Jeff Rowland Synergy2i
¥1,260,000(2001年発売)
解説
Synergy2の改良型として開発されたプリアンプ。
Synergy2iではプリアンプステージを全面的に一新しており、大幅なノイズ低減を実現しています。
従来の差動アンプではコモンモードノイズのキャンセルについては電圧をプラス/マイナスで均等する事が重要とされていましたが、ディーンジェンセンとゲイリーソコリッチ及びビルウィットロックの研究によって+/-インプットインピーダンスのマッチングこそが重要であることが判明しました。これを実現するため、CADシステムとコンピューター制御巻線技術によって0.5~180kという優れたニッケルコアインプットトランスを開発・搭載しています。
Synergy2iでは、ノイズの混入による音質低下を防ぐため、インプットターミネートトランスを用いてラジオ周波の混入を防いでいます。さらに、アウトプットトランスによってパワーアンプとのインピーダンスをマッチさせ、アンプを外部環境や他機器、ケーブルの影響から独立させています。さらに、バランス回路をしっかりと維持するとともにグラウンドポイントを押さえた上でコモンモードノイズをキャンセルしています。
しかも、この新開発トランスによる構成によってオーディオに於いて対策方法が少ないグループディレイによる問題点も解消しています。
プリアンプかいろには表面実装パーツを多岐にわたって使用しており、MIL規格組立工場で厳格な品質、工程管理の下で作られています。小さい基板を採用することで短距離シグナルパスを実現するとともに外部電磁波による影響を低減しています。さらにジェフローランドの伝統的なナチュラルフローサーキットと呼ばれるカーブを描いて90度ターンをするトレースを全面的に使用しています。
ボリューム機構には新開発のクリスタルセミコンダクターによるボリュームコントロールを採用しています。
このボリュームコントロールではポリシリコン抵抗のノンリニアリティを克服し、歪の発生を大幅に低減しています。また、シンプルな構造なため通過する抵抗器の量が少なく、音質への抵抗が少なく抑えられています。また、低ロードインピーダンスでできるため全高調波歪プラスノイズレベルが非常に低くなっています。
パワーサプライ部にはリモートレシーバーが組み込まれています。
Synergy2iのコンピューターコマンドによる動作は一瞬にして行われ、5秒後には全てのマイクロプロセッサーはスリープモードに入るため、デジタルノイズを発生しません。
パワーサプライ部にボリュームインジケーターを搭載しており、デジタル値によるボリュームを確認できます。ボリューム表示にはノイズの発生源とならないLEDを採用しています。
シャーシは6061グレードハードアルミ(ジュラルミン)の削り出しをプリアンプ部とパワーアンプ部の両方に使用しています。これによりプリアンプ本体での共振レベルを極小に抑えています。
シャーシ加工はMIL規格の品質管理下に於いて材料から仕上げまで一括管理されています。また、全て設計者であるジェフローランドのコントロール下に置かれています。
ミューティング、チャンネルバランス、アブソリュートフェイズ、バイパス(ユニティーゲイン)などの機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
入力 | XLRx5 バイパス XLRx1 |
出力 | main out:XLRx2 record out:XLRx2 |
インプットインピーダンス | 36kΩ、600Ω(バランス、アンバランス共通) ※各インプットで選択可能 |
アウトプットインピーダンス | 40Ωバランス 80Ωアンバランス |
最大入力レベル | 13Vrms(0dBゲイン) |
最大出力レベル | 13Vrms(24dBm) |
出力ノイズレベル | 10mV(20Hz~20kHz、0dBgain) |
全高調波歪率 | 0.0012%以下(10V出力、600Ω負荷) |
ゲインレンジ | 63.5dB、127等分増幅(0.5dBステップ) |
ゲイン | 0dB、±20dB(インプット毎に個別変換設定可) |
外形寸法 | プリアンプ部:幅445x高さ80x奥行152.5mm 電源部:幅445x高さ38x奥行122mm |
重量 | プリアンプ部:11kg 電源部:3kg |