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DENON DH-510
¥225,000(1978年発売)
解説
DH-710F/DH-610Sの技術を継承しつつ新たにダイレクトテンションサーボを採用したステレオテープデッキ。
メカニズム部にはダイレクトドライブ・キャプスタン方式を採用しています。
キャプスタンモーターには振動が少なく回転の滑らかなアウターローター型のACサーボモーターを使用し、さらに高精度時記録検出方式によるスピードサーボを採用することで高い性能を確保しています。
また、キャプスタンの直径や精度(真円度)は放送局規格クラスのものとし、さらに硬質クロム処理を施すことで耐久性と信頼性を確保しています。
新開発のダイレクトテンションサーボを搭載しています。
この機構では、供給リール側の繰り出し半径の変化によって起こるバックテンションの緩やかな変化やテープの巻きムラ、リールの偏心による急激なテープテンションの変化をサーボアームで常に検出し、このアームの動きをブレーキドラムにほぼ1 1/4周(約450度)巻かれたブレーキバンドに直接伝えてブレーキ圧力を変化させることでテープテンションを一定にしています。
例えばテープテンションが強くなるとサーボアームが移動し、ブレーキバンドをゆるめてブレーキ圧力が弱くなり、テープテンションを一定に保つようにフィードバックが働きます。また、バックスプリングによってリールとテープの質量の変化や、環境条件の変化によるブレーキドラムとブレーキバンドの摩擦係数の変化を補正しています。
この機構は電子式テンションサーボと同等の性能を持っています。また、ブレーキシューには環境条件や経年変化に影響されない新しい材料を開発採用しています。
ダイレクトテンションサーボは張力検出から応答まで極めて速いためテープを傷めず、供給側リールモーターに電圧をかけないためモーターから発生する振動も無くなり、インピーダンスローラーも不要になることでテープの立ち上がり特性も向上しています。
ブレーキサーボを搭載しています。
この機構はサーボアームのローラーにテープが掛けられた時からサーボが働くためテープセッティングが容易がなるだけでなく、走行時やテープが完全に停止するまでバックテンションサーボが動作します。
また、電源をOFFにしている間でもサーボ効果があります。
ガイドローラー兼スクレイプフィルターを設けることによってテープの微振動を効率良く抑え、変調雑音の少ない音質を得ています。
走行メカニズム、ヘッド部、アンプの全てを総アルミ鋳物のフレームにマウントしており、加工精度が良くなり、メカニズム全体の狂いが生じにくく、総合特性の改善に大きく貢献しています。
ヘッドには高硬度パーマロイ型ナローギャップのヘッドを採用することで周波数特性の改善を図っています。
さらに低域のあばれを引き起こす形状効果を少なくするため、特殊形状を採用しています。
アンプ部は電源を高電圧(35V)としており、特に録音アンプでの音の歪やクリップを無くすためダイナミックマージンをプロ機並に十分余裕を持たせ、基準録音レベルに対して30dB以上というテープの飽和レベルを10数dB以上も上回る余裕度を持たせています。
さらに、再生アンプは3段直結型とし、再生音のクオリティ向上を図っています。
マイク入力部は、基準録音入力レベルに対して55dBとダイナミックマージンの大きいマイクアンプと12dB減衰型のマイクアッテネーターで構成されています。
ラインとマイクのミキシング回路にはDH-710F/610Sと同じミキシングアンプが内蔵されています。
連続可変型のバイアス/イコライザーを採用しており、使用テープに合わせてバイアス量と録音イコライザー特性を最適値に設定できます。
操作コントロール部にはICロジックを用いたダイレクトファンクションとしています。
これにより、どの操作モードからもストップを経由しないで次のモードに移ることがができます。デッキ内部ではテープの完全停止を自動的に確認した上で次の動作に移るため、テープの安全性には影響を与えません。
Rec mute/Pause機構を搭載しています。
録音中、曲間などにホワイトスペースを作りたい場合は、ポーズボタンを押し続けることによってRec mute機構が動作し、任意の時間だけ無録音部分が作れ、録音編集に効果を発揮します。その後、単にポーズボタンを離すと通常のポーズ(録音待機状態)になります。
巻取り側テンションアームに光センサー方式の無接触セーフティスイッチを採用しており、信頼性の向上を図っています。
タイマー録音・再生機構を津際しています。
リモートコントロールが可能です。
ローインピーダンス型からハイインピーダンス型までのヘッドホンが使用できます。
水平・垂直のどちらの状態でも使用できます。
機種の定格
型式 | テープデッキ |
トラック形式 | 2トラック2チャンネル録音・再生 |
ヘッド | 録音、再生:ハードパーマロイヘッド 消去:フェライトヘッド |
テープスピード | 38cm/s、19cm/s |
スピード偏差 | ±0.5%以内 |
使用モーター | キャプスタン用:6極アウターローター型ACサーボモーター リール用:6極エディカレントモーターx2 |
キャプスタン駆動方式 | ACサーボモーターによるダイレクトドライブ |
テンションサーボ方式 | ダイレクトバックテンションサーボ |
ワウフラッター | 38cm/s:0.025%Wrms以下 19cm/s:0.03%wrms以下 |
使用リール径 | 最大10号(26形) |
早巻き時間(10号リール、740mテープにて) | 約2分30秒 |
録音バイアス | 周波数:約180kHz バイアス量:±40%調節可能 |
録音再生補償特性 | NAB規格(使用テープにより録音保証の調節可能) |
総合SN比(聴感補正JISA) | 66dB以上(最大録音レベル(514pWb/mm)に対して) 58dB以上(規準録音レベル(200pWb/mm)に対して) |
総合歪率特性(1kHz基準レベル) | 全高調波歪率:0.5%以下 第3高調波歪率(Scotch #250使用):0.1%以下 |
総合周波数特性 | 38cm/s:30Hz~30kHz ±2dB 19cm/s:20Hz~25kHz ±2dB |
チャンネルセパレーション(1kHz) | 50dB以上 |
入力(但し0dB:0.775V) | Mic:0.2mV(-72dB、Att 0dB)/50kΩ不平衡 Line:62mV(-22dB)/100kΩ不平衡 |
出力(基準出力レベル(0VU) | Line:0.775V(0dBm)/100Ω以下、適合負荷600Ω以上 Mic:8Ω以上適合 |
リモコン端子 | 有り |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 80W |
外形寸法 | 幅455x高さ475x奥行210mm |
重量 | 22kg |
付属 | 10号リールx1 10号リールクランパーx2 7号リールクランパーx2 リール高さ調整シートx2 並行ピンコードx2 ソケットレンチM3用x1 |