
Electro-Voice Aristocrat II
¥1,270,000(2台1組、1997年頃)
解説
コンパクトなエンクロージャーに凝縮する事で家庭用システムとしてまとめ上げたスピーカーシステム。
低域には30cmコーン型ウーファーであるDL12Wを搭載しています。
振動板には厳選されたパルプ材によるコーン紙を採用しており、これをロングボイスコイルと強力なマグネットで駆動しています。また、エッジ部には一般的なロールエッジではなくあえてギャザードエッジを採用する事で、音の輪郭を崩さない手応えのある低音再生を可能にしています。さらに許容入力を高めるコイルアッセンブリー方式や、有害な磁気ひずみの追放、コイルの放熱効果を向上させる独自の設計などによって信頼性を高めています。
ボイスコイルにはエッジワウンド角ワイヤーを使用する事でギャップ内のコイル密度を高めています。さらにロングボイスコイル設計とする事でリニアなピストンモーション領域を拡大しています。マグネットには7.3kgに及ぶセラミック5を搭載しています。
フレームにはアルミダイキャストを使用しています。
高域にはホーン型ユニットを採用しており、5cmスロートのコンプレッションドライバーN/DYM 1mtとホーンを組み合わせて搭載しています。
ドライバーユニットN/DYM 1mtは1988年に世界初のネオジウムマグネット搭載ドライバーとして開発されたユニットです。ネオジウムマグネットを採用する事で同クラスの従来機に比べ重量は3分の1以下に軽量化し、それと同時に小型化も実現しています。また、素材の能力を発揮できるよう磁気回路を設計する事でギャップ内の磁束密度23,500ガウスを実現しています。
振動板には厚さ0.0038mmの極薄チタンダイアフラムを採用しています。この振動板はエレクトロボイス独自のメタルフォーミングおよびプロセッシング技術によって作られています。また、ボイスコイルには軽量のピュアアルミニウム・フラットワイヤーを採用しています。
これらによって両高域までの再生能力だけでなく、500Hzから使用可能というワイドレンジ特性を実現しています。
ホーンには1974年にエレクトロボイスが発表したCD(コンスタント・ダイレクティビディ=定指向性)ホーン構造のウッドホーンを採用しています。
CDホーンは従来のホーンが持っていた、いわゆるホーン臭さの要因の一つである帯域ごとの指向性の不一致や位相の乱れを大幅に改善したもので、広がりのある自然な空気感を再現しています。
AristocratIIに採用されたホーンは特別に開発されたもので、イタヤカエデの積層材で作られています。
エンクロージャーには単なるバスレフ型ではなく、ティール&スモール理論に基づくヴェンテッドエンクロージャーとしています。
使用ユニットの特性に基づく理想的なエンクロージャーのコンピューター解析を行い、最適なサイズやプロポーションを決定しており、低域再生限界をはじめとするユニットの諸特性を引き出しています。
素材には高密度MDF材を使用しており、リアバッフル以外の5面はローズウッド系の突板を用いて仕上げられています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:30cmコーン型(DL12W) 高域用:ホーン型(N/DYM 1mt+CDホーン) |
周波数特性 | 50Hz~20kHz ±3dB |
出力音圧レベル | 93dB SPL/W/m |
インピーダンス | 10Ω |
許容入力 | 200W 800W(ピーク:10ms) |
クロスオーバー周波数 | 900Hz |
外形寸法 | 幅380x高さ590x奥行325mm |
重量 | 28.5kg |