
DENON PMA-2000AE
¥150,000(2005年7月発売)
解説
PMA-2000IVの後継機として開発されたプリメインアンプ。
型名のAEはAdvanced Evolutionを意味しており、SAシリーズの流れをくむ製品として位置づけられています。
出力段にはUHC(Ultra High Current)-MOSを用いたシングルプッシュプル回路を採用しています。
最小単位の増幅素子で通常の3~10倍の電流供給能力を持っており、繊細な表現力とハイパワーの両立を実現しています。
電源部は安定した電圧が必要なプリアンプ用電源回路と大電流を要求する出力段用電源回路を電源トランスの捲線部からそれぞれに独立した構成となっています。この構成によって出力段の動作電流による影響を排除しており、小信号を扱うプリアンプ部の解像度を高めています。
また、整流用に大電流型のショットキーバリアダイオードを採用しており、低ノイズ特性と高速動作によってUHC-MOSの表現力を支えています。さらに電源用のコンデンサーにはオーディオ用大容量ブロック型電解コンデンサーを採用し、安定したクリーンな電源供給を得ています。
電源トランスは2つのトランスを並列接続することで電気・磁気特性を大幅に改善しています。
また、お互いの磁気の影響を互いにキャンセルするL.C.(Leakage Canceling)マウント方式の採用により、アンプ内のノイズ源である漏洩磁束も低減しています。
さらにトランスの取り付け方法も特殊樹脂や防振材等を組み合わせてフローティング効果を高め、音質への悪影響を排除しています。
他のプリアンプからパワーアンプにダイレクトに接続できるパワーアンプダイレクト端子や、他のパワーアンプやサブウーファー等との接続に使えるプリアウト端子を搭載しています。
パワーアンプダイレクトの機能はフロントパネルにあるスイッチでON/OFFの切替が可能です。また、プリアウト端子はMOS-FET出力のディスクリート構成フラットアンプより出力するなど、音質への配慮がされています。
ボリューム回路やトーン回路、パワーアンプ回路の各々を見直すことで実使用時の周波数の上限を100kHzまで確保しています。
Precision Signal Ground回路を採用しており、信号増幅の基準となるグランド回路に流入するノイズを低減してグランド電位の安定化を図っています。
振動による音質に与える影響を徹底して抑えるため、防振構造を見直したPrecision Mechanical Ground構造を採用しており、様々なパーツの取付けや配置において外部・内部振動の影響を効果的に排除する手段を講じて透明度と音像定位の向上を図っています。
振動の発生源となるパワートランスの取付けは複数の制振材を用いてフローティングしています。また、ラジエーターは弾性材とラジエータースタビライザーによってダンプして脚部の間近に直付けすることによってパワートランスなどの他の振動源との干渉を抑えています。
内部レイアウトはパワーアンプブロックをL/R対称に配したツインモノラル構成としており、各回路の相互干渉やノイズの流入を抑えています。
さらに信号レベルの異なる回路も分離して遮蔽を徹底し、厚さ1.6mmの黒色処理鋼板を用いた6ブロックセパレーテッド構造を採用する事で各ブロック間の干渉による音質への影響を排除しています。
イコライザーアンプ部には初段回路にローノイズFETを用いたディスクリート構成を採用しています。
電源もフォノイコライザー専用に安定化を図っています。
バックパネルのスイッチ切替でMM/MCどちらのカートリッジにも対応しています。
内部の配線材の要所にOFC線を採用しています。
また、フィルムコンデンサや電解コンデンサー、抵抗器、インダクタ等にはPMA-SA1やPMA-SA11の開発を通じて試聴や検討を重ねた高音質パーツを採用しています。
削り出しの金メッキピンジャックをPhonoおよびCD入力に採用しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
<パワーアンプ部> | |
定格出力(両ch駆動、CD→SP out) | 80W+80W(8Ω、20Hz~20kHz、THD 0.07%) |
実用最大出力 | 160W+160W(4Ω、1kHz、THD 0.7%) |
全高調波歪率 | 0.01%(定格出力-3dB、負荷8Ω、1kHz) |
出力端子 | スピーカーAorB:4Ω~16Ω スピーカーA+B:8Ω~16Ω バイワイヤリング:4Ω~16Ω |
<プリアンプ部> | |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC:0.2mV/100Ω Line:135mV/47kΩ(ソースダイレクトOFF) Line:135mV/16kΩ(ソースダイレクトON) |
RIAA偏差 | Phono MM:20Hz~20kHz ±0.5dB Phono MC:30Hz~20kHz ±0.5dB |
定格出力 | イコライザーアンプ出力:150mV |
<総合> | |
周波数特性 | 5Hz~100kHz -3dB |
SN比(Aネットワーク、入力短絡) | Phono MM:89dB(5mV入力時) Phono MC:74dB(0.5mV入力時) Line:108dB |
トーンコントロール | Bass:±8dB(100Hz) Treble:±8dB(10kHz) |
電源コンセント | switched:2系統、合計120W unswitched:1系統、240W |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 275W |
外形寸法 | 幅434x高さ181x奥行480mm |
重量 | 24.0kg |