
DENON DL-103D
¥35,000(1977年頃)
解説
DL-103、DL-103SをベースにDL-103シリーズの集大成として開発されたMC型カートリッジ。
振動系の基本構造はDL-103シリーズ共通の一点支持方式を採用しています。
この方式ではサスペンションから延びた極細のピアノ線(サスペンションワイヤー)でカンチレバーを支えており、カンチレバーは長さの方向(レコードの音溝の進行方向)の有害な振動をしません。さらに、信号の再生に必要なステレオレコードの音溝の上下・左右方向への振動に対しては自由な運動ができ、歪の発生が少なくなっています。
DENON独自の十字型アーマチュアを採用しています。
この構造は軽量であり、カンチレバー、針先ダイヤモンド・チップの軽量さとあいまって振動系の等価質量を小さく抑えています。そして、発電用のコイルを十字型アーマチュアに独立して巻くことによって左右チャンネルの感度差が小さく、良好な分離度を保っています。
DL-103Dでは振動系と発電方式のメリットを最大限に生かすため、継ぎ竿型の独自の二重構造カンチレバーをテーパー状にして使用しており、剛性の確保と等価質量の低減の両面を改善しています。
針先には録音用カッター針の形状に似た特殊楕円針を採用しています。さらに、ダイヤモンドチップの素材を0.1mm角(DL-103は0.2mm角、DL-103Sは0.15mm角)とし、振動系の質量を軽減することで広帯域再生を実現しています。
この広帯域化によって可聴周波数帯域でのクロストークをDL-103Sより2~3dB改善しています。また、高域の機械インピーダンス特性も改善されるため、レコードの音溝の変形が少なくなり、針先の音溝追従性が向上することで低歪化を実現しています。
DL-103、DL-103Sと互換性があるため、同じヘッドシェルを使用している場合は針圧の再調整の必要がなく、簡単に交換できます。
機種の定格
型式 | MC型カートリッジ |
出力電圧 | 0.25mV(1kHz) |
再生周波数範囲 | 20Hz~65kHz |
出力インピーダンス | 33Ω(20Hz~20kHz) |
適合負荷インピーダンス | 100Ω以上 |
左右分離度 | 28dB以上(1kHz) |
左右感度差 | 1dB以内(1kHz) |
コンプライアンス | 12x10-6cm/dyne(100Hz、レコードで測定) |
針先 | 0.1mm角ソリッドダイヤチップ特殊楕円針 |
適正針圧 | 1.5±0.2g |
自重 | 約7.5g |
付属 | 添付データ |
針交換 | 本体交換(¥21,000) |