KRELL Reference64
¥2,850,000(1994年頃)
解説
64倍オーバーサンプリングや24ビット信号処理によってリファレンスを目指したD/Aコンバーター。
CDプレイヤーからD/Aプロセッサーへの信号伝送時におけるジッターの発生を根本から排除するため、独立したマスタークロックを伝送するAT&Tタイムシンククロック入力を装備しています。これによりDT-10やKPS-20tなどのプレイヤーのマスタークロックに完全に同期してDACを駆動させることができ、ジッターを追放しています。
また、プレイヤーにタイムシンクの装備が無い場合にも対応するため、入力部にはデジタルデータのタイミングのズレを補正するクレル独自のソフトウェアを備えたジッターリジェクションモジュールを搭載しており、極めて精度の高いデジタル信号を獲得しています。
デジタル回路にはクレルが開発したオリジナルソフトウェアを採用しており、モトローラ社製のDSP-56001を片チャンネル2個ずつシリーズで使用しています。そして、34MHzの高速クロックにて駆動し、16ビット44.1kHzの入力サンプリング周波数を内部で24ビット処理し、18ビット2.8224MHzの64倍オーバーサンプリングデータとして出力しています。
また、この高速信号に追従できるDACとして、トリマーにより1台ごとの調節が可能なバーブラウン社の18ビットPCM-64を採用しており、プッシュプルで使用しています。そして、1台1台を厳密に調整して出荷することで高い品質を確保しています。
アナログ段は全てディスクリートで組まれた完全コンプリメンタリー構成を採用しており、純クラスA動作させています。また、コンデンサーを排したダイレクトカップリング構成を採用することで歪を低減しパーツによる音質劣化を回避しています。
さらに、出力トランジスタには熱効率と耐久性に優れたTO-3キャンタイプ出力トランジスタを使用しており、各回路の抵抗器にはミリタリー規格の高精度パーツを使用しています。
電源部はセパレート構成となっており、回路間の相互干渉を排除しています。
電源トランスには大容量の50VAカスタムメイド・トロイダルトランスを3個搭載し、さらに各パート間の相互干渉を回避するためにDSP、DAC、アナログ回路の各部に独立して給電することで余裕のある電源供給を可能にしています。
機種の定格
型式 | D/Aプロセッサー |
周波数特性 | 4Hz~20kHz -0.1dB |
S/N比(A) | 100dB以上 |
チャンネルセパレーション | 111dB以上 |
T.H.D.+N | 0.011%以下 |
リニアリティ | ±0.3dB(-90dB) |
入力 | AT&T/ST AES/EBU(XLR) コアキシャル(RCA) TOSリンクまたはコアキシャル TIME SYNCクロック(AT&T OPT) デジタルテープモニター(コアキシャルまたはAT&T/ST) |
出力 | デジタルレコアウト(コアキシャル) XLRアナログ出力 RCAアナログ出力 |
外形寸法 | 幅485x高さ143x奥行364mm |
重量 | 19.3kg |