
DENON DL-107
¥13,800(1969年2月発売)
¥15,000(1978年頃)
解説
DENON独自に開発した発電方式を採用したMM型カートリッジ。
振動系はDL-103の発電コイルを巻いてある十字型アーマチュアが円盤状マグネットに、マグネットが6ポールヨーク(コアー)とコイルに入れ替わった構造となっています。
磁気回路はE字型構造となっており、円盤マグネットの周辺に一定の間隔を保って左右チャンネル用に90゜の角度で2組配置されています。この磁気回路構造は従来のMM型とは異なるDENON独自のもので、これによって高域特性を改善し、リニアリティに優れたレコード再生を可能にしています。
DENON独自の二重構造カンチレバーを採用しており、剛性と等価質量の軽量化を同時に満たしています。
これにより分割振動などによる中高域特性のたるみを抑えており、高域特性を改善しています。
円盤状マグネットには保持力が強い異方性軽量フェライトマグネットを採用しており、振動系全体の軽減化と高出力化を図っています。
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- 発電原理
E字型コアの中央ポール延長線上に支点を持つ厚みの方向に着磁された円盤状マグネットが、支点を軸にして動くと、図中実線の磁力線に対して破線の磁力線が差動的に変化し、中央ポールには双方の磁力線による逆相の和の磁束が発生し、コイルに電圧を誘起します。
このマグネットの支点が正確であれば、針圧によって針先が沈んでマグネットに多少の傾きが生じてもプッシュプル方式のために波形の上下が対称となり、歪の少ない再生音が得られます。
機種の定格
型式 | MM型カートリッジ |
出力電圧 | 2.0mV(1kHz、5cm/s、水平方向) |
再生周波数範囲 | 20Hz~30kHz |
出力インピーダンス | 2.8kΩ(直流1.9kΩ) |
適合負荷インピーダンス | 50kΩ |
チャンネルセパレーション | 20dB以上(1kHz) |
チャンネルバランス | 1dB以内(1kHz) |
コンプライアンス | 8x10-6cm/dyne(100Hz、レコードで測定) |
針先 | ソリッドダイヤ丸針 曲率半径16.5ミクロン(0.65ミル) |
適正針圧 | 2.0±0.3g |
自重 | 約8.0g |
針交換 | DSN-20(¥7,200/1978) |