オーディオの足跡

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D680の画像
 解説 

日本デビューモデルにあたるSACDプレイヤー。

メカニズム部にはソニーの2ビーム式SACDドライブであるOM4を搭載しています。
このメカニズムはコーテッドグラスレンズを備えたレーアーピックアップを採用しており、CDとSACDのそれぞれのデータ・フォーマットを別個に読み込むシグナルプロセッサーや洗練されたサーボ回路によって高い信頼性を獲得しています。
D680ではこのピックアップをキャストアルミニウムフレームに直接マウントし、ドライブ全体をポリマーダンパーを介してシャーシからデカップリングして取り付けることで、静粛で安定した動作と高速なサーチ/アクセス動作を実現しています。

リンデマンが独自に開発したリサンプリングシステムであるHiDRA(High Definition Resampling Architecture)を搭載しています。
この技術は、リンデマンがジッターをいかに低減するかを研究してきた成果と呼べるもので、デジタルデータ変換時のクロック周波数ジッターを効率的に低減しています。回路はトランスポートからのデジタル出力ストリームを11.289MHzにて動作する超低ジッターのマスタークロックに同期させるとともに、データを44.1kHz/16bitから96kHzもしくは192kHz/24bitへアップサンプリングします。このマスタークロックは全クロックの同期を可能にし、トランスポートからコンバーターに至る各ステージにおけるタイミングの差に起因するジッターを無視できるレベルにまで低減する一方でオリジナルのデータストリームの分解能を向上させています。
HiDRAはモノモードで動作するコンバーターモジュールの設計とあいまって、デジタル特有の粗さを抑え優れた音を実現しています。

デジタルデータの変換には最新のD/Aコンバーターモジュールを使用しています。
このモジュールはCD、HDCDのPCMデータを192kHz/24bitにて処理し、SACDのDSDデータを2.8224MHz/1bitにて処理しています。また、各チャンネル独立してコンバーターを設けることでモノ・モードでの音質も向上しています。

D680では通常のCDの再生では従来のプレイヤーと異なるアプローチを採用しています。
まず読み込まれたデータは11.2896MHzマスタークロックによって同期され、44.1kHz/16bit信号として認識されます。次いでこれがパシフィック・マイクロソニックス製のHDCDデコーダーPMD200に送られ、88.2kH/2倍オーバーサンプリング過程を経て20bitを超える信号となります。さらに24.2896MHzのクロックによって非対称コントロールを行うアナログデバイス製サンプリングレートコンバーター/アップサンプラーAD1896が信号を96kHz/24bitに変換します。そして2基のバーブラウン製D/AコンバーターPCM1738に送られます。
これらのアップサンプリング過程において44.1kHz/16bit信号からジッターが除去され、96kHz/24bit信号に変換されます。

SACDの再生ではタイミング差に起因するジッターはさほど問題にならないという考えから、シンプルな信号処理を採用しています。
まずSACDのDSD信号が認識されるとHDCDデコーダーとアップサンプラーはバイパスされ、高周波のシングルビットデータストリームは高精度リクロッキング過程を経てコンバーターに入力されます。この時すでにマイクロコントローラーがDSDに対応するようコンバーターを調整します。このモードではDACは一種のアナログローパスフィルターとして機能することになり、高周波汚染の無い広帯域アナログ信号を生成するため、デジタルフィルタリングは必要としていません。

アナログ回路の出力段にはオーソドックスなデュアルモノラル構成の差動バランス設計を採用しています。回路には高価なシルバーマイカコンデンサを使用しており、アナログフィルタ用のオペアンプには必要最小限の負帰還をかけて低歪率な動作が可能なアナログデバイス製AD825を4個使用しており、ピュアクラスA動作ディスクリート回路としています。
また、オーディオ/コントロール基板は遮蔽プレートを挟んでピックアップ部と物理的に分離して設置されており、しかも実装面を右側面へ向けたバーティカルな取り付けとすることで回路巻の干渉を極力抑えています。

セパレート電源を採用することで回路への干渉を抑えています。
D680ではトランスポート、ディスプレイ、コントロール回路の電源を本体の電源部から供給する一方で、アップサンプラー/コンバーターと出力段の電源は本体とUSBコネクターにて接続するPower Bricによって供給されています。このPower Bricはフィルターを内蔵しており、高周波干渉のサプレッションを行います。

シャーシは6mm厚のアルミ材で構成されています。
フロントパネルにはブルーのドットマトリクス式ディスプレイを採用しており、パネル両側にアルミパネルを加えることでディスプレイ面の保護と堅牢性向上を図っています。

アルミ製のワイヤレスリモコンが付属しています。

機種の定格
型式 SACDプレイヤー
<トランスポート部>
対応規格 SACDステレオ、HDCD、CD、CD-R
ピックアップ コーテッド・グラス・レンズ採用ツインレーザーユニット
レーザーダイオード波長 SACD:650nm
CD:780nm
トランスポート ソニー OM4 A
デジタル出力 同軸:SPDIF、0.5Vp-p/75Ω
XLR:AES/EBU、2.5Vp-p/110Ω
<コンバーター部>
DAC 24bit/192kHzモノ・モード・コンバーター
周波数特性 0.5Hz~44kHz +0 -3dB
THD&ノイズ CD:-92dB
HDCD:-98dB
SACD:-101dB
ダイナミックレンジ CD:126dB
SACD:135dB
出力 アンバランス:2.0V/100Ω、RCA
バランス:4.0V/200Ω、XLR
<その他>
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 本体:24W
Power Bric:15W
外形寸法 本体:幅450x高さ153x奥行360mm
Power Bric:幅114x高さ55x奥行182mm
重量 本体:13kg
Power Bric:1.7kg
付属 特製ダイレクト・カップリング・フィート
メタル製リモートコントローラー
USBケーブルx1
電源ケーブルx2