出力段にはパラレルプッシュプル接続を採用しています。
パラレルプッシュプル方式はトランジスタ1個あたりの電流が小さく設定できるため、優れた広域特性が得られると共に、電流に対するリニアリティの向上が図れます。また、Pcが大きくとれるなどの特長も持っています。M-12では出力段に特にスイッチングスピードの速いトランジスタを厳選して使用すると共に、ABクラス動作をさせるなどの回路的な工夫を施す事で、高域におけるノッチ歪の完全追放を図っています。
DCアンプ構成を採用しています。
従来の回路方式では高調波的な歪を追放しようとしてNFBを大量にかけていました。しかし、このNFBループ内に含まれる大容量コンデンサの影響で時間的なズレが生じ、思い通りの打消作用が得られないだけでなく、その時間的なズレが逆にトランジェント的な歪の原因となります。
この点に着目し、NFBループ内から大容量コンデンサを取り除いたDCアンプ構成としています。
パワーアンプ回路にはDML-ICを採用しています。
これは、デュアルFETを採用した差動増幅回路とそれを補助する回路をブロック化した独自のものです。また、プリドライブ段の高域の負荷条件を改善するために、定電流駆動付のエミッターフォロア回路を設けるとともに、Aクラス動作のプリドライブ段がABクラス動作のピュアコンプリメンタリー出力段の影響を受けないように交流的に絶縁する役割の定電流駆動付きのエミッターフォロア回路を設けています。
電源部には2個の大型パワートランスとプラスとマイナス電源用の2個の音質改良型電解コンデンサー(10,000μFx2)を組み合わせており、さらにプリドライブ段の定電圧化電源も左右分離を図ることで、完全な左右チャンネル独立電源としています。
これにより、電源部における左右チャンネル間の相互干渉を除去しています。
抵抗、半固定抵抗、コンデンサーなどの一個一個のパーツは全て厳選したものを採用しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
実効出力 | 80W+80W(8Ω、両ch動作、20Hz~20kHz) |
全高調波歪率 | 0.006%以下(8Ω、80W、20Hz~20kHz) |
混変調歪率 | 0.006%以下(8Ω、80W、60Hz:7kHz=4:1) |
出力帯域幅 | 5Hz~100kHz -3dB(8Ω、0.1%) |
周波数特性 | DC~100kHz -1dB以内 |
入力感度 | 600mV |
入力インピーダンス | 20kΩ |
SN比(IHF-A補正、入力ショート) | 110dB以上 |
セパレーション | 80dB以上(20Hz~20kHz) |
ダンピングファクター | 150以上(8Ω、1kHz) |
保護回路 | DCドリフト検出によるスピーカー保護回路 過電流防止回路 |
付属装置 | 入力コンデンサーIN-OUT切替 左右独立型アッテネーター |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 200W(電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅436x高さ95x奥行328mm |
重量 | 14.5kg |