AKAI GXC-730D
¥99,800(1977年頃)
解説
コンポ・カセット初のリバース録再機構を搭載したステレオカセットデッキ。
GXC-730Dでは、往復で同一のヘッドを使用し、カセットテープを反転せずにヘッドをシフトさせ、同時にトラックの切換えを行っています。これによりヘッドの特性や時間的ロスなどの問題を解決しています。
ヘッドブロックは、前後左右の動きの誤差を追放したリニアモーション機構により規制しており、さらにヘッドのテープに対する垂直度(アジマス)も、それぞれの調整ネジにより固定しています。これにより往復の特性を均一化にしています。
また、ヘッドの摩耗、特に片減りによる特性劣化については、優れた耐摩耗性を誇るGXヘッドを使用することで対処しています。
テープの方向切換えには、バイ・カウンターキャプスタンドライブ方式で対応しています。
この方式は、常に反対方向に回転する2組のフライホイールとピンチローラーにより構成されているため、一定方向で再生中にも、反対方向のプレイレバーを押すだけで、即座に定速スピードでテープが送り出されます。
また、使用モーターや平ベルト、フライホイールなどの構成部品も、往復の走行特性を均一にする配慮がされた部品を採用しています。
録音レバーやプレイレバーは電源がoffの状態でもロックが可能なため、タイマーとの併用で留守録や目覚まし再生ができます。
リバースセレクターの切換えにより、「片道の録再」、「往路からの一往復の録再または復路からの片道録再」、「往路からの一往復録音が終ると自動的にA面→B面→A面と連続再生を行う」の3種類の切換えが可能です。
巻戻し/早送りレバーと、往路/復路のプレイレバーを同時に作動させることで、テープエンドからのオートプレイが可能です。
さらに、テープカウンターと連動したメモリー機構を使うことで、両方向ともカウンターのゼロ付近で自動的に再生状態になります。
カセットのヒスノイズを低減できるドルビーNRシステムを搭載しています。
アカイの独自開発によるADRシステム(Automatic Distortion Reduction)を内蔵しています。
この回路は入力信号の周波数帯域とレベルに応じて録音イコライザーを自動的に可変し、高域の減磁作用による歪を防止した録音が可能です。
VUメーターを搭載しており、入力信号の監視が可能です。
また、瞬間的な入力信号(パルス成分)に対しては、+7dBで点灯するLED使用のピークレベルインジケーターを搭載しています。
テープセレクターを搭載しており、ローノイズ、クローム、フェリクロームテープを活用できます。
このセレクターは録音バイアス、録音および再生イコライザー、録音レベルの4要素を同時に切換えます。
ライン録音のS/N比を改善するインプットセレクターを搭載しています。
録音時の過大入力による歪を自動的に防止するリミッターを搭載しています。
オイルダンパー使用によるソフトイジェクト機構を採用しています。
また、テープエンドでメカが解放されるフルリリース・オートストップ機構を搭載しています。
アウトプットボリュームを採用しています。
ヘッドのメンテナンスを容易にするため、着脱式カセットリッドを採用しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ方式 |
テープ速度 | 4.75cm/s |
ワウ・フラッター | 0.08%WRMS |
周波数特性 | 30Hz~17kHz ±3dB(フェリクロームテープ使用時) 30Hz~16kHz ±3dB(クロームテープ使用時) 30Hz~14kHz ±3dB(ローノイズテープ使用時) |
歪率 | 1.5%(1kHz、0VU) |
S/N比 | 54dB ドルビーNR使用時:6dB改善(1kHz)、10dB改善(5kHz以上) |
バイアス周波数 | 100kHz |
ヘッド | 録再:GXヘッドx1 消去ヘッドx2 |
モーター | 4極ヒステリシスシンクロナスモーター |
早送り、巻戻し時間 | 70秒(C-60テープ) |
入力レベル | Mic:0.3mV/-69dB/600Ω~10kΩ Line:70mV/-21dB/100kΩ Din:3mV/-48dB |
出力レベル | Line:0.775V(0VU時)/20kΩ以上 Din:0.55V(0VU時) Headphone:50mV/8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 40W |
外形寸法 | 幅440x高さ175x奥行302mm |
重量 | 12.0kg |
付属 | コネクションコードx2 |