
DENON DL-103/DL-103U
※1964年発表
¥16,000(1970年頃)
¥19,000(1978年頃)
¥24,762(2007年頃)
¥35,000(2015年頃)
DL-103U:¥21,000(1981年発売)
解説
DENONの代表的なMCカートリッジ。
DL-103はNHKとの共同開発によって昭和39年に発表されましたが、放送局の音楽番組やレコード製作プロセスのモニター用として幅広く使用されています。
DL-103の発電部は、平行な直流磁界の間に直角におかれたアーマチュアの中を磁力線が通り、磁束を生じさせています。そして、カンチレバーを経て伝えられる針先の運動でアーマチュアが動き、磁束密度とその方向が変わることでコイルに左右チャンネルそれぞれに対応する出力電圧を発生させています。
この構造では針圧によって針先が沈んでアーマチュアの傾きが変わっても振動の中心が変わらないため、出力電圧に偏りが起こりません。そのため、針圧の変わり方や針先の沈み方によって出力電圧が変化したり、歪が増大することがきわめて少なくなっています。
カンチレバーには、十分な剛性と等価質量の軽量化を同時に実現するため、独自の継ぎ竿形二重構造カンチレバーを採用しています。
また、独特の十字型アーマチュアや二重構造カンチレバー、針先ダイヤモンドチップの全てに軽量化を図ることで振動系全体の等価質量を小さく抑え、トレーシング能力を高めるとともに超広帯域再生を可能にしています。
支持構造には一点支持方式を採用しており、サスペンションから延びた極細のピアノ線(サスペンションワイヤー)でカンチレバーを支える構造となっています。これによりカンチレバーは長さの方向(レコードの音溝の進行方向)の有害な振動を防いでいます。そして、音楽信号に必要なステレオレコードの上下・左右方向の振動に対しては運動が自由なため、歪の発生が少なくなっています。
発電用コイルを十字型アーマチュアに左右独立させてマイてあるため、左右チャンネルの感度差が小さく、良好なセパレーションを実現しています。
針先には0.2mm角のダイヤモンドチップを採用しています。この針先は曲面半径0.65mil=16.5ミクロンで、接着剤の少なくて済む特殊な方法でカンチレバーに取り付けてあり、振動系の軽量化に寄与しています。
また、ダイヤモンド結晶軸の最も硬い方向をレコードの音溝の接触面に向けて取り付けているため、長時間にわたる使用に耐えることができます。
DL-103U
DL-103UはDL-103に新開発のマグネシウム合金製ヘッドシェルを装備したものとなります。
全てのコネクター部の接続箇所には金メッキが施されており、接触不良によるトラブルを回避しています。
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DL-103/TII
¥29,000(1978年頃)
DL-103生誕15周年謝恩モデルとして登場したセット。DL-103とステップアップトランスがセットになっています。
このトランスは最も相性の良い物が新規に設計されました。
機種の定格
型式 | MC型カートリッジ |
出力電圧 | 0.3mV(1kHz) |
再生周波数範囲 | 20Hz~45kHz |
出力インピーダンス | 40Ω |
適合負荷インピーダンス | 100Ω以上(トランス40Ω) |
左右分離度 | 25dB以上(1kHz) |
左右感度差 | 1dB以内(1kHz) |
コンプライアンス | 5x10-6cm/dyne(100Hz、レコードで測定) |
針先 | 0.2mm角ソリッドダイヤ丸針 16.5ミクロン(0.65ミル) |
適正針圧 | 2.5±0.3g |
自重 | 約8.5g |
付属 | 添付データ |
針交換 | 本体交換(¥13,000/1978、¥22,800/2015) |
DL-103Uの仕様 | |
コネクター | 標準4Pプラグ、金メッキ |
カートリッジ取付 | JIS 12.7mm幅 取付位置、3mmピッチ4箇所 |
オーバーハング調整 | スライド幅3mm(垂直調整可能) |
自重 | 約18.5g |