解説　

カーボンファイバーを採用したブックシェルフ型スピーカーシステム。

SC-CX303はヨーロッパのサウンドデザイナーとDENONによる共同開発で設計されています。
コンピューターシミュレーションによって基本設計段階で可能な限りのモデリングを行い、徹底的に基本特性の完成度を高め、さらに試作機に対してもレーザーホログラム解析をはじめとする様々な分析・調整を行って完成度を高めています。

低域には13cmコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板にはカーボンファイバーを用いたD.D.L.(DENON Double Layer)コーンを採用しており、2層構造とする事で広い帯域にわたって正確なピストンモーションを実現するとともに、エッジの共振が特性に悪影響を及ぼさないよう設計されています。
また、磁束分布と支持系の対称性の改善やアルミリングによって磁気歪を低減した磁気回路を採用しており、低域再生能力を高めています。

高域には2.5cmドーム型ツィーターを搭載しています。
磁気回路にはネオジウムマグネットを採用しています。また、ツィーターユニット背面にアルミダイキャスト製チャンバーを配し、ウーファーからの音圧の影響を排除しています。このチャンバーは放熱効果にも寄与し、振動板のベンチレーションホールとともに、ボイスコイル等からの熱による影響を排除しています。
フレームの形状は放射インピーダンスの平坦化を図った設計となっています。

ユニットのフレームにアルミダイキャストを用いると共に、表面に焼付け塗装を施す事で固有の鳴きを減少させています。

クロスオーバーネットワークは、ユニットの特性だけでなくエンクロージャーの反射や部屋の設置状況まで考慮して設計されており、通過帯域だけでなく減衰領域での特性の乱れにも配慮した設計となっています。
また、ツィーター用とウーファー用の回路を独立させ、基板を用いない直配線によって構成しており、振動などによる音質への影響も考慮してフローティングして取り付けられています。
使用パーツはカスタムメイドのDENONオリジナルのコンデンサやコイル、OFC材を用いた内部配線材やバイワイヤショートコード(AK-2000)などを試聴を繰り返して厳選して採用しています。

エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しています。
各ユニットのマウントはエンクロージャーとの間にダンピング材を介してフローティングした状態で取り付けられています。さらにツィーターの取り付けでは使用するネジもフローティングして取り付けるなど、音響的な反射を最小限に抑えるための徹底した配慮がされています。また、ウーファーは背面にブレイス(響棒)を配して固定する事で自然な響きを損なうことなく適度な剛性を確保しています。
板材は厚さ30mmのMDF材に天然木突板のセミグロス仕上げが施されています。さらに、バッフル面の上下と側面のコーナーには木象嵌細工仕上げによる厳密な構造を採用しており、仕上がりの美しさだけでなく、剛性を高めるとともにコーナーでの音の反射を改善し、音の響きをコントロールしています。
バスレフダクトの開口部は裏板削り出しの一体構造で強度を保ち、内側のポートの溝にも同様の削り出しフレアを装着しています。これによりポート前後での放射インピーダンスを揃える事で空気の流れをスムーズにし、鳴きやポートノイズを抑えています。また、設計段階よりウーファーとの相互放射インピーダンスの検討を重ねる事で歪みの少ない量感のある低音を実現しています。

入力端子には金メッキ真鍮削り出しのオリジナルスピーカーターミナルを採用しています。
この端子は透明絶縁カバーで覆われた仕上げとなっています。また、端子板による音質の変化を避けるために直付け構造とし、5mmまでのケーブルを挿入可能なホールの採用やバナナプラグにも対応sいています。

設置状況や好みにで調整できるよう、ダクトチューニング用の吸音スポンジが付属しています。
また、バナナプラグと天然コルク製の滑り止めが付属しています。

機種の定格

方式	2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型・防磁設計(EIAJ)
使用ユニット	低域用:13cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型
周波数特性	35Hz～60kHz
平均出力音圧レベル	86dB/W/m
入力インピーダンス	6Ω
最大許容入力	200W(Peak) 100W(JEITA)
クロスオーバー周波数	3kHz
外形寸法	幅182x高さ296x奥行293mm
重量	8.7kg
付属	コルク製滑り止め スピーカーケーブル(AK-1000、3m)x2 バイワイヤ用短絡ケーブル(AK-2000) 吸音スポンジ バナナプラグ