AKAI GXC-510D
¥79,800(1974年頃)
解説
オープンリールと同じように直視できる縦型タイプのステレオカセットデッキ。
ヘッドにはシングルクリスタルGXヘッドを採用しています。
このヘッドはコアが単一の結晶で出来ており、組織内部まで均一で電磁特性が優れています。また、純粋な結晶コアのため耐久性が優れており、全体形状やギャップの幅・深さなどを理想的に設計できるためフォーカスフィールドの磁界によって録音側での高域の補償量を小さくする事が可能です。この優れたコアを超硬質グラスで包むことで優れた特性を得ています。
駆動部にはアカイが特にカセット用に開発したヒステリシスシンクロナスモーターを採用しています。このモーターは、シャフトにSNCII、ケースにはアルミ合金を使用しているほか、構造的にはダンパーリングの発明や固定メタルの採用など、高精度・ロングライフ化を図っています。
その他に70mmφフライホイールと真円度誤差0.4μの超精密加工キャプスタン軸を組み合わせることで安定したテープ走行を実現しています。
アカイの38cm・2トラック機であるGX-400Dproにも使用されたADR(Automatic Distortion
Reduction)システムを搭載しています。
この回路では録音時に入力レベルにあわせて録音イコライザの補償量を変化させています。これによりテープの最大飽和レベルまで最大限活かす事ができ、低歪録音を可能にしています。
このシステムで録音されたテープは、そのまま普通のカセットデッキでも再生ができます。
アンプ回路では高リニアリティとローノイズ化を図っています。
初段アンプにローノイズトランジスタによる2段直結方式を採用しており、低雑音抵抗器との併用でローノイズ化を図っています。また、深いNFBをかけることで低歪率・高リニアリティ化を図っています。
さらに、ライン出力段の後にヘッドホンとレベルメーター専用のエミッタフォロワ回路を設けています。録音イコライザアンプもこれとパラレルにヘッドに接続されてそれぞれを駆動しているため、前段の増幅回路への影響を抑えた回路動作となっています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーシステムを搭載しています。
ラインとマイクの入力回路は独立した設計となっており、ミキシング録音が可能です。
左右独立の録音レベルコントロールやライン出力用レベルコントロールを搭載しています。
大型メーターを搭載しています。
O.L.S回路を搭載しており、過大入力による歪の発生を自動的に防げます。
FMエアチェックなどのあらかじめ入力レベルのセットが不可能な録音の際に活用できます。
テープセレクターを搭載しており、クロームテープとローノイズテープに対応しています。
GXC-510Dではワンタッチ操作でバイアスとイコライザを同時に切換えます。
操作部にはフルダイレクトファンクションチェンジ機構を採用しており、録音や早送りなどから直接イジェクト操作が可能です。
また、イジェクト時はモードを解除してカセットハーフが飛び出るポップアップ機構となっています。
ポーズスイッチはロック式となっています。
着脱式のシースルーリッドを採用しており、ヘッド消磁などのメンテナンスが行い易くなっています。
リセットボタン付きの3桁インデックスカウンターを搭載しており、プログラム編集や録音・再生時に利用できます。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ方式 |
テープスピード | 4.75cm/s |
ワウ・フラッター | 0.08%WRMS |
周波数特性 | 30Hz~16kHz ±3dB(クロームテープ使用時) 30Hz~15kHz ±3dB(ローノイズテープ使用時) |
歪率 | 1.5%(1kHz、0VU) |
S/N比 | 54dB 62dB(Dolby on) |
消去率 | 65dB |
録音バイアス周波数 | 62kHz |
ヘッド | 録再:GXヘッド 消去ヘッド |
モーター | ヒステリシスシンクロナスモーター |
早送り/巻戻し時間 | 55秒(C-60型テープ使用時、50Hz) |
入力端子 | Line:70mV/-21dB/100kΩ Mic:0.4mV/-66dB/600Ω~10kΩ DIN:4mV/30kΩ |
出力端子 | Line:0.775V(0VU時)/47kΩ Din:0.5V(0VU時) Headphone:8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 20W |
外形寸法 | 幅418x高さ257x奥行152mm |
重量 | 6.8kg |
付属 | コネクションコード |