ADC ASTRION
¥59,000(1981年頃)
解説
一本一本、部品の検査、選択から組み立てから完成まで熟練した一人のクラフトマンによって作られたIM型カートリッジ。
IM型カートリッジでは針が針以外の余分なものを持っていません。
MMカートリッジではカンチレバーの後方に重い磁石が付き、この磁石がピックアップコイルの中を動いて信号を発生させています。また、MCカートリッジはカンチレバーの後方にコイルがつけられており、重量が軽くできる代わりに出力が低くなってしまいます。
IM型カートリッジでは重く大きな永久磁石はカンチレバーの上方に浮かして取り付けられており、一部分が高透磁率を持つMUメタルでできたカンチレバーは永久磁石によって電磁誘導されて磁化しています。これによりMM型カートリッジと同じ働きをカンチレバーが行います。また、電磁誘導によってカンチレバーに復元力が働くため、重力の支点と振動の支点が一致し、レコード溝によって動かされる時以外は慣性モーメントを最小にして針が中立になります。この構造はCED(Controlled Electromagnetic Damping)と名付けられています。
レーザーで削られた無垢サファイアのシャフトを採用しており、カンチレバーが起こす歪や共振を極限まで抑えています。
超精密加工を誇るOmniピボットを進歩させたOrbitalピボットシステムを採用しています。
Omniピボットでは、アーマチュアを人間の髪の毛の1/4以下の精度で超精密加工し、サスペンションブロックにぴったりと噛み合うよう設計しています。これに磨きをかけたOrbitalピボットによってIM型の特性を十二分に生かしています。
クラフトマンのサイン入りの実測データが添付されています。
機種の定格
| 型式 | IM型カートリッジ |
| 周波数特性 | 20Hz~20kHz ±1dB 10Hz~26kHz ±1.5dB |
| 出力 | 4.5mV(5.0cm/sec) |
| 出力バランス | 1dB(max.) |
| セパレーション | 30dB(1kHz) |
| インダクタンス | 580mH |
| レジスタンス | 825Ω |
| 負荷インピーダンス | 47kΩ |
| 負荷容量 | 300pF |
| 針先 | 0.25x1.5mil 無垢ダイヤ、エクステンデッド、コンタクト・ミニチュア楕円 |
| 振動系 | サファイア・カンチレバー Orbital-Pivot |
| 針圧 | 1.2g ±0.2g |
| 自重 | 5.7g(シェル無し) |
| 交換針 | RSA(¥30,000) |
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