
BOSE 501Z
¥118,000(1セット、1988年発売)
解説
501Xをベースにアクースティマス方式にさらに磨きをかけると共にデザインを改良したスピーカーシステム
従来は一つのエンクロージャーにまとめられていた2ウェイスピーカーシステムを、小型のキューブスピーカーとシャドーベースボックスに分割しています。そして、4個のキューブスピーカーの向きを変えたり切り離したりする事で音の広がりを自由に調整できるようにしています。また、低音を受け持つシャドーベースボックスは人間の方向探知能力も含めて設計する事で、どこに設置してもキューブスピーカーとのつながりに影響を及ぼさない設計となっています。
キューブスピーカー
キューブスピーカーは、特性の揃ったスピーカーを多数個使用すると共振点が分散するレゾナンス・スプリッティングという原理に基づき、片チャンネル2本ずつのキューブスピーカーを用いています。
各ユニットの特性はコンピューター制御で揃えられており、肉厚のアルミ材を圧縮成形したエンクロージャーを使用しています。
キューブスピーカーには5.7cmコーン型ユニットを搭載しています。
このユニットは901シリーズで得たノウハウをもとに、ボイスコイルやコーン紙、ダンパーなどに新開発の特殊技術を導入しています。さらにコンピューター制御による精密設計によって150Hz以上の帯域をカバーするワイドレンジと高能率、高耐入力を実現しています。
キューブスピーカーの背面にはバイフェイシャルスイッチが設けられています。
これは、間接音と直接音のエネルギー割合をコントロールするバイフェイシャル思想に基づいたもので、バイフェイシャルスイッチの切換と上下の向きを変える事で高域エネルギーや位相特性がコントロールできます。これにより、901SSシリーズで定評を得たリフレクティング(間接音の重視)とダイレクト(直接音の重視)の音場を再現しています。
さらに、上下2本のキューブスピーカーを切り離し、ワイドに広げたり前後にずらす事で音場の広がりや奥行き、ボーカルやオーケストラといった音楽の違いを表現できるようにしています。
キューブスピーカーには電気的なクロスオーバー部品を使わずに、ボーズの特許であるアコースティックネットワークによるハイパスがされています。
この方式ではエンクロージャーの気密性やスピーカーユニットの質量、コンプライアンスをコントロールする事で音響的に18dB/octの減衰特性を実現しています。
シャドーベースボックス
シャドーベースボックスにはアクースティマス方式を採用しています。
従来のポート方式では音響エネルギーをコーンの動きで伝達し、その動作に比例して音量が決まるため、大音量になるほどコーンも大きく動き、歪の発生原因となっていました。アクースティマス方式ではエンクロージャー内部の空気とポート内の空気の共鳴が基本原理となっているため、空気が音響エネルギーの伝達媒体として働き、必要最小限のコーンの動きで効率よく歪みの少ない低音再生を可能としています。
シャドーベースボックスのエンクロージャー内部は2つの部屋に分けられており、それぞれの部屋からポートが伸びた構造となっています。そして、ウーファーユニットは部屋を仕切る壁に取り付けられています。
2本のポートは長さが異なり、違った周波数で共鳴するようチューニングされています。音響エネルギーの全てが共鳴という形でポートからのみ噴射されるため、電気的なフィルターではカットできないコーン紙から直接発生する非直線歪や高調波歪がありません。
ユニットには16cmコーン型ウーファーを2個搭載しています。
その他
キューブスピーカーとシャドーベースボックスともに漏洩磁束を高能率シールド素材で抑えた低磁束漏洩型となっています。
設計にはスピーカー作りのために開発されたコンピューターであるシンコムIIIを使用しており、生産工程などの管理を行う事で理論に忠実な製品に仕上げています。
機種の定格
方式 | 2.1チャンネルスピーカーシステム。 |
インピーダンス | 4Ω |
許容入力 | 120W(rms) 300W(peak) |
クロスオーバー周波数 | 150Hz |
<サテライトスピーカー> | |
使用ユニット | 全帯域用:5.7cmコーン型x2 |
低磁束漏洩 | 高能率シールド方式 |
外形寸法 | 幅91x高さ91x奥行107mm(1/2ユニット) |
重量 | 1.3kg(1ユニット) |
<シャドーベースボックス> | |
使用ユニット | 低域用:16cmコーン型x2 |
低磁束漏洩 | 高能率シールド方式 |
外形寸法 | 幅350x高さ540x奥行170mm |
重量 | 7kg |
<その他> | |
別売 | パンスタンド GMA-3(1ペア、¥12,000) 壁掛けブラケット GCW-3(1ペア、¥8,500) 天井吊り・壁掛けブラケット(アーム長30cm) GCW-300(1ペア、¥12,000) マイクスタンドアダプター(ネジ規格W3 8メス) GMK-3(1ペア、¥7,500) ワイヤー式天井吊下げブラケット XB-1(1ペア、¥25,000) ミニ三脚スタンド XS-1(1ペア、¥12,000) 天井吊りブラケット CB-5(1本、¥20,000) TVモニター用ブラケット XT-1(1ペア、¥11,000) |
スピーカーの設置方法
- 音像を中央に寄せたい場合
小編成の演奏を再生する時などは、上部のスピーカーを内側ななめ後方に向けることで音像を中央に定位させることができます。
- 定位や音階のモニタリングをしたい場合
スタジオ等でのモニターとしてや、比較的広いスペースで使用する場合などに最適です。
上下のスピーカーを正面に向ける使い方をします。
- 音像を左右に自然に広げたい場合
フルオーケストラや合唱などを再生する時は、上部のスピーカーを外側ななめ後方に向けることでスケール感のあるサウンドが展開できます。
- 音像を中央に寄せながら音場を広げたい場合
AVシステムに最適なセッティングとなります。音声を画面から、音楽を部屋いっぱいに広げたり、またオーケストラをバックにした歌を楽しむ時などに最適です。
下部スピーカーを内側に向け、上部スピーカーを外側後方に向けることで楽しめます。
- スペクタルサウンド方式
キューブスピーカーを上下離してセッティングすることでスケールと迫力のあるサウンドが得られます。
横一列に並べることでフルオーケーストラの広がりが楽しめます。
- スペクタルサウンド方式2
4個のキューブスピーカーをさらに上下左右に離すとスケール感がアップします。
また、2個(内側のスピーカー)を置にずらす事で奥行き感が高まり、大型フロアシステムのようなダイナミックサウンドが得られます。
シャドーベースボックスの設置方法の例。