
LUXMAN M-10II
¥880,000(1999年11月発売)
解説
M-10の改良型にあたるステレオパワーアンプ。
パワーアンプ終段は片チャンネルあたり8個のマルチエミッター構造大型バイポーラ・トランジスタ(Pc200W級)を使ったコンプリメンタリー4パラレル構成となっており、音楽信号によって時々刻々と変化するスピーカーインピーダンスの変動へも優れた対応力を得ています。
通常のステレオパワーアンプとしての使用だけでなく、BTLによるモノラルハイパワーアンプとしての使用も可能です。
高度な高周波用回路技術を応用したCSSC(Complementary Single Stagger Circuit)を採用しており、ハイ・スルーレート特性と広大な帯域表現を実現しています。
初段はデュアルFET差動とカスコード接続トランジスタのコンプリメンタリー回路となっています。そして、2段目に投入されたベース接地タイプの電流伝送段は、カットオフ周波数が十分に高く、1段目の位相回転のみでアンプ全体の帯域が確保できるため、初期スルーレートが極めて高くとれるとともに、余分な補正の必要がない自然な音楽再生を実現しています。また、ドライブ回路から最終段には増幅率の高い3段ダーリントン・コンプリメンタリー回路構成としています。
独自のNFB技術であるODβ回路を採用しています。
NFB回路は特性の改善や回路の安定度を確保するために用いられますが、一般的な直流と交流別帰還の方式では、低域に影響の大きいDC帰還を制御するためにサーボアンプを加えて多量のNFBを与えており、中高域と低域の手法の違いによって音色に不統一感を生み出していました。
M-10IIに採用されたODβ回路は、音質面から見た最適なNFBの在り方を徹底したもので、回路の裸特性を高度に練り上げて十分な直流安定度を確保することによってDCサーボアンプを排除し、全帯域にわたる音色の統一を可能にしています。
電源部にはハイ・イナーシャ電源を採用しています。
従来の方式では音楽信号に追随して電源供給を行うため、音楽信号に対し常に遅れ制御となっていました。ハイ・イナーシャ電源ではこの問題を解決するため、大容量の電源トランスの搭載によってACレベルでのレギュレーションを充分に高めた上でレギュレーター回路の出力側に極めて優れた瞬時放電特性を持つ大容量特殊電解コンデンサーを新規開発して採用しています。この構造によって常にゆとりある電源をアンプ内部にプールし、遅れ制御を極小化しています。
また、電源トランスには独立3巻線の800VA大型電源トランスと大容量22,000μF電解コンデンサーを搭載しており、徹底した低インピーダンスかで高度なレギュレーションを図ることで制御を最小限度に抑え、小刻みな電圧変動を解消しています。
ラックス独自のSTARサーキット・パターンテクノロジーが導入されています。
一般のアンプ回路では電源部から各回路へと送られる供給ルートが共有化されていますが、STARサーキットではアンプの各増幅段へ個別のルートで電源を供給しています。これにより増幅基準点を明確にするとともにアースラインを通じた干渉ノイズを排除しています。
内部コンストラクションは、振動吸収モードに優れた高質量5点接地のFRPシャーシをベースに、各回路ごとに遮蔽板で仕切られた高剛性ボックス遮断構造となっています。これによりシャーシ全体の強度を高めるとともに各回路間の電気的、機械的な相互干渉を排除しています。
さらに、各種ノイズ対策の一環として内部の高周波フィルターが強化されており、微細な信号レベルでの音楽信号の純度を保護しています。
新開発のラックス専用超ローノイズ低歪抵抗器に加え、大型電源トランス、大容量ブロックコンデンサー、電解コンデンサー、銅スチロールコンデンサー、銅製バスバー、高純度6Nケーブルなどの高品位カスタムパーツを採用しています。
また、インピーダンス変動を極小化するため、70μの肉厚銅箔パターンを用いたガラスエポキシ基板を採用しています。
入力部には左右独立6接点の固定抵抗切替型アッテネーターを採用しており、音質を損なわずに入力レベルの設定が可能です。
また、マルチチャンネルアンプなどの使い方にも配慮し、1V入力時に100Wの出力を得られるリファレンス・ポジションが設定されています。
入力端子にはXLR/RCAの2系統を搭載しています。
また、スピーカーターミナルバナナプラグにも鯛生うした大型3ウェイスピーカーターミナルと、プロオーディオ規格のスピコン端子を搭載しています。
120x100mmの対数圧縮表示タイプ大型メーターを搭載しています。
このメーターは照明のON/OFFが可能です。
キャビネットには光沢木箱を採用しています。
また、フロントパネルには無垢アルミを採用しており、表面には梨地加工仕上げが施されています。
AC電源の極性を感知するランフェーズセンサーを搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
連続実効出力 | 300W+300W(8Ω、ステレオ時) 480W+480W(4Ω、ステレオ時) 900W(8Ω、モノラル時) |
入力感度 | 1V/300W(8Ω) |
入力インピーダンス | Coaxial:47kΩ Balance:80kΩ |
利得(ゲイン) | 34dB |
全高調波歪率 | 0.005%以下(1kHz、8Ω) 0.06%以下(20Hz~20kHz、8Ω) |
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.1dB 10Hz~100kHz +0 -1.5dB |
SN比 | 118dB(IHF-A) |
付属装置 | 大型パワーメーター アッテネーター(Balance、Coaxial切替SW兼用) BTLスイッチ リモート・パワーSW用端子 ライン・フェイズ・センサー |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 650W(電気用品取締法による規定) |
最大外形寸法 | 幅467x高さ233x奥行482mm |
重量 | 43.5kg |