Dual 1229
価格不明(キャビネット別売、1970年代前半頃?)
解説
プロフェッショナル級ターンテーブルの設計基準に手動/自動の機能と操作性を盛り込んだターンテーブル。
1229は4種類の再生モードを備えており、手動式のマニュアルターンテーブル、レコード1枚を自動演奏するシングルプレイターンテーブル、自動式にレコードを連続6枚演奏するマルチプレイターンテーブル、リピートプレイが行えます。
手動式のマニュアルプレイでは演奏が終了するとトーンアームはオートリターンし、ターンテーブルの回転も停止します。また、シングルプレイではスタートスイッチのワンアクションでスタートし、停止時はマニュアルと同様にオートリターンとターンテーブルの停止をします。
自動マルチプレイはシングルプレイスピンドルをマルチプレイスピンドルに差替え、レコードを6枚重ねてセットします。あとはスタートスイッチを押せば全て自動で動作し、6枚連続演奏が終わるとオートリターンし、ターンテーブルの回転が停止します。
リピートプレイはマルチプレイスピンドルと45回転ドーナツ盤アダプターを併用するモードで、これによって同じレコードを繰り返し演奏します。
シングルプレイ用のスピンドルはターンテーブルと一緒に回転する設計となっており、レコードのセンターホールとスピンドルの摩擦抵抗による回転ムラがありません。
ターンテーブルにはダイキャスト製のものを採用しています。
ターンテーブル裏側には50/60Hzのストロボスコープを備えており、パネル面のストロボミラーでモニターできます。リングを回すことで見やすい角度を調整でき、50Hz/60Hzの切替も簡単に行えます。
ピッチコントロールによってスピードを±6%調整できます。
駆動モーターには新設計のシンクロナス・コンティニュアス・ポールモーターを採用しています。
トーンアームには軽金属パイプを用いた有効長222mmのものを採用しています。これはオートターンテーブル型プレイヤとして当時最長の設計となっており、トラッキングエラーはレコード直径110~293mmの範囲で1゜30"となっています。また、レゾナンスは可聴周波数より低い8~14Hzの間に収められており、カートリッジを取り付けた場合に1229のシャーシサスペンションの最低共振周波数4.8Hzよりは高くなるような設計となっています。
支持部にはオートターンテーブル型プレイヤーとしてDualが初めて採用したジャイロジンバル型サポート構造を採用しています。この方式では内外2つのリングの支点に精度の高いミニチュアベアリングを使用しており、トーンアームの感度を改善することでディスクリート方式の4チャンネルレコード再生にも対応しています。
アンチスケーティング機構は針圧と針先の種類に対応したものとなっており、ダイヤル方式で赤文字が楕円針、白文字が円錐針となっています。
針圧調整は直読式の数字表示型となっており、ダイヤルを回して調整します。直読による値の誤差は±0.1g以内に収められています。また、3g~5gの針圧をかける時にはカウンターウェイトを回転することで調整でき、1回転させると0.5g加減できます。
1229は0.25g以上の針圧で使用します。
カウンターウェイト部はウェイトとシャフトがあらかじめ組付けられており、ウェイトはシャフトにゴムのショックアブソーバーを介してダンプされ、アームの共振やショックを吸収する構造となっています。
また、このカウンターウェイトはゼロバランス調整時にシャフトを含めた全体の前後で大体のバランスをとり、さらにカウンターウェイトを回転させることで正確なバランスをとることが可能です。
モードセレクターを搭載しており、正確なヴァーチカルアングルを得られます。
オートターンテーブルではシングルプレイ時とマルチプレイ時とではヴァーチカルアングルが異なります。1229ではモードセレクターによってトーンアームの支点の高さを切換えることで正確なヴァーチカルアングルが得られます。マルチプレイ時は3枚目のレコード演奏時に15゜になります。
このモードセレクターは安全ロック機能も備えており、マルチプレイ用のスピンドルが取り付けられている時にはマルチプレイポジションになっていないとオート機構が作動しない設計となっています。
ヘッドシェルにはダイキャスト製のものを採用しています。また、カートリッジホルダー部はEIA規格となっており、殆どの市販カートリッジに対応しています。
カートリッジホルダーはヘッドのフィンガーを前後する操作で簡単に着脱できる構造となっています。
ビスコスダンプシリンダーを用いたキューコントロール(アームエレベーション機構)を備えています。
別売りオプションとして3種類のプレイヤーキャビネットがありました。
CK-20/CH-20はDual社製のオリジナルプレイヤーケースで、ベースの前面は開閉でき、スペアシェルや45アダプター、マルチスピンドルなどを収納できます。また、アクリルカバーは上側に全開も、前半分を特殊アクリルヒンジで開閉・折りたたむこともできます。また、特別ヒンジを採用しており脱着ができ、マルチプレイ時もカバーをかぶせたままで行えます。
DB-31/DCOV-3はオリジナルに準ずる日本産ケースで、ベースの前いたは開閉でき、内側にスペアシェルやマルチスピンドルなどを収納できます。また、アクリルカバーは特別ヒンジで脱着できますし、マルチプレイ時もかぶせたまま演奏できます。
DB-3/DCOV-3はスタンダードタイプのケースで、DB-31と寸法や仕上げは同じですが、収納スペーサーが省略されています。
機種の定格
型式 | レコードプレイヤー |
ターンテーブル | 30.5cm非磁性体ダイキャスト製、3.1kg 完全ダイナミックバランスド |
駆動モーター | シンクロナス連続ポールモーター |
スピード | 33・1/3、45、78rpm |
ピッチコントロール | 各スピード6%(約半音) |
ワウ・フラッター | 0.06%以下(DIN45 507による) |
ランブル (DIN45 500による) |
-42dB -63dB |
トーンアーム | エクストラロング・パイプアーム |
トーンアーム支持 | 4点ジンバル |
トラッキングエラー | 1.5゜以下 |
トーンアーム角度 (カートリッジによる) |
水平方向:0.015g以下 垂直方向:0.007g以下 |
カートリッジ取付 | 着脱可能専用シェルによる (1~12gのカートリッジ取付可能) |
針圧調整 | 直読式ダイヤル、0~3g可変(5.5gまで可能) |
アンチスケーティング | 円錐/楕円針別直読式ダイヤル |
キューコントロール | シリコンオイルダンプ式 |
ストロボ | ネオン反射型ストロボスコープ (33・1/3、45rpm用) |
電源 | AC110/220V、スイッチ切換 50Hz/60Hz、モータープーリー交換 |
消費電力 | 約10W |
外形寸法 | 幅376x高さ26(カウンターウェイト部)x奥行308mm |
重量 | 7.2kg |
付属 | シングルプレイ用スピンドル マルチプレイ用スピンドル 45回転ドーナツ盤アダプター |
別売 | Dual製ケース/カバー CK-20/CH-20(¥27,000) 国産ケース/カバー DB-31(¥5,600)/DCOV-3(¥4,300) 国産ケース/カバー DB-3(¥3,400)/DCOV-3(¥4,300) スペアヘッドシェル TK-14(¥1,200) ドーナツ盤マルチプレイスピンドル AS-12(¥1,800) |