AIWA AD-F80
¥135,000(1978年頃)
解説
3ヘッドシステムやFRTSなどのアイワのカセット技術を投入して開発されたカセットデッキ。
テープの最適バイアス値を見つけ出すFRTS(Flata Response Tuning System)を搭載しています。
FRTSでは、内蔵の400Hzと8kHzの混成波発振器からのテスト信号を録音しながら、すぐに再生し、400Hzの再生レベルはLchに、8kHzの再生レベルはRchのVUメーターに指示されます。これをバイアス微調整ツマミで左右のメーターの振れを同レベルに合わせれば、周波数特性のフラットなバイアス値を得られます。
可変範囲はLH・CrO2ポジションは±20%、FeCrポジションは±10%となっています。
正確な録音レベルの設定が可能なダブルニードルメーターを搭載しています。このメーターではピークとVUが同時に読み取れ、可能な限り広いダイナミックレンジが確保できます。
ピークメーターのとうとう特性10m/sec、復帰時間1.5sec、-40dB~+10dBと微弱レベルからハイレベルまで読み取りを容易にし、さらにON-OFF操作ボタンでピーク、VUの切替えも可能です。
ピークメーターの最大値を保持するピークホールド機構を搭載しています。
ピークホールドボタンをONにすれば、入力信号のピークレベル指示を30分間(−1dB)ホールドすることが可能です。また、ピークホールド中にさらに大きな信号が入った場合、その最大ピークを指示してホールドを続けます。
回路構成は4段のオペレーショナルアンプとFETを使用しています。
テープごとの感度を補正するRecキャリブレーションを搭載しています。
MPXフィルターを搭載しています。
ヘッドには新開発のCVC(コンビネーション V-Cut)ヘッドによる3ヘッドシステムを採用しています。
録音用ヘッドと再生用ヘッドをそれぞれに適したギャップ長(録音ギャップ4μ、再生ギャップ1μ)に設計することで、高域の周波数特性を伸ばし、SN比やダイナミックレンジを大幅に改善しています。
CVCヘッドは、カセットハーフという技術的条件を克服するためコンビネーションタイプとなっており、テープとの良好なヘッドタッチを保つためにツインピークヘッドを採用しています。さらに、従来のコンビネーションヘッドに起きていたコンター効果(低域のうねり)を、再生ヘッドのコアにV-Cutを施すことで減少させ、低域特性を向上させています。また、ヘッドには耐磨耗性、高域特性に優れた超硬質フェライトを使用しています。
メカニズム部にはデュアルモータードライブ方式を採用しています。この方式は、キャプスタン駆動モーターに加わる余分な負荷を除去し、キャプスタンと巻取りリールをそれぞれ専用にドライブする構造となっています。
キャプスタン駆動モーターはドリフト特性や温度特性、経時変化に優れた38パルスFGサーボモーターを使用し、リール巻取り駆動モーターにはFWD時とFF・REW時の回転を変えるDCサーボモーターを採用しています。
また、フライホイールは偏重心距離6μの高精度なものを採用し、さらに小型化させることでフライホイールのバランスをとりやすくしています。さらにキャプスタンの精度も真円度0.05μに抑え軸受とのクリアランスを正確に保つだけでなく、軸受には高純度銅系オイルレスメタルを使用し、内径の真円度1μ、表面粗度0.2Sの高精度とすることで高精度なトランスポート部を実現しています。
ドルビーシステムを搭載しています。
操作部にはロジカルコントロール回路を採用しています。これにより、F.F.またはREWから停止ボタンを押さずに直接FWDに切換えたり、録音状態にダイレクトチェンジすることができています。
さらに、ロジカルコントロールでは初めてのクイックレビュー・キューを採用しています。発熱防止型のプランジャーソレノイドを使用し、操作ボタンのストロークも1mm以下となっています。
再生中でもテープを止めずに録音に移れる後追いRECが可能です。
カセット蓋開放時は操作ボタンを押してもメカニズムが動作しないセーフティロック機構を搭載しています。
繰り返し録音に対応したタイマースタンバイメカを搭載しており、別売りタイマーを接続することで繰り返し留守録音が可能です。
ミューティングタイム・インジケーター付きのRec Mute機構を搭載しています。
マイクとライン入力のそれぞれに独立したレベルコントロールを搭載しており、ミキシング録音も可能です。
マイク1本でモノラル録音が可能なMic(L+R)ジャックを搭載しています。
前面にラインインジャックを搭載しています。
テープの繰り返し再生にも有効なメモリーリプレイ機構を搭載しています。
再生ボリュームを搭載しています。
純電子式フルオートストップ機構を搭載しており、テープやメカを傷めるのを防いでいます。
オイルダンプ式正立型カセットホルダーを採用しています。
テープ残量の目視がしやすいテープ照明ランプを搭載しています。
シンクロオペレーション機構を搭載しており、アイワのレックシンク端子付きのプレイヤーと接続することで、録音時にプレイヤーとデッキの同時スタート/ストップが可能です。
別売りでリモートコントロールユニットやラックマウント用オーディオハンドルがありました。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック方式 | 4トラック2チャンネル |
周波数特性 | LHテープ:20Hz~16kHz FeCrテープ:20Hz~20kHz CrO2テープ:20Hz~19kHz |
SN比(FeCrテープ) | 55dB(Dolby NR off) 68dB(Dolby NR on) |
ワウフラッター | 0.04%(WRMS) |
テープ速度 | 4.8cm/s |
早送り、巻戻し時間 | 90秒(C-60) |
録音方式 | ACバイアス(105kHz) |
消去方式 | AC消去 |
入力感度/インピーダンス | Line:50mV/100kΩ以上 Mic:0.25mV/200Ω~10kΩ適合 |
出力レベル/インピーダンス | Line:0.41V/50kΩ以上適合 ヘッドホン:2mW/8Ω(0VU) |
使用半導体 | IC:13個 トランジスタ:150個 ダイオード:85個 LED:6個 FET:12個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 26W |
外形寸法 | 幅450x高さ120x奥行327mm |
重量 | 9.5kg |
付属 | ドライバー ヘッドクリーニング棒 ステレオピンコードx2 |
別売 | ワイヤードリモコン RC-10(¥9,000) オーディオハンドル AH-10(¥2,800) |