INFINITY IRS-SIGMA
¥690,000(1台、1999年頃)
解説
IRS-EPSILONのハイコストパフォーマンスモデルとして開発されたフロア型スピーカーシステム。
低域には30cmIMGコーン型ウーファーを搭載しています。
IMGコーンはハイパワー状況下でもコーンの変形を最小に抑えたウーファーの動作を実現しています。さらにポリプロピレンとカーボングラファイトファイバーを組み合わせることによって不要共振を抑えた優れたダンピング(ポリプロピレンによって達成)と高い強度(カーボンファイバーによって達成)を得ています。
磁気回路には約1.4kgのセラミックマグネットを採用しています。このマグネットは構造に合わせた重量級スティールポールの間に挟まれる形となっており、そのポールは磁石から生み出される多大な磁力線をとらえるように作られています。また、ウーファーのポールは精密なコンピューターモデリングに基づいており、ギャップ内の磁界強度が最大限になるよう設計されています。
中低域には16cmIMGコーン型ミッドバスユニットを搭載しています。
ミッドバスの振動板にもIMGコーンを採用しており、優れた強度とダンピング特性を確保しています。
中域にはインフィニティ独自の特殊型ユニットであるHE-EMIMを搭載しています。
このユニットのダイアフラムには従来の1/2にまでローマス化したカプトン薄膜を採用しており、ボイスコイルはダイアフラム上にエッチングされています。このダイアフラムにネオジウムマグネットを組み合わせることで、スピード、能率、リニアリティを改善しています。
高域にはHE-EMITを2個搭載しており、前面に1個、背面に1個マウントされています。
HE-EMITには超ローマス・カプトン薄膜ダイアフラムとネオジウムマグネットを採用しており、プッシュプルマグネット構造で駆動することで42kHzまでの再生を可能にしています。
また、HE-EMITは前面と背面にマウントされており、前面のHE-EMITは左右のスリットに10kHzまでの音響透過メカニカルフィルターを持たせることで高域でのアパチュア効果を改善しています。さらに背面にもHE-EMITを搭載することで双指向の優れた音場感を獲得しています。
フロントバッフルは大きくゆるやかにカーブしたパネルに縦に配置されており、パネルサイドのウイングは音響的バッフルを形成しています。
エンクロージャーは高密度ファイバーボードで構成されており、後部に向かって細くなるように設計されています。特にフロントパネルは3インチを超える厚さを確保しており、強度と質量はウーファーを大振幅(1インチ超)、高加速(90G超)で十分に運動させることが可能です。
IRS-SIGMAで使用されているファイバーボードは1インチの厚さを持っており、一般的なスピーカーで使用されているファイバーボード素材よりもさらに高密度なものとなっています。また、ウーファーエンクロージャーは吸音材で満たされており、ウーファーの後面波によるエネルギーをサウンドプレッシャーから熱へ変換しています。
入力端子には腐食の少ない真鍮製の金メッキ端子を採用しています。
また、大型ターミナルを採用することで太いケーブルや特殊なコネクターにも対応しています。
機種の定格
方式 | 4ウェイ・5スピーカー・密閉方式・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型 中低域用:16cmコーン型 中域用:特殊型(HE-EMIM) 高域用(前面):特殊型(HE-EMIT) 高域用(後面): 特殊型(HE-EMIT) |
インピーダンス | 4Ω |
周波数特性 | 30Hz~42kHz ±2dB |
クロスオーバー周波数 | 160Hz、600Hz、3.8kHz |
感度 | 87dB(1m/2.83V) |
推奨アンプ出力 | 100W~500W/channel |
外形寸法 | 幅460x高さ1,490x奥行440mm |
重量 | 67.0kg(梱包時82kg) |