解説　

合計510VAまでの機器に対応したクリーン電源。

PS-500Vは波形整形技術を主体とした交流定電圧装置で、入力された交流を制御回路によって加減算して補正し、そのまま交流で出力しています。
この方式では主なエネルギーは入力された交流そのもので、損失分は波形補正用の電力だけのため、従来の交流定電圧装置に比べて効率が良く、発熱が少ない上に、軽量化にも貢献しています。また、電源周波数は入力同期方式なので内部に発振器が不要なため、内部からの高周波ノイズの発生がありません。

PS-500Vではトランスの2次側捲線を2つに分けて処理しています。片方の信号は加減算回路を経て出力電圧にすると共に一部を波形比較用に波形比較器のマイナス入力に送っています。
もう片方の信号は整流されて波形補正アンプの直流電圧として供給しています。それと同時に、この信号の一部を同期・基準波形発生回路によって50Hz/60Hzの入力周波数に同期した高精度の正弦波にしており、基準信号として波形比較器のプラス入力に加えています。これにより出力電圧であるマイナス入力と比較し、基準信号との誤差を検出しています。
この誤差を加減算回路によって出力電圧の波形補正として加え、純度の高い出力波形に変換しています。

入力周波数に同期した高精度の正弦波形と出力電圧を比較しているため、例えば90Vや110Vなどの出力電圧の過不足に対して最大±10V(ピーク値±14.1V)の補正波形を作って出力電圧を加減算しています。
これにより90V～110Vの変動に対して定格負荷510VA接続時で出力電圧100V(±2V)一定、歪率0.3%以下の優れた波形修正能力を実現しています。

入力側にラインフィルターを装備しており、デジタル機器などから電源ラインを通して侵入する高周波雑音を排除しています。
また、電源トランスは1次/2次を完全分離し、さらに完全シールドによって外部雑音もよせつけない優れた妨害排除能力を獲得しています。また、負帰還方式を採用しているため出力インピーダンスを非常に低くすることができ、出力に接続された機器同士の干渉を抑えています。

メーターを装備しており、接続されている機器の消費電力(VA値)が確認できます。また、切替により出力電力、入出力電圧、入出力歪率をモニターできます。
容量オーバーの機器を接続した際にはメーター照明ランプが点滅して警告します。

波形補正の加減算を行うパワーアンプにはピュア・コンプリメンタリー・シンメトリー回路とカレントフィードバック増幅回路を採用しています。
出力段には最大定格10Aのトランジスタを10パラレル・コンプリメンタリー・プッシュプルで使用しており、優れた電流供給能力を実現しています。

保護回路を装備しており、異常時には動作してPS-500Vと接続機器を保護します。
出力端子ショートなどの入力電流オーバー時はサーキットプロテクターが電源を遮断します。また、電源ON時の突入電流や音声出力のピーク時などの瞬間的な電力オーバーに対しては70Aで電流リミッターが動作します。
直流電圧が出力された場合や定格を超えた異常電圧が出力された場合には出力をOFFにして接続機器を保護します。
内部のヒートシンクや電源トランスが110℃を超えた場合には自動的に回路を遮断します。

電源部には約750VAの大容量スーパーリング・トロイダルトランスを採用しています。
このトランスはドーナツ状のコアに太い銅線を巻くことで非常にインピーダンスが低く、小型で変換効率が高いトランスを実現しています。

AC出力端子にはホスピタルグレードの3Pコンセントを6系統装備しています。

ホスピタルグレードの接地極付き3Pプラグを用いた電源ケーブルが付属しています。


PS-500Vのメーターはワット表示ではなく皮相電力であるボルトアンペア表示となるため、カタログ等の消費電力値より大きな値を指示します。

機種の定格

型式	クリーンパワーサプライ
定格出力容量	510VA(連続出力)
定格出力電圧	AC100V±2V
定格出力電流	5.1A
出力周波数	50Hz/60Hz(入力周波数に同期)
瞬時電流供給能力	70A
出力波形全高調波歪率	0.3%以下
定格入力電圧	AC100V(入力電圧範囲:AC90V～110V)
入力周波数	50Hz/60Hz
無負荷時消費電力	55W
冷却方式	自然空冷
メーター	Volt-Ampere:0～510VA Voltage input/output:AC90～110V 目盛りの赤色範囲:AC100V±5V Distortion input/output:0～6% ※過負荷時はメーター照明ランプが点滅
最大外形寸法	幅475x高さ180x奥行394mm
重量	23.8kg