
A&D GX-R75CX
¥79,800(1987年頃)
解説
高音質化とクイックリバースによる操作性向上を追求したカセットデッキ。
クリックリバースメカニズムにはA&D独自の回転ヘッド方式であるアキュレートリバースヘッドシステムを採用しています。これによりスムーズな回転と高い精度を獲得しています。
録再ヘッドにはLC-OFCツインフィールドスーパーGXヘッドを採用しています。
スーパーGXヘッドは、高周波帯域での電磁変換特性や動特性に優れたフェライトを独自の技術で高精度に加工したもので、高域でのロスを少なく抑えるとともにワイドな周波数特性や低歪率を実現しています。さらに、耐摩耗性にも優れ、ゴミが付着しにくく、優れた初期特性を長期間にわたって維持します。
ツインフィールドスーパーGXヘッドでは、こうした特徴を持つヘッドをベースにヘッドハウジングに録音・再生ギャップをそれぞれ独立して設けることで3ヘッドシステムと同等の録再クオリティを実現しています。
さらにコアの巻線にはLC-OFCを採用しており、一般のタフピッチ銅に比べてコンデンサー効果をもつ結晶粒界の数を約7,500分の1に抑えています。さらに亜酸化銅(CU2O)による整流作用(半導体)がナイトいメリットも得ています。
メカニズム部にはBSP(Bi-Directional Symmetrical Precision)メカニズムを採用しています。
BSPメカニズムではテープトランスポートをほぼ完全に左右対称としており、往復テープ走行特性の均一化を図っています。さらに、テープとの接触面を幅広のアール面とし、ヘッドの左右に分離独立させた独自のデュアルワイドテープガイドを採用することで往復のテープ走行特性の差を抑えています。
録再アンプは完全DC化しており、動特性と分解能を大きく向上させる回路構成としています。
また、音質への影響が大きい再生イコライザーアンプにはローノイズ・デュアルFET入力オペアンプを採用しており、外部位相補償を可能にし、ディスクリート構成並の高スルーレート、低歪率、低雑音の特性を確保しています。さらに、再生イコライザーアンプはヘッドとダイレクトカップリングすることで信号の劣化を防いでいます。
電源部にはツインアクティブ電源を採用しています。
ツインアクティブ電源ではあらゆる帯域の電流変動に対しても安定した電力供給を維持するため、広帯域にわたる低出力インピーダンス化を実現し、大電流が要求される低域信号への応答性が改善されています。
ダイナミックレンジを拡大するdbxノイズリダクションシステムを搭載しています。
また、ドルビーB-C NRも搭載しており、±2電源専用安定化回路で高分解能を得ています。
メカニズムを動作させるマイクロコンピューターの発生する高周波雑音成分をシャットアウトするため、独立電源化やEMI(電磁妨害)フィルターを搭載しており、信号系への干渉を抑えています。
FBET(折返し電極トランジスタ)やLC-OFC巻線、低歪率コア採用のMPXフィルターや高音質抵抗などのオーディオ用として開発されたものを採用しています。
CRLP(コンピューター・レックレベル・プロセシング)システムを搭載しています。
音楽の信号レベルは広い周波数に分布し、しかも時々刻々と変化しています。CRLPではこの変化してゆく音楽信号をコンピューターでチェックし、テープの能力(MOL:Maximum
Output Level)と見合わせて録音レベルの自動設定を行ないます。
CRLPスイッチを押すと、CRLPインジケーターが点灯し、録音ソースの高域/中低域エネルギーがテープの高域MOL/中低域MOLを超えないぎりぎりの最適レベルに録音レベルを下げていきます。調整精度を決める電子ボリュームは65ステップの高性能タイプ(1ステップ=1dB、メモリーバックアップ付き)となっています。また、値はデジタル表示によって直読することができます。
CRLPシステムは録音中はオートアッテネーターとしても動作し、過大入力に対して聴感を損なわないよう約1秒ごとに約1dBずつ録音レベルをダウンさせます。
録音レベルはマニュアル設定も可能です。
ダイレクトリードイン&パワーイジェクト機構を搭載しており、カセットをセットして希望のオペレーションボタンを押すだけで自動的にテープをローディングします。また、イジェクトもモーター駆動によって行うA&D独自の構造となっています。
オートフェーダーを搭載しており、ワンタッチでフェードイン・アウトが可能です。
フェードタイムは3秒間と6秒間の2スピードが選べます。
リアルタイム表示電子デジタルテープカウンターを搭載しており、分秒表示でテープの残量時間や演奏時間が確認できます。
ディスプレイにはFLディスプレイを採用しており、バーメーターには2色12セグメントのピークレベルメーターを採用しています。
また、音楽信号の中低域成分のレベルが確認できるスペクトラム表示にも切替ができ、同時にテープの種類に応じた高域MOL(SOL)、中低域MOL(MML)がバーメーターに表示されます。
高強度の底板や大型フットを採用した高剛性設計によって有害な振動や共振を抑えています。
次の曲や再生中の曲の頭出しが可能なIPLS(自動頭出し機構)を搭載しています。
約4秒間の曲間スペースを作るオートミュート機構を搭載しています。
自動的にテープの種類を検出するオートテープセレクターを搭載しています。
MPXフィルタースイッチを搭載しています。
アウトプットボリュームを搭載しています。
タイマースタート機構を搭載しています。
リバースセレクターを搭載しています。
金メッキ端子を採用しています。
電源ケーブルには極性表示付きコードを採用しています。
別売りリモコンユニットを使用することでリモートコントロールが可能です。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
ワウ・フラッター | 0.05%WRMS ±0.07%WPeak(EIAJ) |
周波数特性 | 20Hz~17kHz ±3dB(ノーマルテープ) 20Hz~18kHz ±3dB(クロームテープ) 20Hz~19kHz ±3dB(メタルテープ) |
歪率(EIAJ) | 0.8%(メタルテープ) |
SN比(EIAJ) | 59dB(メタルテープ) ドルビーB NR:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善 ドルビーC NR:500Hzで15dB、1kHz~10kHzで20dB改善 |
ダイナミックレンジ | 110dB(dbx NRシステム使用時) |
ヘッド | 録再:LC-OFCツインフィールドスーパーGXヘッド 消去:消去ヘッド |
モーター | キャプスタン駆動用:電子制御DCサーボモーター リール駆動用:DCモーター カム駆動用:DCモーター |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 23W |
外形寸法 | 幅440x高さ115x奥行280mm |
重量 | 5.2kg |
付属 | コネクションコード |
別売 | ワイヤレスリモコン RC-92(¥18,000) ワイヤードリモコン RC-32(¥6,000) |