AIWA AD-FF60
¥69,800(1982年頃)
解説
Active Servo Bias(Dolby HX Pro)と搭載したステレオカセットデッキ。
デジタル時代に対応するためB&O社で開発されたDolby HX Proシステムの、より高精度な実用化に成功した、アクティブ・サーボ・バイアス方式を搭載してます。
この方式は、音楽信号中の高域成分が、バイアス電流の一部として働き、オーバーバイアスとなって高域MOLの劣化をまねく自己バイアス効果の問題に着目したもので、ICによるサーボ・バイアス回路が録音ヘッドに加わる音楽信号とバイアス電流のトータルである実効バイアス値を常に適正値に安定制御しています。
動作の仕組は、音楽信号の高域成分のレベルに応じ、実際の動特性の中でバイアス量をアクティブに加減しており、これによりハイレベルの高域信号で起こりやすいテープの飽和を抑止しています。
ヘッドにはDXコンビネーション3ヘッド方式を採用しています。
このヘッドはガード部にセンダスト、コアスペーサーに硬質の複合素材を用いた特殊構造を採用しており、耐摩耗性を大幅に向上しています。また、ヘッド部は薄いコアを多層ラミネートすることで高周波域でのロスを少なくし、高域周波数特性を向上しています。
メカニズムにはスーパースタビライズドテンション・デュアルキャプスタンメカニズムを採用しています。これにより、単にワウ・フラッターの数値の向上といった問題だけでなく、レベルの変動、変調ノイズなどの音質改善要素も向上しています。
このメカニズムでは、巻取り(テイクアップ)側に、アイワ独自のマイクログレイン・プロセシングによる特殊な表面処理を施したキャプスタンを採用しています。これによりキャプスタンとテープ間に起こるスリップを低減し、巻取り(テイクアップ)リール軸のトルク変動、振動、さらに他の駆動系からの影響も遮断しています。この結果、2組のキャプスタンとピンチローラー間を走行するテープは、巻き始めから巻き終わりまで常に一定のテンションで安定した走行と一定したヘッドタッチを実現し、ドロップアウトやレベル変動といった阻害要素を改善しています。
さらに、AD-FF60ではシステムサーボによりモーターの回転精度を向上しています。
アイワ独自の自動消磁システムADMS(Automatic Demagnetizing System)を搭載しています。
ADMSでは、電源スイッチをonするたびに、デッキ内の消磁発振器が高周波電流をヘッドに流し、1.5秒弱で消磁を完了します。これにより常にクリーンなヘッド状態を保っています。
ノーマル・クロームテープにベストチューニングをとるバイアス微調整機構を搭載しています。
3ヘッド方式による録音同時モニター機構を活用することで、それぞれのテープに最も適正なバイアスを設定することができています。
自動的に曲の頭を約8秒間ずつ再生しながら、次から次へ早送りするイントロプレイ機能を搭載しています。
また、ミュージック・センサー機能ではワンタッチで前後1曲の頭出しを行います。
オートテープセレクターやダブルドルビーB/C、MPXフィルター、オートレックミュート機能を搭載しています。
ピークホールド付12点LEDメーター、テープ別ピーク値ディスプレイ、テープタイム表示付多機能電子カウンター、マイク端子、リモコン端子などを搭載しています。
機種の定格
型式 | 3ヘッドカセットデッキ | ||||
モーター | キャプスタン用:システムサーボモーター リール用:DCモーター |
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ヘッド | 録再:コンビネーションDXヘッド 消去:ダブルギャップセンダストヘッド |
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ワウ・フラッター (aiwaテストテープ使用) |
0.028%(WRMS) ±0.05%(WPeak) |
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周波数特性 |
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SN比 (メタルテープピークレベル) |
Dolby NR off:60dB Dolby B on:68dB Dolby C on:75dB |
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歪率 | 0.9%(メタルテープ) | ||||
入力感度/インピーダンス | Mic:0.3mV/200Ω~10kΩ Line:50mV/50kΩ以上 |
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出力レベル/インピーダンス | Line:0.41V/50kΩ以上 Headphon:1.5mW/8Ω |
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早送り、巻き戻し時間 | 70秒(C-60) | ||||
オートストップ方式 | 純電子式フルオートストップ | ||||
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 26W | ||||
外形寸法 | 幅420x高さ110x奥行280mm | ||||
重量 | 5.5kg |