Lo-D HMA-9500
¥230,000(1977年発売)
解説
パワーMOS FETを採用した最初のステレオパワーアンプ。
パワーステージの増幅素子としてパワーMOS FETを採用しています。
このパワーMOS FETは、従来の小信号MOS FETと比較して高い増幅率(相互インダクタンス)を持ち直線性が良く、しかもバイポーラトランジスタに比べて1桁以上も高周波特性が優れているという特長を持っています。また、動作原理上スイッチング速度が速い。パワートランジスタと比べて電気的な破壊に強くアンプの保護回路の簡略化が可能。入力特性がエンハンスメント特性なので、デプレッション特性のFETに比べてバイアス回路が簡単。オーディオアンプ用としてコンプリメンタリー回路で使用した場合パワートランジスタ使用アンプに比べ、歪の少ないプッシュプルアンプを組める。などの特長を持っています。
回路構成は、初段が差動増幅器、2段目がカレントミラー回路を負荷とする差動増幅器で構成しています。
パワーMOS FETの相互コンダクタンスが大きく、リニアリティおよび周波数特性が良く、電力ゲインも大きく、Nチャンネル、Pチャンネルのコンプリメンタリー特性が良く揃っているなどの特性により、電力増幅段を含めて3段というシンプルな回路構成になっています。
NFBループ内からコンデンサーを無くし、入力コンデンサーまでも除去したDCアンプ構成を採用しています。これにより音質劣化を招く部品を排除することができ、より正確な波形伝送を可能にしています。
電源部に左右独立に電源トランスを設け、パワー増幅段の整流平滑回路や小信号用の安定化電源を左右独立構成とすることでクロストークを排除しています。
さらに、左右チャンネル相互間の干渉を低減するため、左右対称セパレート配置の入出力で設計がされています。
金メッキ処理の入力ピンジャックを採用しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ | ||||
回路方式 | 2段差動増幅前段直結パワーMOS FET純コンプリメンタリーOCL回路 | ||||
実効出力(両ch駆動) | 100W+100W(8Ω、5Hz~100kHz) 120W+120W(8Ω、5Hz~20kHz) |
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全高調波歪率(8Ω) | 0.01%(5Hz~100kHz、定格出力時) 0.005%(5Hz~20kHz、定格出力時) 0.002%(1kHz、定格出力時) 0.002%(1kHz、50W出力時) |
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混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) | 0.003%(8Ω、定格出力時) 0.003%(8Ω、50W出力時) |
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周波数特性 |
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入力感度/インピーダンス | 1V/50kΩ | ||||
チャンネルセパレーション (入力ショート) |
85dB(5Hz~100kHz) 95dB(5Hz~20kHz) |
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S/N(入力ショート) | 110dB | ||||
ダンピングファクター | 70(5Hz~20kHz) | ||||
最適負荷インピーダンス | 4Ω~16Ω | ||||
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
定格消費電力 | 350W(電気用品取締法) | ||||
外形寸法 | 幅435x高さ192x奥行410mm | ||||
重量 | 28kg |