DIATONE DS-1000HR
¥129,000(1台、1986年発売)
解説
DS-10000で培った技術を投入して開発されたスピーカーシステム。
ウーファー
低域には27cmコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板にはポリアミド・ハニカム・カーヴドコーンを採用しています。
ハニカム振動板は比弾性率が高く、体積の大部分(90%程度)が空気層であるため、密度は0.1~0.25g/cm3と小さく適度な内部損失が得られるという特長を持っています。DS-1000HRではこの振動板のスキン材に長繊維強化複合材料である高抗張力ポリアミド繊維を採用することで振動板の完成度をさらに高めています。また、低域での高次高調波歪を低減するためにカーヴド・コーン形状を採用しており、高域限界周波数の拡大を図っています。
フレーム構造にはDMM方式を採用しています。
この方式では磁気回路を含むユニット全体を強固なアルミダイカストフレームで後方から強力に支持しており、磁気回路とフレームを事実上一体化しています。これにより磁気回路とフレームの振動を押さえ込んでいます。さらに2次や3次の高次モードの共振を抑えるため、新たに減衰をコントロールするという概念を加味することでさらなるS/N向上を実現しています。
スコーカー
中域には5.0cmドーム型ミッドレンジを搭載しています。
振動板には50mmボロンDUDドームを採用しています。
振動板の構造に採用されたDUDはダイアフラムとボイスコイルボビンを一体化したもので、ボイスコイルに発生した駆動力を損失なく振動板に伝達することが可能です。これによりトランジェント応答性の改善や高い高域限界周波数の実現とともに、リニアリティや耐入力性の向上などの特性を得ています。
また、DS-1000HRでは振動板素材に使用されているボロンの拡散成長をさらに改良しており、結晶成長ボロンによってチタン母材のボロン化をより押し進め、振動板としての完成度を高めています。
振動板の支持部にはコーネックス基材に両面ブチルコーティングの積層タンジェンシャルエッジを採用しています。
フレーム部にはDM方式を採用しています。
この方式では磁気回路とフレームを一体化させたモノコック構造としており、磁気回路を直接エンクロージャーにマウントすることで入力信号を振動板に損失なく伝達しています。これにより微小レベルの信号も優れた立上り、立下り特性を示しています。
また、バックカバーには従来より強固な8点留めを採用しており、中域の減衰特性の向上を図っています。
ツィーター
高域には中域同様に強化拡散ボロナイズドチタンDUD振動板を用いた2.3cmドーム型ツィーターを搭載しています。
また、フレーム部にDM方式を採用することで立ち上がり特性を改善しています。
ネットワーク
ネットワーク部ではハンダ付けによる電流の金属境界面歪に着目しており、無酸素銅スリーブによる圧着ワイヤリング方式を採用しています。
また、DS-1000HRでは各ユニットへの電流密度の均一化にも着目しており、各ユニットが同じ条件で電流密度のバランスがとれ、ダイレクトに給電できるラジアル分電板を採用しています。
信号伝送の純化に着目し、ネットワークを構成するインダクターの相互の電磁結合や、各ユニットのボイスコイル駆動電流によるリーケージフラックスの悪影響を排除するため、回路構成や素子配置に注意を払い、3分割3ピース構成のネットワーク回路を採用しています。
また、取り付け方法にも振動解析技術を駆使しており、エンクロージャーの振動とスピーカーの内圧による悪影響を最も少なくするための配置を算出し、しかもネットワーク基材には振動減衰の美しいスプルース材を採用しています。
エンクロージャー
エンクロージャーのバッフル板には30t厚さのパーティクルボードを採用することで剛性を高め、裏板は樺合板とパーティクルの3層構造とすることで優れた減衰特性と美しい響きを実現しています。
各種のコンピューター振動解析技術を駆使して各ユニット自身の振動とエンクロージャーの各板面の振動による音放射、音響相互インピーダンスを解析しています。そして、高次のモードはダイヤトーン伝統の分散共振構造で抑え、低次のモードはエンクロージャー自身の箱としての剛性を高め、全体的な振動のバランスをとることで高解像度再生を実現しています。
回折効果による音場の劣化を防ぐためにラウンドバッフルを採用しています。さらにバッフル板上下面にテーパーを施すことでより3次元的な音場再生能力を高めています。
その他
別売りオプションとしてスピーカースタンドがありました。
機種の定格
方式 | 3ウェイ3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:27cmコーン型 中域用:5.0cmドーム型 高域用:2.3cmドーム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35Hz~40kHz |
出力音圧レベル | 90dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、5kHz |
最大入力 | 180W(EIAJ) |
外形寸法 | 幅360x高さ636x奥行325mm |
重量 | 29kg |
別売:スピーカースタンド DK-10(2台1組、¥30,000) | |
外形寸法 | 幅370x高さ253x奥行300mm |