DENON DCD-1650/DCD-1650G
¥89,800(1990年頃)
解説
ラムダS.L.C4D/Aコンバーターを搭載したCDプレイヤー。
D/A変換部にはラムダS.L.Cの4D/Aコンバーターを搭載しています。
ラムダはLAMBDA(Ladder-from Multiple Bias D/A)の略で、新開発のLSIを用いてデジタルデータを2系統に分け、それぞれゼロクロス点付近に+と−方向にデジタルバイアスをかけてシフトし、原理的にゼロクロス歪を無くす方式となっています。
この方式では、デジタルデータがシフト量よりも小さい場合は元のゼロクロス点を横切る値が無いため、ゼロクロス歪が発生しません。さらに2つのデータをD/A変換してから加算することで直流分が除かれて合成され、ゼロクロス歪の全く無いアナログ出力を得ることができます。この2つのデータはMSBの反転が無く、合成された波形にもゼロクロス歪がありません。しかも、どこかのビットに誤差があっても2つの信号の平均によって歪は1/2に減少します。
また、デジタルデータがシフト量を越える大きさのレベルの場合は本来のゼロクロス点を横切ることになるため、歪が発生する可能性がありますが、これについてもS.L.C(スーパーリニアコンバーター)のMSB補正で除去しています。さらに、楽曲1曲中に全くないか、あるいは数回しかない一瞬のピークレベル時(最大レベルの約99.6%以上)ではラムダはシフト演算をやめ、コンバーターのダイナミックレンジを最大限に使って広ダイナミックレンジを確保します。
DCD-1650では差動アンプ構成とすることでS/N比や歪率などを向上するとともに微小信号の再生能力を高めています。さらに、ラムダプロセッサーの片側の出力を8fsの半周期遅延させ、D/Aコンバーター出力段階で合成することで、16fsと同等の動作を実現しています。これにより不要ノイズを高域シフトし、GICアナログフィルターの採用と相まって位相特性の改善を実現しています。
デジタルフィルターには8倍オーバーサンプリングデジタルフィルターを搭載しており、コンバーターの出力に含まれる24.1kHz以上の高周波雑音をサンプリング周波数を8倍に上げることで高域に移し、アナログフィルターで除きやすくしています。
D/Aコンバーター以降のアナログ回路は左右独立設計となっています。さらに、アナログ回路も信号の流れに沿ったL/R完全独立構成とすることで、チャンネル間の相互干渉を排除しています。
電源部には大型電源トランスと大容量平滑コンデンサーを採用しています。
トップカバーにはアルミ押し出し材を採用しています。
極性表示付きの電源コードを採用しています。
デノン独自のデジタルピッチコマンダーを搭載しており、±12.0%までCDの再生ピッチを変えることができます。
この機能は、デジタルPLLでCD再生のピッチを0.1%刻みで調整できます。
ディスクの最大記録レベルをワンタッチで探せるピークサーチを搭載しています。
時間指定型のタイムエディット機能と2分割型オートエディット機能を搭載しています。
演奏中に好きな場所でフェードイン/アウトや、時間指定したフェードアウトが可能なフェーダー機能を搭載しています。
最大20曲のプログラムプレイを搭載しています。
ディスプレイの明るさを4段階切替できます。
ヘッドホンと兼用のリモコン電動ボリュームを搭載しています。
ブラックタイプのDCD-1650とゴールドタイプのDCD-1650Gの2種類のバリエーションがありました。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | CDプレイヤー |
D/A変換部方式 | リアル20ビットラムダ・スーパーリニア・コンバーター(4D/Aコンバーター方式) |
フィルター | 20ビット8倍オーバーサンプリング・デジタルフィルター GIC3次アナログフィルター |
周波数特性 | 2Hz~20kHz |
SN比 | 115dB |
ダイナミックレンジ | 100dB |
全高調波歪率 | 0.0018% |
チャンネルセパレーション | 110dB |
チャンネル間位相差 | 3゜以内 |
出力電圧 | 固定:2V/10kΩ負荷時 可変:2V/10kΩ負荷時 |
ヘッドホンジャック | 最大出力10mW/32Ω負荷時、Line可変出力兼用ボリューム付き |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 19W |
外形寸法 | 幅470x高さ122x奥行360mm |
重量 | 11.3kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RC-232 |