
KEF Model 104
価格不明(1台、1973年発売)
解説
最新の研究成果を取り入れて開発されたリファレンスシリーズのスピーカーシステム。
model104ではボイスコイルアッセンブリに螺旋状に巻いた耐熱性ボイスコイルやエポキシ樹脂仕上げのショートコイルを使用しており、短時間での場合は最低250℃、連続使用の場合でも180℃までの耐熱性を実現しています。
これによりスピーカーユニットの耐久性を向上し、故障による問題を低減しています。
低域には20cmコーン型ウーファーであるB200/SP1039と、32x21cmパッシブラジエーター(ドロンコーン)であるBD139/SP1037を搭載しており、1つの大きなダイアフラムを駆動する場合に比べて高い効率で30Hzまでの低音再生を可能にしています。
ウーファーユニットB200/SP1039には新ビスコ弾性体ダンプによるべくストリーン・ダイアフラムや、ボイスコイルとマグネットアッセンブリからなる電気的・機械的に組み合わされた耐熱性駆動機構、PVC(ポリエステルボイスコイル)を搭載しています。
パッシブラジエーターBD139/SP1037は、世界的に有名なB139低音用ユニットから開発されたものです。
このラジエーターはB200の背面から出た低音エネルギーで駆動されて低音出力を補っています。これにより低域を拡大するとともに効率を高め、しかも歪も減少させています。
サンドイッチ型のダイアフラムは精密に調整されており、アルミダイカストのフレームに収められています。
高域にはドーム型トゥイーターであるT27/SP1032を搭載しています。
このユニットは圧力成形されたメリネックス・ドーム部とロールエッジ部とが一体となった構造をしています。
ネットワーク部には6エレメント構成のDN15/SP1041を搭載しています。
このネットワークは3kHzで18dB/8veのロールオフスロープ特性を持っており、音の領域を2分割しています。また、重要部分には厳選された安定度の高いコンポーネントとロスの少ないコンデンサーを使用しています。
スピーカーのレスポンスを部屋の形状に応じて調整できるよう、グリル裏面にアコースティックコントロールを搭載しています。
このコントロールでは中音域のレスポンス特性を3通りに調整できます。
エンクロージャーは共鳴を防ぐため、密度の高い構造材、頑丈な内部固定材、吸音性防湿材、共鳴防止用特殊内装材を採用しています。
前面には特殊メッシュをもったグリルを装備しています。
このぐりるダイアフラムを保護しつつ音質を損なわないように設計されており、高音域減衰は20kHzまでは1dB以下に抑えられています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・2スピーカー・パッシブラジエーター方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:20cmコーン型(B200/SP1039) 高域用:ドーム型(T27/SP1032) その他:32x21cmパッシブラジエーター(BD139/SP1037) ネットワーク(DN15/SP1041) |
周波数範囲 | 30Hz~40kHz |
周波数レスポンス (無響室、トゥイーター軸上1mで測定) |
±2dB(50Hz~20kHz) ±5dB(35Hz~35kHz) -10dB(30Hz) |
インピーダンス | 8Ω |
最大許容入力 | 50W(ミュージックパワー) |
定格入力(正弦波) | 20V(50W、100Hz~2.5kHz) 8V(8W、3kHz以上) |
適合入力 | 15W~50W(8Ω) |
感度 | 96dB(無響室、12.5W入力、負荷8Ω、1m、400Hz) |
高調波歪率 | THD 1%以下(100Hz~30kHz) rel 96dB SPL(400Hz) |
クロスオーバー周波数 | 45Hz(音響結合による) 3kHz(電気的カットオフ、スロープ18dB/oct) |
アコースティックコントロール | 3ポジション、±2dB(1.5kHzを中心として可変) |
内容積 | 35.5リットル |
適合ルームサイズ | 280m3まで |
仕上げ | ウォルナット、チーク、ローズウッド、ホワイト |
グリル | 黒色発泡スチロール |
外形寸法 | 幅330x高さ630x奥行260mm |
重量 | 15.8kg |
別売 | 専用スタンド 104F |
ユニットの仕様
ユニット | B200/SP1039 | T27/SP1032 |
トータルフラックス | 132,500maxwell | 247,000maxwell |
フラックス密度 | 13,500oersted | 12,500oersted |
ポールピース直径 | 33mm | 20mm |
ムービングマス | - | 350mg |
共振周波数 | 25Hz | 1,1kHz |
Model104開発に貢献したデジタル・コンピューター使用の新測定法をロンドンAESで発表したグループ。
Model104の開発にはデジタルコンピューターを用いたフーリエ解析が導入されています。
この評価法は、L.R.フィンチャム(当時のKEFエレクトロニクス・リミテッド主任研究員)およびR.V.リーダム(当時のブラッドフォード大学・音響グループ)によって1973年2月13日にロンドンで行われたオーディオ・エンジニアリング・ソサエティで発表されました。