
INFINITY MODULUS
¥220,000(2台1組、1990年頃)
解説
構成部品の細部に至るまで徹底的に音質を追求して開発された小型スピーカーシステム。
低域には12.5cmコーン型IMGウーファーを搭載しています。
コーンにはIMGグラファイト強化ポリプロピレン振動板を採用しています。この素材は高温・高圧下でグラファイトをインジェクション・モールドしたポリプロピレンで、剛性が高く無変形動作領域が大きく、正確なピストン動作と70Hz以上6オクターブを超える動作領域、広指向レスポンスを確保しています。
ボイスコイルには防火服にも使われる耐熱ポリマドールを使用しています。また、アルミ巻線は過渡特性の面で不利ですが、Modulusでは直径25mm、長さ13mmで精密な真円性によってマグネットとの正確なギャップを実現しています。
フレームにはアルミダイキャストを採用しています。
高域にはEMITツィーターを搭載しています。
ダイアフラムにはマスが通常のドームの1/10という超軽量薄膜のカプトンを採用しており、そこにボイスコイルをエッチングしています。
磁気回路にはネオジウムマグネットをプッシュプルで採用しています。
クロスオーバーネットワークには位相特性に優れた24dB/octの4次ネットワークを採用しています。
また、部品の値や種類の選択は位相ズレや歪を考慮して測定や試聴によるシステム評価を繰り返して決定しています。
フロントバッフル部には段階状構造を採用することでユニットのボイスコイル位置を揃え、倍音などの位相的汚れを排除しています。また、素材に高損失発泡構造材を採用し、特殊な形状を採用することで二次反射や回折効果を低減しています。
一般的なスピーカーでは高域にドーム型ツィーターを採用していますが、この場合は縦方向指向性の広いドライバーと段階状バッフルとの組合せによって回折効果による音場定位への影響が問題となりますが、Modulusでは水平方向にのみ広指向特性を持つEMITを使用することでこれも改善しています。
エンクロージャーには密閉方式を採用しています。内部構造は剛性に富むHDF超高密度材と振動を熱に吸収変換するビスコエラスティック材による二層構造を採用しており、約25dBの対エンクロージャー伝導損失を得ており、徹底した無共進化によって濁りの無い低音再生を実現しています。
外観は硬質樹脂によるピアノ鏡面仕上が施されています。
スピーカー端子には金メッキ仕上げのもを採用しており、バイワイヤリングに対応しています。
スピーカーの底面には3本の直結アイソティップを設けています。
アイソティップではゴム製キャップと硬質プラスチック・フィッティングを経由してペデスタルのトップベースが受ける構造を採用しています。これによりゴムキャップが滑りを抑えてスピーカーががっしり固定するとともに、2種類の異なる素材が機械的インピーダンスミスマッチを構成し、共振の伝搬を防止しています。
モジュラスには別売りでサブウーファーがあり、小型モジュールを軸にした高度なシステムを構成できる構成となっていました。
別売りオプションとして専用ペデスタル(スピーカースタンド)と壁面取付けブラケットがありました。
ペデスタルはアルミニウムダイカストに砂を充填する構造となっています。徹底したデッドニングを行うことで自己共振や床からの振動による共振を吸収しています。また、サポート部には2種類のダンプ材を用いることで機械的インピーダンス差で共振を吸収しています。
床面との接触には水平調整可能なアイソティップを採用しています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・2スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:12.5cmコーン型 高域用:平面型(EMIT) |
周波数特性 | 80Hz~45kHz ±2dB |
入力インピーダンス | 5Ω |
出力音圧レベル | 84dB/1W/1m |
許容入力 | 200W |
クロスオーバー周波数 | 4kHz |
外形寸法 | 幅179x高さ316x奥行272mm |
重量 | 6.5kg |
別売 | サブウーファー Modulus Sub woofer(1台、¥400,000) 壁面取付けブラケット(2台1組、¥34,000) |
別売:専用スタンド Pedestal(ペデスタル、2台1組、¥34,000) | |
形式 | モジュラス専用スタンド |
外形寸法 | 高さ620mm |
重量 | 3.0kg(砂入り6.5kg) |