DIATONE DS-35BmkII
¥55,000(1台、1978年発売)
解説
DS-35Bをベースに新技術を導入することでさらなる低歪化を図ったスピーカーシステム。
ウーファーとスコーカーの磁気回路にはDS-35Bにも採用された低歪磁気回路を採用しています。
この磁気回路では、冶金工学的なアプローチによって開発された磁化特性の直線性が優れた特殊な磁性合金材料を、磁極空隙近傍部に装着しています。これにより磁気回路から発生する駆動系の非直線歪を従来のスピーカーに比べて約1/10以下に改善しています。
DS-35BmkIIでは、さらに低歪化を徹底させて音質の向上を図るため、低歪ネットワーク回路を採用しています。
この回路は、物理テストとヒアリングテストによってコイルやコンデンサーの素材から回路構成まで十分に検討がされており、ラミネートコアを採用することで直流抵抗に配慮したL素子と、音質的に吟味したコンデンサーを使用することで、低歪化を図っています。
低域には30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットのコーン紙には、繊維の組成が崩れない新方式の真空成型(真空を利用して成型する方法)による加工が施されており、さらに太いコルゲーションが入っています。真空成型方式でプレスしたコーン紙は、繊維が無理の無い状態で傷つかずに結びついているため、適度な内部損失を持つと共に十分な強度を確保することができ、大入力にも耐える丈夫さを得ています。
また、フレームには新設計の八角形ダイカストフレームを採用するとともに、エッジ部にも改良が施されています。
中域には10cmコーン型スコーカーを搭載しています。
エッジ部にはポリエステル樹脂フィルムを採用しており、特殊なダンピング処理を施す事で特性をコントロールしています。これにより、立ち上がり特性やパルシブな信号に対する応答性が向上すると共に、コーン紙の横ブレやねじれを防ぎ、歪の発生を抑えています。
フレームには強固なダイカストフレームを採用しており、フランジ部は凹凸の無い直線テーパーの形状を採用することで、反射による特性の乱れを解決しています。
高域には3cmドーム型トゥイーターを搭載しています。
ダイアフラムには軽くて剛性が高いGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を採用しており、分割振動を抑えています。さらに適度な内部損失を持っているため、固有振動が起こりにくくスムーズな高域特性を得ています。
さらに、トゥイーターのエッジ部には特殊な加工が施されており、エッジ部の鳴きを抑えています。
中域と高域にはそれぞれ4段階の調整ができるレベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーには左右対称のユニットレイアウトを採用しており音像定位を改善しています。
また、内部構造には分散共振型を採用しており、強固な接合構造と特殊な分散型の補強棧によって振動を抑えるとともに、共振モードを分散化することで箱鳴り現象を抑えています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型 中域用:10cmコーン型 高域用:3cmドーム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35Hz~20kHz |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、5kHz |
出力音圧レベル | 90dB/W |
最大入力 | 80W |
レベルコントロール | 中域:4ポジション(600Hz~5kHz) 高域:4ポジション(5kHz~20kHz) |
外形寸法 | 幅365x高さ655x奥行331mm |
重量 | 21kg |