
AKAI GX-M30
¥57,800(1979年頃)
解説
スーパーGXヘッドを搭載したメタルテープ対応カセットデッキ。
録再ヘッドにはツインフィールドタイプの新開発のスーパーGXコンビネーションヘッドを採用しています。
このヘッドは素材には新開発のHigh Bs、Highμフェライト材を用いており、ツインフィールド構造を世界ではじめて採用しています。
ツインフィールド構造は録音のフィールド系と再生のフィールド系の2つのフィールド系を機能的にわけており、録再兼用ヘッドでありながら録音用ギャップ(4μ)と再生用ギャップ(1μ)に設定する事で3ヘッドタイプと同等の性能が出せるように工夫されています。
使用された新開発ヘッド素材は渦電流損失が少ないなど材料特性に優れており、録音ギャップを広く取ることで保磁力が高いメタルテープに対しても充分に対応しています。さらに再生ギャップも最適に設定できるため、優れた再生周波数特性を実現しています。また、GXヘッドと同様にパーマロイやセンダストなどの金属ヘッドに比べて耐摩耗性やゴミ付きなど二次特性の面でも優れています。
消去ヘッドには新開発のHigh Bsフェライト材を用いたダブルギャップフェライトヘッドを採用しています。
消去効率が高く、保磁力の大きいメタルテープにも対応しています。
自動頭出し機能としてIPLS(Instant Program Locating System)を搭載しています。
IPLSではテープ上に記録された信号部分と無信号部分の境界を再生ヘッドが検出して自動的にプレイ状態に入ります。操作はIPLSボタンを押してRWDレバー/FFレバーとPLAYレバーを同時に押して操作します。
この機能は信号の無い部分が4秒以上あれば作動します。
4ポジションテープセレクターを搭載しており、LN(ローノイズ)、LH(ローノイズハイアウトプット)、CrO2(クロームまたはSA)、METALの4ポジションをワンタッチに切換できます。
さらに各ポジションに対してバイアス微調つまみが設けられており、それぞれのポジションに対してバイアス量を±10%可変する事ができます。
蛍光表示管を用いたデジタルFLメーターを搭載しています。
このメーターはスイッチ切換でVUメーターとしてもピークメーターとしても使用でき、VUメーターの場合には0dBまで、ピークメーターの場合には+8dBが点灯しない範囲が最適録音レベルの目安です。
マイクとラインの入力回路が独立しており、ミキシング録音が可能です。
ライン入力は直接ラインボリュームに、マイク入力はマイクアンプを経由してマイクボリュームに入力されます。このためライン入力はマイクアンプを通過せず、余分なノイズを拾いません。
オートプレイ機能を搭載しており、RWDレバーとPlayレバーを同時に押すとテープエンドで自動的に再生状態に入るオートプレイが可能です。
また、メモリープレイ機能も搭載しており、繰り返し聞きたい曲の頭をカウンターの数字000にセットしておくことで繰り返し聞く事ができます。
レコーディングミュート機能を搭載しており、レコーディング状態のままで無音録音の部分を作れます。
この機構が作動中にはテープ上の信号は記録されませんが、ソースはそのままモニターする事ができます。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーNRシステムを搭載しています。
AKAI独自のADRシステムを搭載しています。
この方式では入力信号の周波数帯域とレベルに応じて録音イコライザーが自動的に可変する事で高域における減磁作用による歪を防止します。これにより特に高域のダイナミックレンジを生かした録音が可能となります。
タイマースタンバイ機構を搭載しており、タイマーを組み合わせる事で留守録音や目覚まし再生が可能です。
電子式オートストップ機構を搭載しています。
テープ走行が終わると巻取りリール台の停止を電子式に検出し、STOPレバーが解除されます。
モノマイク機構を搭載しており、1本のマイクをLチャンネルの端子に接続すると、自動的に信号がRチャンネルにもふりわけられ、ボーカルのセンターマイク使用が可能です。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ方式 |
テープスピード | 4.75cm/s |
ワウ・フラッター | 0.04%WRMS(JIS) |
周波数特性 | 30Hz~15kHz ±3dB(LNテープ) 30Hz~16kHz ±3dB(LHテープ) 30Hz~16.5kHz ±3dB(CrO2/SAテープ) 30Hz~19kHz ±3dB(メタルテープ) |
SN比(メタルテープ) | 61dB(Metalテープ、3%THDレベルWTD) Dolby NR on:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善 |
歪率(1kHz、0VU) | 0.6%(メタルテープ) |
録音バイアス周波数 | 100kHz |
ヘッド | 録再ヘッド:ツインフィールドスーパーGXヘッドx1 消去ヘッド:ダブルギャップ消去ヘッドx1 |
モーター | 電子制御DCモーター |
早巻き時間 | 90秒(C-60テープ使用時) |
入力レベル | Line:70mV/-21dB(入力インピーダンス100kΩ以上) Mic:0.3mV/-70dB(適合インピーダンス600Ω) |
出力レベル | Line:0~410mV(最大時0VU)/負荷インピーダンス20kΩ以上 Headphone:0~100mV/8Ω |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 14W |
外形寸法 | 幅440x高さ158x奥行276mm |
重量 | 8.0kg |
付属 | コネクションコードx2 |