DIATONE DS-37B
¥59,800(1台、1980年発売)
解説
DUD構造などのダイヤトーンの独自技術を投入して開発されたブックシェルフ型スピーカーシステム。
低域には32cmコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板には新型のプレスコーンを開発・採用しています。このコーン紙は、特殊成型によって周辺部の厚みを増すとともに高密度化されたもので、軽さを失わずに強度を高め、ピストンモーション帯域を拡大しています。
また、磁気回路には低歪磁気回路を採用しており、駆動系から発生する歪を低減しています。低歪磁気回路では、冶金工学的アプローチから開発されたニッケル系特殊合金をポールピースなどの磁性材料表面部に装着しており、磁束分布の不均一性を改善して歪を提言しています。
フレームにはダイカストフレームを採用しており、共振を低減しています。
中域には10cmコーン型スコーカーを搭載しています。
コーン紙には従来より定評のあるドライプレスコーンを採用しています。また、ジュラルミン薄板を成型して適度なダンピング処理を加えたセンターキャップと、特殊ダンピング材を塗布したクロスエッジによって中高音域での鳴きを抑えています。
高域には4cmセミドーム型トゥイーターを搭載しています。
ダイアフラムには軽質量で硬度の高いチタン合金を採用しており、分割振動を抑えることによってクリアな高音域を得ています。また、ボイスコイルボビンとダイアフラムとの接着部分で発生するエネルギーのロスに着目し、ダイアフラムとボイスコイルボビンを一体成型したDUD構造を採用しています。この構造は従来困難であったチタン合金の深絞り加工によって実現しており、ボイスコイルボビンの振動は直接ダイヤフラムに伝達されるため、応答性の良いトランジェント特性と優れたパルシブな音を得ています。また、ボイスコイルボビンから発生する熱の逃げる面積も広がり、耐入力性能が向上しています。
ネットワーク回路を構成している素子を慎重に選びぬいた低歪ネットワーク回路を採用しています。
この回路では、コンデンサーには高域特性に優れたメタライズド・ポリエステルフィルムコンデンサーを採用しています。また、電解コンデンサーも漏れ電流や誘電体損失の少ない低歪形となっています。そして、コイルには直流抵抗が少ない積層オリエントコア入りコイルを特殊ワニス含浸して使用しています。
さらに、各素子はしっかりと固定すると共に、部品配置や配線方法についても部品相互間の干渉を少なくするよう注意が払われています。また、内部の配線には導電率の高い無酸素銅線を採用しており、高純度な伝送を可能にしています。
中域と高域に、それぞれ4段切換が可能なレベルコントロールを搭載しており、状況に応じた調整が可能です。
フロントバッフルには縦一列のユニット配置を採用しており、高域の指向性改善を図っています。さらに、左右のスピーカーを対称形とすることによって音像定位を改善しています。
エンクロージャーはモーダル解析とヒアリングを繰り返して慎重に設計されています。
また、箱の剛性と機密性を高めるため、包み留めホゾ接ぎと呼ばれる接合構造をバッフル板接合部に採用するとともに、補強材を適所に配した分散共振構造によって共振モードを分散して箱鳴りを抑えています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:32cmコーン型 中域用:10cmコーン型 高域用:4cmセミドーム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 30Hz~30kHz |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、5kHz |
出力音圧レベル | 91dB/W |
最大入力 | 80W |
レベルコントロール | 中域:4ポジション(600Hz~5kHz) 高域:4ポジション(5kHz~30kHz) |
外形寸法 | 幅370x高さ680x奥行380mm |
重量 | 24kg |