CEC ST930
ストレートアーム付:¥135,000(1989年発売)
S字アーム付:¥135,000(1989年発売)
アームレス(SME製トーンアーム対応):¥110,000(1989年発売)
解説
CECプレイヤーの集大成として開発されたレコードプレイヤー。
駆動モーターには新開発の3相ブラシレスFGサーボモーターを採用しています。
コギングの発生を抑えるため、従来はモーター内の磁力を弱めたり、ローターマグネットとステーターとの間を離したりする方法を採用していました。しかしこの方式ではモーターの効率やトルクを低下させてしまいます。ST930ではステーターのコイルを不均一に分布させた構造を採用する事で、モーターの磁力を弱めることなく回転時の合成コギング力を減少させ、かつコギング周期を極端に短くする事によって力強いトルクと滑らかな回転を実現しています。
ダブルサスペンション構造を採用しています。
発泡CRで支えられたSUS304ステンレス製スプリングと、これを包むクロロプレン製ラバーの三層構造による一次ショックアブソーバーをアルミダイカストボードとアンダーボードの間に設け、さらに二次ショックアブソーバーとしてアンダーボードに大型ラバーインシュレーターを装着しています。
一次ショックアブソーバーでは内部メカニズムからの振動や、最外層のラバーがスピーカーからの音圧によって細かくブレるのを抑制しています。そして、ここで吸収できない振動や床などからの振動は二次ショックアブソーバーが吸収しています。
3.5kgのアルミダイカストボードを採用しており、高い剛性によってハウリングを抑えています。
さらに、フォノモーターなどの内部メカニズムからの振動を抑制するため、制振材としてLRダンパーシートをボードの裏側に装着しています。このシートは振動している金属板に貼り付けることにで優れた制振性を発揮する素材となっています。新設計のダブルサスペンションと相まって様々な振動を効果的に抑制、吸収し、S/N比の向上を実現しています。
モーター部はメインシャーシから分離すると共に、あえてベルトドライブ方式を採用する事で無振動を追求しています。
ベルトドライブ方式ではベルトによって振動が吸収されるため、ターンテーブルに伝わるモーターからの振動をシャットアウトすることができます。さらにターンテーブルの超研磨シャフトの軸受にはオイルレスメタル入りの大型軸受けを採用し、重量級のターンテーブルを滑らかに回転させています。
AC電源の整流と操作機能を受け持つ電源コントロール部を本体から分離した設計としています。これにより回転系の妨害振動や、電源部が及ぼす駆動メカニズムへの悪影響を抑えています。
ターンテーブルには2kgのアルミダイカスト製を採用しており、裏面に本体キャビネットと同じ特殊防振素材であるLRダンパーシートを装着する事でレコードの振幅に起因する振動や、それに伴って発生するごく僅かな振動をシャットアウトしています。
トーンアームには高精度ジンバルサポート・トーンアームを採用しています。
トーンアームの垂直軸には一点支持方式を採用しており、上部に配置された高精度マイクロベアリング(ABEC-7)を支点として、重量バランスを下部でとっています。さらに、その揺れを最小に抑えるため、支点から最遠点でバランスを保持する設計がされています。これにより支点ベアリングは適度な重量で下方向に押し付けられ、円滑な動作をガタつきを抑えた状態で実現しています。また、水平軸には特殊固定スクリューを用いてピボットベアリングに適切な圧力を加えており、わずかな隙間も見逃さないよう設計されています。
さらに、特殊粘度のシリコンオイルによるオイルダンプ方式とする事で理論上発生し得る極小なギャップを吸収しています。
それぞれガタを抑えた垂直軸の支点ベアリングと水平ピボットベアリングをトーンアームパイプに一直線上に配置させる事で針先でのガタツキを排除しています。
ヘッドシェルにはADC12アルミ合金製ダイカストヘッドシェルとを採用しています。
33・1/3、45rpmに加えて78rpmにも対応しています。
また、トーンアーム本体は高さ調節が可能となっており、レコードやリスニング環境に応じてカートリッジを自由に選ぶ事ができます。
ターンテーブルシートにはステンレスや銀・銅などの金属繊維を配合した最新素材を採用しています。これは導電性に優れているため静電気を抑える事ができ、さらに40mmの長繊維を用いる事で高い防塵性を得ています。
また、通常のシートの上にレコード盤外周の凸部及びレコードラベルを避けるドーナツ状のシートを重ねたダブルシート形状を採用しており、レコード盤のフラット部だけを安定して受けています。この密着する形状とクッション性に富むダブルシートによって制振性を向上させています。
出力ケーブルには、トーンアームのリードワイヤーからフォノケーブルまで全てOFCケーブルを採用しています。
また、プラグは24K加工が施されています。
フェザータッチ・コントロールを採用しています。
LEDインジケーターを搭載しており、ターンテーブルの回転数が一目で確認できます。
ダストカバーが付属しています。
機種の定格
型式 | レコードプレイヤー |
<フォノモーター部> | |
駆動方式 | ベルトドライブ方式 |
モーター | 3相ブラシレスFGサーボモーター |
ターンテーブル | 32cmアルミダイカスト製、2kg、6.4mm厚 |
慣性モーメント | 280kg・cm2 |
回転数 | 33・1/3、45、78rpm |
ワウフラッター | 0.008%WRMS(FG直読法) |
SN比 | 85dB以上(DIN-B) 50dB以上(DIN-A) |
起動特性 | 1/2回転未満(33rpm) |
<トーンアーム部(CST9021)> | |
トーンアーム | オイルダンプ・ジンバルサポート方式スタティックバランス型ストレートアーム |
有効長 | 229mm |
オーバーハング | 15mm |
オフセットアングル | 22゜ |
トラッキングエラーアングル | -1.1゜~+1.9゜ |
針圧調整範囲 | 0~3g(0.1gステップ) |
IFC調整範囲 | 0~3 |
適合カートリッジ自重 | 4g~9g(ビス、ナット含む) |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 5W |
外形寸法 | 本体:幅485x高さ145x奥行350mm コントロールボックス:幅100x高さ85x奥行220mm |
重量 | 本体:9kg コントロールボックス:1.2kg |
オプション | ストレートアーム(CST9021)用、カウンターウェイト(重量はビス・ナット含む) 2~7g、CST-L(¥3,500) 4~9g、CST-M(¥3,500、付属品) 9~18g、CST-H(¥3,500) S字アーム(CSS9021)用、カウンターウェイト(重量はビス・ナット・ヘッドシェル10g含む) 12~16g、CSS-L(¥3,500) 15~22g、CSS-M(¥3,500、付属品) 22~33g、CSS-H(¥3,500) ヘッドシェル(追加用) HS-9021(¥2,000) ヒンジ(ダストカバー用) HI-9021(¥3,850) |