解説　

ダイヤトーンの次世代スピーカーとして開発されたスピーカーシステム。

ウーファー
低域にはカーボングラファイトハニカム・コーンを用いた32cmコーン型ウーファーを搭載しています。

カーボングラファイトハニカム・コーンは、ダイヤトーン独自のハニカムコンストラクション・コーンで、軽質量、高剛性、適度な内部損失、大きな曲げ剛性などの低域ユニットに求められる条件を高次元でクリアしています。DS-77EXでは、新しくスキン材として高い比弾性率を誇るカーボングラファイト・コンポジットを採用しており、新開発ハニカムコアと相まって、低歪、低共振、優れた高速応答性を獲得しています。

DS-77EXではフレーム構造にも注目し、独自のR.S.(ハイリジッド・サポート)フレームを開発・採用しています。
このフレームは強固な8本脚フレームで、共振を抑えるために脚の形状を交互に変え、共振モードを分散させてます。これによりフレームと磁気回路の剛性を強化し、磁気回路の微振動を抑えています。

スコーカー
中域には10cmコーン型スコーカーを搭載しています。

振動板には1000フィラメントカーボンクロス･コーンを採用しています。
この振動板には、カーボンファイバーフィラメント10本を1本の糸として繊維状にした1000フィラメントカーボンクロスを使用しています。これにより、軽く、弾性が高く、しかも減衰特性に優れ、固有音が少ない広帯域ユニットを実現しています。
またセンターキャップには、無処理のチタンより約40%高い比弾性率を有し、さらに軽質量で硬度の高いスーパーω-チタンを採用しており、高音部の特性を改善しています。

エッジ部には高精度のタンジェンシャルエッジを採用しています。
このエッジは素材にも検討が加えられており、表面にダンピング材をコーティングした布を2枚貼りあわせた積層クロスとしています。これにより音の立ち上がりを改善するとともに鳴きを抑えた中音域を実現しています。

フレーム部にはウーファー同様にR.S.フレームを採用しています。

トゥイーター
高域には2.5cmドーム型トゥイーターを搭載しています。

振動板素材には、ω-チタンにさらに特殊表面硬化処理を施したスーパーω-チタンを採用しています。
スーパーω-チタンは無処理のチタンに比べて比弾性率が約40%以上向上しており、再生帯域を大きく拡大しています。また、この被膜形成によって振動板組織も物性値の異なる3層構造となり、金属振動板にありがちな鳴りを抑えています。
さらに、DS-77EXではダイアフラムとボイスコイルボビンを一体化したD.U.D.構造を採用しており、高域共振周波数を可聴帯域外へ追放しています。また、接着部分でのエネルギーロスを解消し、ボイスコイルに発生した駆動力を損失なく伝達することで、入力信号への応答性を大幅に改善しています。

フレーム構造にはD.M.方式を採用しており、磁気回路をフレーム化したモノコック構造によって高剛性化を図っています。

ネットワーク
ネットワーク部の結線は全て直流抵抗の少ないOFCを使用しています。また結線方式は、電線どうしをスリーブに通し、スリーブをかしめて圧着する圧着ワイヤリング方式を採用しています。これにより異種金属による境界面での歪を抑えています。

入力端子以降の配線を各ユニット間で完全に独立させており、各ユニット・ネットワーク間の干渉を排除しています。

ウーファー用のコイルは特に大きな磁束を発生させるため、これを独立させた2分割構造とすることで混変調を排除しています。

エンクロージャー
エンクロージャーのフロントバッフルには4サイドラウンドバッフル構造を採用しており、上下左右の4辺に丸みを持たせることで回折効果を抑え、中高域を改善しています。

エンクロージャーの内部構造にはモーダル解析を駆使した高剛性・分散共振構造を採用しており、全体から振動モードを分析し、そのバランスを保持することで高分解能再生を可能にしています。
材質には高剛性で固有音の少ない高密度チップボードを厳選して使用しており、低域のモードにについてはエンクロージャー自体の剛性を上げ、中高域のモードはダイヤトーン独自の分散共振型構造で対応しています。

DS-77EXにはダークブラウンのブラックの2種類のカラーバリエーションがありました。

機種の定格

方式	3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型
使用ユニット	低域用:32cmコーン型 中域用:10cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型
公称インピーダンス	6Ω
再生周波数帯域	35Hz～30kHz
出力音圧レベル	91dB/W/m
クロスオーバー周波数	600Hz、5kHz
最大許容入力	230W(EIAJ)
外形寸法	幅380x高さ680x奥行325mm
重量	21kg