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DENON PMA-255
¥86,500(1975年頃)
解説
新考案のトーン回路やフィルター回路により、機能の充実を図りながら伝送特性の向上を図ったプリメインアンプ。
パワーアンプの出力端には特性のよく揃った3重拡散メサ型PNP/NPN80W級のパワートランジスタを採用しています。また、差動増幅全段直結のピュアコンプリメンタリーOCL回路と、透磁率の高いパーマロイ珪素鋼コア(オリエントコア)の大型パワートランスを採用することで完成度を高めています。
特に前段部差動増幅回路にはトランジスタを選別しさらに独立した電源回路を持たせることで、終段の大電流駆動と切離し、安定性を高めています。
イコライザーアンプ部にはNPN型トランジスタを3段直結にしたエミッタ-エミッタ負帰還型の回路を採用しています。3個のトランジスタとすることで付属の部品も少なく抑え、シンプルな回路構成によって温度や経時に関わりなく安定性を確保しています。
この回路を70Vの高電圧で動作させ、負帰還をかけない時の電圧利得を非常に大きくとっています。これによりRIAA負帰還や直流負帰還を深くかけることができ、さらなる諸特性向上を実現しています。
PMA-255では負帰還素子に定数誤差1%以内の無誘導抵抗を採用し、深い負帰還量と相まって優れたRIAA偏差を獲得しています。また、設計上選定した型名のものの中からノイズ発生が少ないものを選別使用することで帯域を広くしながらSN比の維持改善を図っています。
PMA-255ではコントロールアンプ部のトーンアンプ、フィルターおよびバッファー回路には通常利得を持たせていません。そして、パワーアンプをドライブするのに必要な電圧を得るために、ボリュームの後ろに2段直結で利得14dBのブースターアンプを設けています。このブースターアンプによって前後の回路のラウドネスコントロールとトーンコントロールの特性をより確実なものにしています。
トーンアンプはDENON考案の変形BAX負帰還型を採用しており、低雑音FET増幅とPNPトランジスタのエミッターフォロワーを組み合わせた2段直結回路となっています。この方式はコントロール特性を決める負帰還回路に無理がなく、うねりの少ない特性を得ています。
PMA-255ではBass/Trebleともに2dBステップで段階的に調節できるロータリースイッチ型となっており、つまみの中心位置では自動的に帰還回路のコンデンサーをディフィートしています。
フィルター回路は低域・高域共通にトランジスタを用いた新交換のアクティブ型を採用しています。
バッファー回路はPre out端子を使用する際に外部配線の影響などを受けないように設けられています。
内部は電源トランスを中心に置き、出力段のヒートシンクが左右に並んだ構成としています。これにより放熱の対流効果を高めるとともに電気的には左右チャンネルのバランスやセパレーションの向上を実現しています。
また、電源トランスには厳重な6重磁気シールドを施すとともに、アンプ入力端子取り付けのキャビネット部を鋼板からアルミ製に変え、トランス-鋼板-入力端子にわたる磁気誘導を抑え、SN比を向上しています。
パワートランジスタからスピーカー出力までの抵抗を少しでも低く抑えるため、線材や安定化線論、ミューティング・リレーの接点材およびスピーカー端子に至るまで比抵抗が少ないものを厳選しています。
パワートランジスタをスピーカー回路短絡などによる破壊から守るため、応答速度の速いプロテクション回路を備えています。
プリント基板には自己消炎性が高い基板、電源コードには熱や経時変化に強い合成ゴムシース・コードを用いて安全性を高めています。
ボリュームはクリックストッパー付きを採用しています。
このボリュームはロータリースイッチ型のように抵抗値変化が正確でありながら、ステップ間の任意の音量が得られる構造となっています。
別売りオプションでウッドキャビネットがありました。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ | ||
<パワーアンプ部> | |||
回路方式 | 純コンプリメンタリー全段直結2電源OCL回路 終段シリコン三重拡散メサ型トランジスタ採用 |
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ダイナミック出力(IHF) | 260W(130W+130W、4Ω) 164W(82W+82W、8Ω) |
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定格出力 (両ch駆動、正弦波連続出力) |
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全高調波歪率 | 0.08%以下(定格出力時) | ||
混変調歪率 | 0.1%以下(定格出力時、60Hz:7kHz=4:1) | ||
パワーバンドウィズ | 4Hz~45kHz(IHF、両ch駆動) | ||
周波数特性 | 4Hz~200kHz +0 -1dB | ||
入力感度 | 1Vrms | ||
入力インピーダンス | 80kΩ | ||
出力インピーダンス | 0.16Ω以下 | ||
残留雑音 | 0.3mVrms以下 | ||
出力端子 | スピーカー端子:4Ω~16Ω、A/B ヘッドホン端子:4Ω~16Ω |
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<プリアンプ部> | |||
入力感度/インピーダンス | Phono1:2.3mV/60kΩ Phono2:2.3mV/100kΩ Tuner、Aux1/2、Tape2:200mV/100kΩ Tape1:200mV/70kΩ Rec/PB in:500mV(Din) |
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●イコライザーアンプ(Phono-Rec out) | |||
回路方式 | NPNトランジスタ3段直結E-E負帰還形 | ||
最大許容入力 | 200mVrms以上(1kiHz) | ||
最大出力 | 25Vpeak | ||
定格出力 | 200mVrms | ||
全高調波歪率 | 0.02%以下(1kHz、定格出力時) | ||
Rec out適合負荷インピーダンス | 100kΩ以上 | ||
RIAA偏差 | Phono1/2:20Hz~20kHz +0.1 -0.2dB | ||
●コントロールアンプ(Aux-Pre out) | |||
回路方式 | NPNトランジスタ3段直結E-E負帰還形 | ||
全高調波歪率 | 0.02%以下(1kHz、定格出力時) | ||
Pre out適合負荷インピーダンス | 100kΩ以上 | ||
周波数特性(Tone defeat時) | 5Hz~100kHz +0 -1dB | ||
トーンコントロール | Bass:100Hz±10dB、ターンオーバー周波数640Hz Treble:10kHz±10dB、ターンオーバー周波数1.6kHz |
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フィルター特性 | Low:20Hz、12dB/oct High:9kHz、12dB/oct |
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ラウドネスコントロール(1kHz) | Low:+8.5dB(100Hz) High:+4dB(10kHz) |
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ミューティング(0dB時のレベル) | -10、-20dB | ||
<総合> | |||
伝送周波数特性 | Phono - speaker out:20Hz~20kHz +0.1 -0.3dB Aux - speaker out:20Hz~20kHz +0 -0.15dB |
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全高調波歪率 | 0.1%以下(Phono - speaker out、20Hz~20kHz) | ||
SN比 (IHF、入力短絡、Aネットワーク) |
Phono1/2:75dB以上 Tuner、Aux1/2、Tape1/2:85dB以上 |
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チャンネルセパレーション | 70dB以上(1kHz) 55dB以上(20Hz~20kHz) |
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電源コンセント | switched:2系統、250W unswitched:1系統、150W |
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電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||
消費電力(電気用品取締法) | 140W | ||
外形寸法 | 幅396x高さ147x奥行281mm | ||
重量 | 11.2kg | ||
別売 | ウッドキャビネット ACA-5(¥5,000) |