オーディオの足跡

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SY-88の画像
 解説 

従来のように単に良い素子を選ぶのではなく回路に合った素子を開発するなど、データに表れない部分まで研究し、音質を徹底して追求したコントロールアンプ。

新開発のV型無誘導フィルムコンデンサを採用しています。
このコンデンサでは誘電体となる厚さ6μ~20μの帯状のポリエステルフィルムの片面に電極となる金属を蒸着しています。そしてメタライズド・フィルムをプラスとマイナスの電極として巻くと共に、扁平に潰す事で振動を極力減らしています。 電極と電極の幅を狭くして巻く事で電気抵抗を減少し、インピーダンス的にも有利な構造となっています。 また、機械的振動に対してはフィルムを均質に巻けるため振動モードを単純化し、電気ノイズも誘発しにくくなっています。
SY-88ではこのV型無誘導フィルムコンデンサを合計46個採用しています。

SY-88では音質を徹底的に追求した結果、機能の単純化のためPhono再生に重点を置いています。
イコライザーアンプ回路では初段にオーレックスが開発した低雑音FETによる差動回路を採用しており、S/N比を向上させるためにトリプルパラレル接続による等価抵抗雑音の低下と、FETの共通ソース回路に定電流回路を用いた外部/電源雑音の混入防止がされています。
2段目には相補型カスコード接続された差動回路によって帰還容量による高域特性の劣化を抑えており、出力段と共に±60Vの高電圧をかけてリニアリティを向上し、低歪率化を図っています。
出力段はSEPP回路で低インピーダンス帰還回路の負荷をドライブしています。また、出力インピーダンスを低くし、負荷による安定度を向上させています。
RIAA素子には音質の優れたフィルムコンデンサとスチロールコンデンサの組み合わせにカーボン抵抗を採用しています。

MCヘッドアンプの初段にはオーレックスが開発したHi-gmFETをシックスパラレル接続で使用しており、S/N比の向上を図っています。
また、2段目はエミッタ接地で、出力段はエミッタフォロアーの3段直結回路を採用しており、抵抗雑音を下げるために帰還抵抗は極めて小さくなっています。
帰還回路が負荷となる出力段には充分な電流を流すと共に±30Vの高電圧をかける事でリニアリティと許容入力の向上を実現しています。

フラットアンプ部はDCアンプ構成となっています。
初段はFETによる差動回路のカスコード接続にブートストラップをかける事で信号源インピーダンスで変化する高域での歪みを抑えています。2段目は相補型カスコード接続された差動回路となっており、イコライザーアンプ同様に高域での歪率特性を向上させています。
出力段はSEPP回路を採用しており、100Ω以下の低出力インピーダンスとする事でどのようなパワーアンプでも安定した動作を可能にしています。

Phono1入力にカートリッジロードセレクタを搭載しています。
抵抗、容量共に5種類装備しており、25通りの組み合わせで様々なカートリッジに対応しています。

サブソニックフィルターを搭載しています。
回路は音質劣化を防ぐためコンデンサ1個による16Hz(6dB/oct)特性となっています。

Out offスイッチを搭載しています。
カートリッジの取り換えや接続変更時にシステムを保護するために出力を切断する際に使用します。スイッチは信号ラインとアースを短絡する方式を採用しています。

電源部はトランスを左右独立させたセパレート電源構成となっています。また、電源回路についてもL/R独立構造となっています。

内部レイアウトはフロントパネル側から見て前側がRチャンネル、後側がLチャンネルとなっており、中央部にスイッチやボリュームを設けたレイアウトとなっています。これによりチャンネル間の干渉を避け、セパレーションを向上させています。

基板には新開発のものを採用しています。
素材はガラス布エポキシレジンを採用しており、絶縁土が高く、温度の変化や湿度に強い特性を実現しています。これにより基板の電流漏れによって生じるノイズの発生を防いでいます。この基板にエッチングできる限界の0.3mmという分厚い圧延銅板を貼り付けて回路基板化しています。
基板同士の接続には3.619mm2の太い12番線を使用しています。

ボリュームには高精度ボリュームを採用しています。
抵抗体にはトリミングによる電流集中を避けるため、トリミング無しで使用できる連続三層印刷炭素皮膜抵抗を採用しており、引出線は銅箔にロジウムメッキしたものを使用しています。
端子は従来使用されていた鉄から銅に変更しており、3次歪の多い鉄を徹底して排除しています。これにより、音質の低下となる異種金属の接合回数を減らし、音質を向上しています。

抵抗類には異種金属の接合を避けカーボン抵抗を採用しています。
しかも、カーボン抵抗の中でも高い信頼性を持つ絶縁型カーボン被膜抵抗を採用しており、安定性や均一性、耐湿において優れた特性を持っています。

機種の定格
型式 コントロールアンプ
<イコライザーアンプ部>
入力感度/インピーダンス Phono1:2.0mV/ 100、10k、30k、50k、100kΩ /50、100、200、300、450pF
Phono2(MC):0.1mV/100Ω
全高調波歪率 Phono1:0.002%(1kHz、7.5V出力時、Rec out)
Phono2(MC):0.02%(1kHz、7.5V出力時、Rec out)
最大許容入力 Phono1:500mV(1kHz、全高調波歪率0.1%)
Phono2(MC):15mV(1kHz、全高調波歪率0.1%)
S/N比 Phono1:88dB(IHF-A、ショートサーキット、Pre out)
Phono2(MC):69dB(IHF-A、ショートサーキット、Pre out)
イコライザー偏差 ±0.2dB(20Hz~20kHz、Rec out)
定格出力 150mV(Rec out)
<フラットアンプ部>
入力感度/インピーダンス Tuner:150mV/50kΩ
Aux:150mV/50kΩ
Tape play:150mV/50kΩ
全高調波歪率 0.002%(Aux、1kHz、3V出力時)
混変調歪率 0.002%(Aux、1kHz、3V出力時)
S/N比 Aux:110dB(1kHz、IHF-A、ショートサーキット)
録音出力 150mV(Tape rec)
定格出力 1V(Pre out1/2)
最大出力 15V(Pre out1/2)
周波数特性 10Hz~100kHz +0 -1dB(Aux)
サブソニックフィルター 16Hz、6dB/oct
<その他>
使用半導体 FET:28個
トランジスタ:63個
ダイオード:29個
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 25W
外形寸法 幅450x高さ93x奥行379mm
重量 10.5kg