DENON TU-720
¥34,800(1981年頃)
解説
最新のデバイスや技術、デザインにより、音質と操作性の向上を図ったFM/AMチューナー。
フロントエンド部は、初段に高周波特性、雑音特性に優れたFETと、高精度3連バリコンを採用しています。
また、中間周波増幅段(IF段)は、低歪率、高選択度を両立させるリニアフェイズ・セラミックフィルター3段構成とし、低歪化を実現しています。
検波部には、新開発のQuadrature検波ICを採用しており、位相特性の直線性を改善し、歪を低減するとともにS/N比を改善しています。
また、MPX部には新開発のPLL-MPX ICを採用しており、さらにMPX部専用のリップルフィルター回路によって、電源リップルによるノイズ成分を低減し、諸特性を改善しています。
音楽信号の劣化を抑えるため、IC内にラインアンプを内蔵させ、MPX部とオーディオ・アンプ間のカップリング・コンデンサーを除去したDC構成とし、周波数特性や歪率、S/Nなどへの影響を抑えています。
局部発振周波数が周囲の温度変化などに左右されず、安定した発振をするために、サーボロック回路を内蔵しています。
LED使用のチューニングメカニズムによってチューニングを行った後に、サーボロック機構を動作させることにより、同調ズレを防止し、歪を抑えた安定した受信を可能にしています。
FM受信時のチューニング表示は、3個のLEDによって周波数のズレ方向(赤いLEDが指示)とジャスト・チューニング(緑のLEDが指示)を表示する方式を採っています。
また、アンテナ入力の信号レベルは、FM/AMともに10点のLEDで示し、電波の強さに応じて点灯するLEDの数が変化します。
AMチューナー部には、2連バリコンと3端子型高選択度セラミックフィルター2段にコイルを組合わせたIF段で構成し、9kHzのビート障害を排除しながら、安定した音質を得ています。
さらにアンテナには、空中の様々なノイズに強い新開発ローインピーダンス・ループ型を採用し、高感度、高S/N化を図っています。またこのアンテナは、裏面パネルと着脱自在となっています。
エアチェックに便利な録音レベルチェック用発振器を内蔵しています。
FM/AM/Rec.Calの各ファンクションは電子切換えとなっています。
電源on-off時の雑音、局間ノイズを除去するミューティング回路を搭載しています。
機種の定格
| 型式 | AM/FMチューナー |
| <FMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 76MHz~90MHz |
| アンテナ端子 | 75Ω、300Ω(ターミナル式) |
| 実用感度 | 0.85μV/9.8dBf |
| S/N50dB感度 | stereo:15μV/34.7dBf mono:1.7μV/15.6dBf (μVは75Ω時、0dBfは10-15W(新IHF規格) |
| イメージ妨害比 | 56dB |
| IF妨害比 | 95dB(83MHz) |
| スプリアスレスポンス | 80dB(83MHz) |
| AM抑圧比(IHF) | 55dB |
| 実効選択度 | 65dB(±400kHz) |
| キャプチャー比 | 1.0dB |
| 周波数特性 | 20Hz~15kHz +0.2 -1.5dB |
| SN比 | stereo:84dB mono:86dB |
| 全高調波歪率(1kHz) | stereo:0.06%(90%変調時) mono:0.04%(100%変調時) |
| ステレオセパレーション | 55dB(1kHz) |
| ミューティング動作レベル | 22dB |
| 出力レベル | 0.6V(100%変調時) |
| <AMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 525~1605kHz |
| アンテナ | ターミナル式、ループ形アンテナ付属 |
| 実用感度(S/N20dB) | 15μV |
| 選択度 | 36dB(±9kHz) |
| SN比 | 55dB |
| 全高調波歪率 | 0.4%(1kHz) |
| 出力レベル | 0.2V(30%変調時) |
| <レベルチェック信号> | |
| 周波数 | 440Hz正弦波 |
| 出力レベル | 0.3V(50%変調時) |
| <総合> | |
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 11W |
| 外形寸法(ツマミ、脚、端子含む) | 幅434x高さ66x奥行308mm |
| 重量 | 3.8kg |