JBL 4435
¥550,000(1台、1981年発売)
¥590,000(1台、1983年頃)
解説
バイ・ラジアルホーンを搭載したモニタースピーカーシステム。
バイ・ラジアルホーンは、JBLプロフェショナル・デヴィジョンが数年にわたって研究開発してきたホーンで、2つのラジアルホーンをクロスさせたユニークな形状を採用することで従来のホーンの問題点を解消しています。
このホーンの開発ポイントは、ドライバーの作動全帯域(1kHz~16kHz)で水平・垂直方向の指向性パターンが一定している点、クロスオーバー周波数でウーファーと同じ拡散角度を持つ点、開口部を改善することで第2次高調波歪を低減する点、ホーンを短くすることでドライバーとウーファーの位相特性を合わせる点という4点がありました。
バイ・ラジアルホーンではその形状によって水平・垂直方向の指向特性は100゜x100゜を実現しており、軸上・軸外での音圧レベルもフラットにしています。さらに指向性を厳密にコントロールすることでクロスオーバー点でウーファーと同一の拡散角度を持っています。
また、スロート部を細長いディフラクション・スロートとすることで水平方向の拡散に十分な狭い幅としているほか、急激な開口部のホーンをレゾナンスの低い硬質素材で作ることで第2次高調波歪を減少し、ホーン奥行きも短くしています。
低域には38cmコーン型ウーファー2234Hを2個搭載しています。
磁気回路は低歪率のSFG回路を採用しており、第2次高調波歪を大幅に減少させています。また、100mm径の大型ボイスコイルにはエッジワイズ巻き銅リボン線を採用しており、長さも19mmと十分にあり、12,000ガウスという高磁束密度の磁界で動作する設計となっています。
4435では1つのウーファーは30Hz~1kHzを再生し、もう1つのユニットは100Hz以下のみを再生しています。そのため、4435は30Hzで-3dB減衰するものの100Hzから低減22Hzまで300Wの最大入力を十分扱うことができます。しかも、20Hz~30Hzという超低音域で115~120dBという高い音圧レベルが得られています。
高域にはドライバー2421Aとバイ・ラジアルホーン2344で構成されたホーン型トゥイーターを搭載しています。
2421Aは2420のサスペンションをダイヤモンド・サスペンションに変更したもので、広帯域のよりフラットな再生を可能にしてます。ダイアフラムは極薄アルミ製で、サスペンションと一体成型されています。
ネットワーク部は広帯域にわたってスムーズなレスポンスが得られるよう12dB/octの特性のものを採用しています。さらに、このネットワークで軸外の音響特性もコントロールすることで軸上・軸外でのフラットなパワーレスポンスを実現しています。
また、このネットワークはドライバーの中音域と高音域をそれぞれ独立して調整できるよう設計されており、フロントバッフルのレベルコントロールによって補正が可能です。
エンクロージャーは左右対称のユニット配置を採用しており、音像定位を改善しています。また、ウーファーとトゥイーターを同じ位置にすることで位相特性の改善を図っています。
素材には22mm厚硬質パーチクルボードを用いており、外観はウォルナット仕上げが施されています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:38cmコーン型(2234H)x2 高域用:ホーン型(2421A+2344) |
周波数特性 | 30Hz~16kHz ±3dB |
指向性 (-6dB、1.25kHz~16kHz) |
水平:100゜ 垂直:100゜ |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル | 96dB/W/m |
許容入力 | 375W(連続プログラム) |
ピーク入力 | 2kW(≦10ms) |
クロスオーバー周波数 | 1kHz |
レベルコントロール | ミッドレンジ:-∞~+4dB/2kHz ハイ・フリケンシー:-∞~0dB/12kHz |
エンクロージャー容積 | 280L |
外形寸法 | 幅965x高さ908x奥行515mm |
重量 | 114kg(梱包時) |