Lo-D HMA-9500mkII
¥270,000(1982年頃)
解説
HMA-9500から得られたノウハウを受け継ぐとともに、ノンカットオフA回路を採用したステレオパワーアンプ。
パワーMOS FETは、従来の小信号MOS FETと比較して3桁以上の高い増幅率(相互コンダクタンス)をもち直線性が良く、バイポーラトランジスタに比べて1桁以上も高周波特性が優れています。
また、動作原理上スイッチング速度が速い。バイポーラトランジスタと比べて電気的な破壊に強い。入力特性はエンハンスメント特性なのでデプレッション特性のFETに比べてバイアス回路が簡単。オーディオ用アンプとしてコンプリメンタリー回路で使用した場合、バイポーラトランジスタ使用アンプに比べ歪の少ないプッシュプルアンプを組めるなど、多数の特徴を持っています。
スイッチング歪を大幅に低減できるノンカットオフA回路を採用しています。
この回路は、出力段のバイアス電圧を固定せず、入力信号に応じて自動制御することで、出力トランジスタを常にONの状態にし、カットオフを防止しています。
回路構成は、初段が差動増幅器、2段目がカレントミラー回路を負荷とする差動増幅器で構成されています。パワーMOS
FETの相互コンダクタンスが大きく、リニアリティ及び周波数特性が良く、電力ゲインも大きく、Nチャンネル、Pチャンネルのコンプリメンタリー特性が良く揃っているなどの特性により、電力増幅器を含めて3段というシンプルな回路構成となっています。
左右独立に電源トランスを設け、パワー増幅段の整流平滑回路だけでなく、小信号用の安定化電源まで左右独立として電源を介してのトランジェントクロストークを排除しています。
また、平滑用コンデンサーには高周波特性の良い大容量コンデンサーを採用しています。
パワーMOS FETは大電流時の電流温度特性が負なため、半導体基板の一部分に電流が集中しようとしても、その部分の温度が上昇すると電流が減ります。このため、バイポーラトランジスタのよな2次破壊の原因となる電流集中や熱暴走の危険がありません。
さらに、ヒートシンクに放熱効果の優れたアルミダイカスト製のものを左右独立にしようし、裸シャーシ構造をとっています。
入力端子には金メッキ処理が施されています。
DCアンプ構成を採用しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ | ||||
回路方式 | 2段差動増幅前段直結パワーMOS FET純コンプリメンタリーOCL回路 ノンカットオフA回路内蔵 |
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実効出力(両ch駆動) | 120W+120W(8Ω、5Hz~20kHz) | ||||
全高調波歪率 (8Ω、定格出力時) |
0.01%(5Hz~100kHz) 0.005%(5Hz~20kHz) 0.002%(1kHz、定格出力時) |
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混変調歪率 | 0.003%(定格出力時、8Ω) | ||||
周波数特性 |
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入力感度/インピーダンス | 1V/50kΩ | ||||
SN比(入力ショート) | 120dB | ||||
ダンピングファクター | 70 | ||||
定格消費電力 | 360W(電気用品取締法) | ||||
外形寸法 | 幅435x高さ192x奥行410mm | ||||
重量 | 29kg |