オーディオの足跡

PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

3533の画像
 解説 

メルコ(現バッファロー)が開発した砲金製ターンテーブルを用いたレコードプレイヤー。

3533は糸ドライブ方式を採用しており、ターンテーブル部とモーター部が独立した構造となっています。


ターンテーブル部には総重量20kgで慣性質量3.5トン・cm2の砲金製ターンテーブルを採用しています。
さらに、ターンテーブルの鳴きを止めるために密度の高い特殊樹脂を裏面に流し込んでデッドニングが施されています。このデッドニングによってダイナミック・バランスが狂わないよう樹脂硬化後に研磨処理を行い、ダイナミック・バランスをとっています。
3533はゴムシートを介さずにレコードをダイレクトに置く設計となっており、ターンテーブル中心部にレーベルの直径で深さ0.2mmのザグリを入れる事でレコードがターンテーブルに密着するようにしています。また、表面は精密仕上げによってレコードを傷つけないよう配慮がされています。

軸受部には大久保式軸による防振構造を備えた軸受けを採用しています。
大久保式軸では縦方向と横方向の吸振対策が施されています。
縦方向の吸振にはオイルダンプ式の軸受構造を採用しており、シャフトを受けるピストンと軸受ケースとの間でオイルダンパーを形成して対処しています。このダンパーはオイルとスプリングを併用しており、互いに制動領域の異なるダンパーをスタガーで使用する事でそれぞれの共振をカバーし合っています。ここのオイルには比較的粘土の高いシリコンオイルが使用されています。また、このダンパーは軸受の寿命にも関係しており、ダンパーの逃げの効果によって一般軸受よりも数十倍・数百倍の寿命増加を可能としています。
横方向の吸振には内ケースに9本、ピストンに3本のOリングを用いており、外ケースから機械的に絶縁する事で行っています。

重量級ターンテーブルを支えるため、軸受のシャフト先端とオイルダンプ・ピストンのセンターにはチタン合金が埋め込まれています。
また、硬い金属同士がこすれ合う事で削り合って摩耗が起こる事を考慮し、同じチタン合金でもシャフトに埋め込む方をより硬く、ピストンの方は少し柔らかめの硬度になるよう設計されています。
シャフトは直径18mm、長さ102mmの硬質特殊工具鋼で作られており、さらに高周波焼入れによって硬度を増し、耐摩耗性を向上させています。また、シャフトとシャフトホルダー(リン青銅メタルによる内ケース)の間隙を最適値に維持するため、シャフト及び内ケースは1対1の精密仕上げによる羽目合わせ加工が施されています。
シャフトに用いられた潤滑油には、モリブデン入りオイルよりも温度特性や経年変化(酸化安定性)の点で優れたジェット機用特殊潤滑油を使用しており、季節を問わず円滑な回転を維持しています。

センタースピンドルには磁性体を避けて18-8ステンレスを採用しています。
ターンテーブルシートやダンプ材を使用した際もレコード再生が行えるようにセンタースピンドルは19mmと長くとっています。

プレイヤーベース部には総重量15kgの鋳鉄製三脚フレームを採用しています。
この三脚構造は比較試聴によって決定されたもので、鉛入りボードや積層ボードとの比較試聴で三脚フレームの方がハウリングマージンが向上し、音の色付けが少ないという結果が出たそうです。

脚部には耐ショック性や耐吸振性を考慮したテフロン製となっており、水平及び高さ調節も兼ねています。

アームベース部には厚み30mm、幅60mm、厚さ135mmのアルミ製アームベースを採用しています。
このアームベースは高さ及びオーバーハング調整が自由にできるため、様々なアームの取り付けが可能です。また、6mmのボルトによって三脚フレームに締め付けられており、三脚フレームがアームスタビライザーの効果を発揮します。


駆動モーターには24極ヒステリシス・シンクロナスモーターを採用しています。
シンクロナスモーターは電源周波数と同期して回転するため、負荷が変化しても回転数は変化しない特長を保っています。これによりレコード再生中のダイナミックな針圧変化によってレコードにブレーキがかかってもターンテーブルの回転数は変化しません。

モータープーリには大回径モータープーリを採用しており、糸の接地面積を増やしています。
これにより立ち上がり時間7~10秒というのスリップ高安定度のターンテーブル駆動を実現しています。

モーター部のハウジングも重量級となっており、モーターの安定走行を助けています。
モーターは大久保式スタガード・プッシュプル・サスペンションによってハウジングにマウントされています。これは、ハウジング内側の同心円上にある3点の押しバネによってモーターを支え、さらに外側同心円上の3点の引きバネによってハウジングに吊り下げた構造となっています。この方式はモーターの振動を押しバネと引きバネによって2回で吸収するため、各バネの吸収特性の2乗で吸振効果が得られています。また、各バネの共振周波数をずらす事で互いの共振を打ち消し、バネの振動が速やかに収束するよう設計されています。
このサスペンション構造によって有害なモーターゴロを排除しています。

テンション調整ツマミを装備しており、糸のテンションを調整することでターンテーブルの立ち上がり特性や糸の摩擦係数の微調整が可能です。


別売りオプションとして大理石板による台座やアームレスト、アームベースがありました。
アームレストやアームベースは特注対応もしていたようです。

機種の定格
型式 レコードプレイヤー
駆動方式 糸ドライブ
ターンテーブル 直径330mm、砲金製
慣性質量 3.5トン・cm2
駆動モーター 24極ヒステリシスシンクロナスモーター
回転数 33・1/3、45rpm
ワウ・フラッター 0.02%以下(WRMS)
S/N比 60dB以上(測定不能)
三脚フレーム 総重量15kg、鋳鉄製
モーターハウジング 総重量9.5kg
外形寸法 下記画像参照
付属 アームベース 3012
別売 アームベース
  3012(¥9,000、幅60x長さ135x厚み30mm、アーム取付穴30φ、有効長280mmまで)
  3013(¥10,000、幅60x長さ135x厚み30mm、3012に3点止アーム用の穴を追加)
  3014(¥10,000、幅60x長さ140x厚み30mm、3012をSME用に変更したもの)
  3015(¥11,000、幅60x長さ165x厚み30mm、アーム取付穴30φ、有効長320mmまでの3点止アーム用)
  3016(¥11,000、幅60x長さ165x厚み30mm、アーム取付穴43φ、有効長320mmまで、FR-64S、WE-506/30、3000MC等)
大理石台座(¥23,000、幅400x奥行400x高さ30mm)
アームレスト
  ショートアーム用 3022(¥2,000、長さ135mm、アームレスト取付穴10φ)
  ロングアーム用 3025(¥3,000、長さ230mm、アームレスト取付穴10φ)