harman/kardon PM625
¥45,000(1985年頃)
解説
PMシリーズのプリメインアンプ。
PMシリーズでは単にローインピーダンスドライブ能力だけでなく、スピーカーの持つリアクタンス変動をどう抑えるかをテーマに開発されました。
このリアクタンスとは周波数の変化で起こるコイルやコンデンサの作用の総称で、スピーカーはこれらの性質を利用してスピーカーネットワークを作成しているため、宿命的にリアクタンスの集合体でもあります。そして、このリアクタンスは加えた電圧波形に対して電流波形が遅れたり、進んだりしてアンプ出力を混乱させます。
PMシリーズでは2Ωで8Ωの2倍以上の出力を確保する事でこの問題に対処しています。
電流位相の変動に強いインバーテッドダーリントン方式ドライバー段を採用しています。
リアクタンス負荷は最大値では電圧がゼロの点で最大の電流を要求します。この対策として特殊な回路でドライバー段を定電圧駆動しています。
低NFB構造を採用しており、PMシリーズでは12~20dBのNFBの範囲で1Hz以下から150kHzまでの周波数特性をクリアしています。このNFB量は真空管式と同等の値となっています。
イコライザー回路はCR/NF併用方式を採用しており、CR型イコライザーをベースにしつつNF型を併用する事で高S/Nを実現しています。
この方式は帯域内NFBが一定で、位相歪によるカラーレーションがありません。
ボリューム部には連動誤差の少ないDカーブ型ボリュームを採用しています。
一般的なAカーブ型ボリュームでは低レベル使用時に左右チャンネルでレベル差が出やすいという問題点があります。Dカーブ型は常用位置が中点(12時点)に近く、レベル差が出にくくなっています。
保護回路には出力側にリレーを用いない高速電子プロテクション回路を採用しています。
保護リレーは動作が鈍いため4Ω位の電流値からスタンバイに入ります、これは原理的にローインピーダンスドライブに弱い事となるため、PMシリーズでは危険電流と時間の積で監視しています。
外観には複数のバリエーションがあり、日本では全体がブラックのモデルとツマミだけ色が異なるモデルがあったようです。
また、海外ではオールシルバーのモデルがあったようです。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
出力(20Hz~20kHz) | 20W+20W(8Ω) |
ダイナミック出力(IHF、1kHz、0.5secバースト波) | 55W(2Ω) 50W(4Ω) |
HICC(瞬時電流供給能力) | 18A(0.1Ω、10μsec、1パルス) |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.2mV/47kΩ Video/CD:135mV/22kΩ |
Phono最大許容入力 | MM:130mV |
トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
消費電力 | 70W |
外形寸法 | 幅443x高さ103x奥行353mm |
重量 | 5.8kg |