DENON DL-305
¥65,000(1980年頃)
解説
アモルファス・ボロンパイプを採用したMC型カートリッジ。
肉厚0.025mmの新素材アモルファス・ボロンパイプをカンチレバーに採用しています。
ボロンは軽いながら優れた比剛性(ヤング率/密度)を持つとともに、融点2,300℃という物性を持っておりカンチレバーの材料として最適な元素となっています。そして、アモルファスボロンは小さな粒子がぎっしりと詰まった非晶質状態のため、大きな結晶の集まりであるクリスタルボロンに比べて、破壊強度が約3~4倍も大きくなっています。
この素材を最適な状態で使用するため、独自のC.V.D.(Chemical Vapor Deposition:気相成長)法による極薄のパイプ形成に成功するとともに、ボロン膜面の均一化・緻密かを実現しています。
これにより、振動系の実効質量を0.168mgまで軽量化し、高音域での機械インピーダンスを極小に抑え、軽針圧で忠実・正確なトレースを可能にしています。
針にはソリッドダイヤ特殊楕円針を採用しており、0.01mg以下を実現しています。
針を固定するボロンパイプの先端部はテーパーカットされ、レーザービーム加工による精密な長方形穴に正確に取り付けられてます。
発電コイルは、硬質樹脂の十字型巻枠を使用して振動系全体を軽くするとともに最適な質量バランスをとり、分割振動による特性の中だるみを排除しています。この巻枠方式は振動系軸にコイルを対称的に巻くことが可能で、左右チャンネルの諸特性をそろえられるメリットを持っています。
内部構造には、小型で強力な磁界を得るために希土類コバルト・マグネットと合理的なヨーク構造を採用しています。また、振動系はDL-303及びDL-103シリーズで実績のある一点支持方式によりサポートすることで、磁界中央に常に正しくコイルを保持でき、発電系での歪発生を低く抑えています。
機種の定格
型式 | MC型カートリッジ |
出力電圧 | 0.2mV(1kHz、5cm/s、水平方向) |
再生周波数範囲 | 20Hz~75kHz |
出力インピーダンス | 40Ω(20Hz~20kHz) |
適合負荷 | 100Ω以上(トランス約40Ω) |
チャンネルセパレーション | 28dB以上(1kHz) |
チャンネルバランス | 1dB以内(1kHz) |
スタティックコンプライアンス | 35x10-6cm/dyne |
ダイナミックコンプライアンス | 14x10-6cm/dyne(100Hz、レコード測定) |
針先(チップ) | 0.05x0.1mm角ソリッドダイヤ特殊楕円針 |
適正針圧 | 1.2±0.2g |
自重 | 5.8g |
針交換 | 本体交換(¥39,000) |