DIATONE DS-90C
¥190,000(1台、1977年発売)
解説
最新の技術と、長年のスピーカーづくりで蓄積したノウハウを結集して開発された高級フロア型スピーカーシステム。
低域にはHC(ハニカムコンストラクション)コーンを用いた40cmコーン型ウーファーを搭載しています。
HCコーンはアルミニウムの薄箔で出来た蜂の巣状のハニカムコアの両面をGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の薄膜で挟んだ構造となっています。このため、空気層が振動板全体の90%前後を占め、軽くて剛性にも富んだ振動板を実現しています。また、HCコーンは重量対強度比、重量対剛性比が他の振動板に比較して非常に大きいため、ピストン振動域から発生する歪を大幅に低減することができています。さらに、振動板の裏面に発泡体のダンピングシートを貼ることで適度の内部損失を持たせ、固有振動の発生を抑えています。
磁気回路には低歪磁界回路を採用しています。この磁気回路では特殊な鉄・ニッケル合金の低歪リング(FNリング)を磁極空隙部に装着することで磁気回路から発生する駆動系の非直線歪を従来のスピーカーに比べて約1/10(-20dB)以下に低減しています。
中域には16cmコーン型スコーカーを搭載しています。
ウーファーにも採用された低歪磁気回路、吟味を重ねたコーン紙、適度の粘弾性を持つクロスエッジ、耐入力性に優れたボイスコイル、ダイカストフレームなどを採用しており、綿密な測定とヒアリングテストを重ねて開発されています。
また、ウーファーの指向性が500Hz付近で劣化し始めるため、これをカバーするためにクロスオーバー周波数を350Hzに設定し、3.5kHzまで使用しています。
高域には5cmセミドーム型トゥイーターを搭載しています。
コーンの有効振動半径は極力小さく設計されており、際高域まで優れた指向性を保つと共に、ピストン振動域を伸ばして分割振動を少なくし、歪の発生を抑えてトランジェントを向上させています。また、ボイスコイル径を大きく設計することで許容入力を大きくしています。さらにセンタードーム部は円錐型の特殊形状となっており、剛性を高めピストン振動域を伸ばして特性を改善しています。
スコーカーとトゥイーターは厚さ10mmの頑丈なダイカスト製バッフルに固定されており、スコーカー背面の空洞共振を防ぐことで濁りの無いクリアな中高音域を実現しています。また、ユニットの配置を左右対称にすることでステレオ再生時の指向特性を向上しています。
バスレフポートにはトライアングルダクトを採用しており、ダクト内部の共振やキャビネット内部での定在波の発生を防止しています。
エンクロージャーには内容積206リットルの大型エンクロージャーを採用しています。また、内部構造には分散共振型を採用しており、エンクロージャーの振動パターンを物理的に解析し、補強棧を不均一に分散配置することで箱鳴りを抑えています。
接合部は精巧な木工技術を駆使してしっかりと固定されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:40cmコーン型 中域用:16cmコーン型 高域用:5cmコーン型 |
定格インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 20Hz~20kHz |
出力音圧レベル | 95dB/W(新JIS) |
クロスオーバー周波数 | 350Hz、3.5kHz |
最大入力 | 100W |
レベルコントロール | 中域:5ポジション(350Hz~3.5kHz) 高域:5ポジション(3.5kHz~20kHz) |
外形寸法 | 幅570x高さ1,075x奥行480mm |
重量 | 75kg |