DIATONE DS-303
¥125,000(1台、1974年発売)
解説
DS-301に続く最高級機種として開発されたスピーカーシステム。
優れたスピーカーを実現するため無響室の測定だけでなく、床板に直置きした場合の特性や、無限大バッフルを想定して大地に埋め込んだ時の特性などの様々な状況下で測定を行い、設計されています。。
低域には30cmコーン型ウーファーであるPW-3040BMを搭載しています。
中域には6cmドーム型スコーカーであるDM-6010CM、高域には2.3cmドーム型トゥイーターであるDH-2310CM、超高域には1.6cmドーム型スーパートゥイーターであるDH-1670BMを搭載しています。
これらのユニットの振動板には、それぞれ性能・音質の点からフェノール樹脂、紙、軟質アルミニウムを採用しており、自然な音のつながりを得る事に成功しています。
中域と高域、超高域にはそれぞれ独立したコイルタップ方式のステップ式アッテネーターを搭載しています。
中域と高域はそれぞれ4段階、超高域は3段階にコントロールすることができます。
DS-303では、ウーファーユニットをピストン振動限界域より1オクターブ低い周波数である600Hzで減衰させ、スコーカーユニットとつないでいます。また、スコーカーの限界周波数より1オクターブ低い5kHzでトゥイーターユニットにつなぎ、さらにトゥイーターも分割共振域に入って特性が乱れ始める周波数より1オクターブ低い10kHzでスーパートゥイーターとつないでいます。
これによってクロスオーバー周波数の接ぎ目が自然になり、パワーレスポンスも滑らかになっています。また、ピストン振動域の良好な範囲を使用することでスピーカーユニットの特性を安定させ、システムとしての物理特性や音質も安定させています。
エンクロージャーにはダイヤトーンとして初めて左右対称設計を採用しており、指向特性を改善することで、システムの右側と左側での音質の違いを解消しています。
また、フロントバッフルの外周が平坦なエッジレスキャビネットを採用しており、古いスピーカーシステムに見られるフロントバッフル外周が飛び出た設計で発生する指向性の乱れを改善しています。さらに、前面ネットでの影響も排除するために左右両側面にはスリットを設けるなどの対策が講じられています。
キャビネット材の選定には物理データと聴感テストによる十分な検討がされており、裏面を除く5面には多層構造パーティクルボード、裏板には減衰特性の優れたカナダ産ダグラスファーを採用しています。
また、補強棧に分散型を用いることで共振が集中することを防ぎ、自然な減衰特性を得ています。
DS-303では、音楽鑑賞をする場合にどの程度の出力を持ったアンプで駆動すれば良いかという使用上の検討が加えられています。
12畳から16畳にかけての大きなリスニングルームで聴取レベル100dB(瞬時値)をステレオ再生で確保するためには、能率を考慮すると100Wの耐入力性た必要となります。また、4.5畳や6畳程度の小さい部屋で条件を満たすためにも最低40W程度の出力た必要となります。
このため、DS-303では40W~100W程度の出力を持ったアンプで駆動することが推奨されていました。
(下の聴取レベルとスピーカーシステムからの距離に関するグラフを参照)
機種の定格
方式 | 4ウェイ・4スピーカー・アコースティックエアーサスペンション方式 ・ブックシェルフ型 |
使用ユニット等 | 低域用:30cmコーン型(PW-3040BM) 中域用:6cmドーム型(DM-6010CM) 高域用:2.3cmドーム型(DH-2310CM) 超高域用:1.6cmドーム型(DH-1670BM) |
定格インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 30Hz~35kHz |
出力音圧レベル | 90dB/W(新JIS) |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、5kHz、10kHz |
最大入力 | 100W |
レベルコントロール | 中域用:4ポジション 高域用:4ポジション 超高域用:3ポジション |
外形寸法 | 幅360x高さ620x奥行328mm |
重量 | 34kg |