オーディオの足跡

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DS-V5000の画像
 解説 

DS-Vシリーズの第2弾としてダイヤトーンの技術を投入して開発された4ウェイフロア型スピーカーシステム。

低域には32cmコーン型ウーファーを搭載し、中低域には18cmコーン型ミッドバスユニットを搭載しています。

ウーファーとミッドバスの振動板にはスーパーアラミッド繊維を用いたスーパー・アラミッド・ハニカム振動板を採用しています。
スーパーアラミッド繊維は、アラミッド繊維の持つ基本特性である高強度と優れた振動減衰特性、低質量(炭素繊維の25%も軽量)に加え、40%の大幅な弾性率増加を実現しています。このスーパーアラミッド繊維をハニカム振動板のスキン材に採用し、優れたコア素材とのハイブリット構造とすることで、優れた比弾性率と紙に匹敵する適度な内部損失を確保しています。

ウーファーとミッドバスの磁気回路にはA.D.M.C.-i(Advanced Magnet Circuit-impulse)を採用しています。
A.D.M.C.では、センターポールに導電性のリングをダブルに配することでボイスコイルからの交流磁束を相殺しており、直流磁束と交流磁束との重畳で起こる磁気歪を抑制しています。さらに磁気回路内の交流磁束による直流磁束の乱れも低減し、安定化と低歪化を実現しています。
A.D.M.C.-iはA.D.M.C.の基本理論を発展させたもので、交流磁界解析の検討をさらに加えることによって高速応答性を実現しています。A.D.M.C.-iでは、最適寸法形状物性値を持つ歪抑制リングを配置することで入力信号に対する応答性を増しています。また、マグネットを通る交流磁束密度成分を極少にし、直流磁束による磁気回路の動作点の振動を抑えることにより、過渡応答に対する磁気回路の動作を安定させています。さらに、発生する交流磁束密度成分の総発生量の抑制と対称性の向上とによって、交流磁界に対する時間軸領域での安定を向上させています。

ミッドバスユニットには、球状黒鉛鋳鉄の防磁シールディングが施されており、電磁妨害を排除しています。
また、内部定在波による干渉を防ぐためバックチャンバーを採用しています。

中高域には6.0cmドーム型ミッドハイユニットを搭載し、高域には2.3cmドーム型トゥイーターを搭載しています。

ミッドハイとトゥイーターの振動板にはB4C(ピュアボロン)振動板を採用しています。
B4Cは、チタンの5倍、ボロン化チタン振動板の2.2倍(音速値12.1x1011cm2/sec2)の弾性率を示し、音の伝播速度を示す音速値は実測で11,000m/secを超える優れた物性値を持っています。さらに、内部損失は金属系振動板では到底実現できない高い値を持っています。しかし、B4Cは優れた特性を持つ反面、2,450℃という非常に高い融点を持っているため、ドーム状に成型するのが極めて困難という問題点を持っていました。
ダイヤトーンでは、独自のプラズマ溶射法によってB4Cを15,000℃以上という超高温プラズマ炎中に入れて溶融させ、これを高速で物体の表面に吹き付けて被膜を形成。さらに溶射後に不活性ガス雰囲気中で高温焼成して製造しています。これにより、B4C粒子間の結合を強め、空孔を一様に分布したピュアボロン・ダイアフラムを実現しています。

B4C振動板の優れた特性を最大限に活かすため、ミッドハイとトゥイーターには高剛性振動板構造であるD.U.D.と高剛性ユニット構造であるD.M.(ダイレクトマウント)を採用しています。
D.U.D.構造では、ダイアフラムとボイスコイルボビンを一体化することで、ボイスコイルに発生した駆動力を損失なく伝達することが可能です。また、D.M.でエンクロージャーにしっかりとマウントしており、磁気回路のプレート部を直接マウントしたモノコック構造によって堅牢なユニットを実現しています。

ミッドハイとトゥイーターの保護用ネットには硬鋼線と銅線とのハイブリッド構造を採用しています。

フレーム部の凹凸による音への悪影響を低減するためフラットサーフェスを採用しており、ユニットをエンクロージャーにマウントする止めネジにも凸部の少ない防振キャップを装着することでフレームとの連続性を持たせています。これにより音波の回折を抑制し、反射を防止しています。
また、止めネジに制振材を使用するとともに、フレーム及びプレートからの不要輻射にはダンピングの効いた特殊塗料を採用することで、徹底的に不要輻射を抑えています。

4ウェイ4スピーカーシステムの最適音像定位を実現するためにユニットを近接化したレイアウトにすると、中低域・低域ユニットのフレーム等が中高域・高域ユニットの音放射を乱してしまいます。
これを防ぐため、中低域・低域のフレームに不要輻射の少ない弾性体材料を用いており、その表面に最適なマイクロドームズの形状と寸法を算出した小さな球状突起を多数設けることで効果的に回折を防止しています。

ネットワーク部は、コンピューターシミュレーションによって設計されており、直流抵抗、歪とも極少になる部品を採用しています。
徹底した測定と視聴を繰り返して選ばれたコンデンサーや、金属境界面歪の低減と高信頼性を実現させた無酸素銅線スリーブによる圧着ワイヤリングが採用されています。また、内部配線材には高純度無酸素銅を使用しています。

金メッキ仕上げされた大型入力端子を採用しています。

フロントバッフルには、堅く響きの美しい38mm厚のシベリア産カラ松合板の直交張り合わせを採用しており、大型ラウンデッド・バッフルにしています。また、リアバッフルにはピアノ材に使われる優れた減衰特性と美しい響きを持つシトカスプルースのランバーコアを、他の部分にはカナダ産の針葉樹材2プライ・パーティクル・ボードを使用しています。
さらに各板の両面にウォールナット化粧突き板を貼り、高剛性かと耐候性を実現しています。

エンクロージャーの天板組みには、減衰特性に優れ、響きの美しさを重視したソリッド材はめ込み構造を駆使しており、キャビネット稜線の音響的強度を向上させています。
また、内部構造にはダイヤトーン伝統の分散共振構造を採用しています。

外観はウレタン塗装で仕上げられています。

機種の定格
方式 4ウェイ4スピーカー・密閉方式・フロア型・防磁(EIAJ)タイプ
使用ユニット 低域用:32cmコーン型
中低域用:18cmコーン型
中高域用:6.0cmドーム型
高域用:2.3cmドーム型
公称インピーダンス
再生周波数帯域 23Hz~80kHz
出力音圧レベル 91dB/W/m
クロスオーバー周波数 320Hz、1.2kHz、4.5kHz
最大入力 180W(EIAJ)
定格入力 60W(EIAJ)
外形寸法 幅510x高さ1,000x奥行420mm
重量 84kg