オーディオの足跡

POA-3000の画像
 解説 

A級動作を徹底的に究明して誕生したDENON class Aを搭載したステレオパワーアンプ。

DENON独自のリアルバイアスサーキットによるDENON class Aを搭載しており、A級アンプそのままの動作でありながら、高出力化を実現しています。
出力トランジスタには特に高域特性のすぐれた新開発の高速パワートランジスタ(fT:100MHz、Pc:150W)を採用しています。このトランジスタは、高出力時にもhFEのリニアリティが良く、100Hzでも低歪で定格出力を維持できる良好な特性を持っています。
この高速パワートランジスタを片チャンネルあたり5並列のプッシュプル接続にし、飛躍的にリニアリティの向上を図ると共に、広帯域にわたっての低歪率特性を獲得しています。

A級アンプの欠点であった効率の低さと発熱・大型化の問題を解決するためリアルバイアスサーキットを採用しています。
この回路では、信号波形が変形することなくトランジスタの増幅特性の直線領域を使用してリニアにA級増幅するため、トランジスタに流れる信号電流のピーク値に等しい直流バイアス電流を流すように制御しています。これにより微小信号から大信号まで、信号波形の大きさに応じて常に安定した適切な直流バイアス電流をきょうきゅうすることができ、消費電力の無駄が省け、発熱も少なくなっています。さらに、制御機能によって出力トランジスタの温度状態にかかわらず、バイアス電流が安定に制御されるため、常にベストコンディションの動作状態が保たれます。
また、信号電流よりもバイアス電流を早く立ち上がらせるように制御しており、この際のバイアスの立ち上がりが遅れカットオフするのを防ぐため、無信号時においても若干の固定バイアス電流を流しておき、信号の立ち上がりに対し一歩先んじて立ち上がるようにしてます。これにより、立ち上がりの速い、高い周波数の楽音信号が来てもバイアスが先に立ち上がり、増加するため、確実にA級動作となるように制御されます。
さらに、トランジスタの持つ微少電流領域においての非直線特性に対しても、固定バイアス電流は有効に作用し、出力トランジスタがこの領域に入り込まないように制御されています。
このリアルバイアスサーキットにより従来の方式と比較して約1/5の消費電力という効率を実現しています。

ドライバー回路は、fTが高く、高リニアリティ特性の小信号トランジスタ(fT:400MHz、Pc:400mW)を片チャンネル当り4並列接続したカスコードエミッターホロワードライバーで構成しています。
パタートランジスタのfTの4倍の広帯域な伝送特性を持つこのトランジスタをカスコード接続することによって、高域リニアリティをさらに向上させるとともにパワートランジスタ等のCob(コレクター・ベース間接合容量)の影響を防止し、出力段を広帯域・低インピーダンスでドライブすることによって、高域特性の劣化を防いでいます。
また、最終出力段とは独立した電源回路から電力を供給し、相互干渉を防止しています。

プリドライバー段は、ツインコンプリメンタリー差動回路によって平衡ドライブし、カスコードプリドライバーによってパワーステージをプッシュプルドライブしています。
使用トランジスタはドライバー段と同様のfT400MHzの高速トランジスタを採用しており、電力ドライブも可能なドライブ回路を構成して広帯域・低インピーダンス増幅をしてます。
また、プリドライバー等の差動回路の動作点の安定性を保つため、オペレーションスタビライザー回路を設け、温度ドリフトによる影響を抑えています。

初段にはローノイズFET差動アンプとその並列動作によるダイレクトDCサーボ方式を採用しています。
これはコントロールアンプPRA-2000と全く同じ構成となっており、入力部のカップリングコンデンサーを取り除いて不要なカラリゼーションを排除し、単に直流中点ドリフトをシャットアウトして超低域の安定性を得るためのサーボというだけでは無く、帰還系にサーボアンプを付加していないので雑音レベルは増加せず、差動増幅の並列接続とそれぞれへのDCサーボによって、さらに雑音の3dB低減と歪率1/2への改善を果たしています。

電源部は、出力段とその他を分けた別電源トランス方式としています。
出力段用の電源は、左右別巻きの大型トロイダルトランスと、高域まで低インピーダンス化を図った10万μFの大容量コンデンサーで構成しています。このトランスは200W+200W B級アンプ電源トランスの約2倍のキャパシティ(1000VA)を持ち、これを非磁性の2mm厚のアルミ・シャーシでフロートすることで磁気歪を防いでいます。
また、初段からドライブ段にかけては、EI型電源トランスを別に設けて出力段の激しい負荷変動の影響を避け、定電圧安定回路を備えて電源部の安定化と低インピーダンス化を図っています。

電源スイッチON時の非常に大きなインラッシュ電流(突入電流)により、電源スイッチの寿命が短くなったり、他の電気器具に影響を与えるのを防ぐため、電源部にインラッシュ防止回路を設け、トラブルを防止しています。

左右の出力レベルをdBおよびW表示で直読できる大型パワーメーターを搭載しています。

電源スイッチのON-OFF動作時に発生するポップノイズを防止するミューティング回路を兼ねた高速プロテクション回路により、スピーカーとトランジスタを保護しています。
異常時には前面ガラス内のプロテクション表示のLEDが点滅します。

アンプの内部は左右対称形のレイアウトとし、電源部は位置的・電気的にも初段回路から最大限遠ざけるなど、特性を優先したコンストラクションとなっています。
また、フロントパネルのメーター部には厚板ガラスの重ね効果・ミラー効果を利用し、電源ON時にまず5~6秒間DENONマークを表示し、そのあと大型ピークメーターを照明する構造となっています。
側板には鏡面仕上げが施されています。

機種の定格
型式 ステレオパワーアンプ
ミュージックパワー 250W+250W(8Ω)
定格出力(両ch駆動、正弦波出力、20Hz~20kHz) 180W+180W(8Ω)
全高調波歪率 0.002%以下(20Hz~10kHz)
0.003%以下(20Hz~20kHz)
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1、定格出力) 0.003%以下(180W相当時)
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) 5Hz~100kHz(THD 0.02%)
入力感度/入力インピーダンス 1V/50kΩ
出力インピーダンス 0.04%(1kHz)
ダンピングファクター 200(8Ω、1kHz)
S/N比(IHF-A) 122dB以上
伝送特性 1Hz~350kHz +0dB -3dB
セパレーション 100dB以上(20Hz~1kHz)
85dB以上(~20kHz)
スルーレート ±300V/μsec以上
周波数特性 10Hz~100kHz ±3dB
サブソニックフィルター特性 16Hz、6dB/oct
レベルメーター特性 指示方式:ピーク値指示方式出力レベルメーター
指示範囲:-50dB~+5dB、0dB=200W/8Ω
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 無信号時:220W
有信号時:730W(電気用品取締法)
外形寸法(ツマミ、脚含む) 幅495x高さ188x奥行459mm
重量 34kg