
Accuphase F-20/F-20M
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F-20
F-20M:¥230,000(1997年5月発売)
:¥260,000(1997年5月発売)
解説
F-25の技術を踏襲した2ウェイ専用のマルチチャンネルディバイダー。
この機種にはF-20とF-20Mという2種類のバリエーションがあります。
F-20MはJBLのM9500、Project K2 S9500/S7500を2ウェイドライブする専用モデルとして発表されました。このF-20Mには専用フィルターアンプ回路と専用周波数ボードFB-650Mを搭載しており、スピーカーLCネットワークと同等のフィルター特性が得られています。
F-20Mは外観はF-20と同じですが、スロープ切替スイッチは-18dB/oct固定となっています。また、F-20を購入後にF-20Mに改造することも可能でした。
F-20は伝送能力に優れたバランス入出力回路を備えた2ウェイ専用構成となっています。
バランス接続は特に高能率ホーンスピーカーを使用する場合に、雑音妨害が少ないメリットが生かされ、純度の高い信号伝送が可能です。また、従来のアンバランス入出力についてもリアパネルのスイッチ切替で対応しています。
F-20をもう1台追加することで3ウェイに発展させることもできます。
クロスオーバー周波数の変更は、それぞれの周波数専用に設けられた周波数ボードを差し替えて行ないます。これにより最短でストレートな信号経路を実現し、音質劣化を抑えています。音質に重大な影響を与える素子にはPPSコンデンサーと精密炭素皮膜抵抗器を中心に厳選して使用しており、音質の劣化やカラーレーションを最小限に抑えています。
周波数ボードの脱着はリアパネル側に設けられたスロットで行ないます。なお、周波数ボードはF-25と共通で、全て別売りとなっています。
周波数を分割するフィルターカーブにはガウシャン特性を採用しています。
この形式のフィルターは高性能測定器スペクトラム・アナライザーなどにも用いられているもので、従来のバターワース特性に比べてインパルス再現性が高く、より忠実な原波形の再現を可能にしています。
遮断特性を作るフィルター回路にはGIC型を採用しています。
このフィルターは従来LCでしか組めなかったフィルターをCRだけで実現した回路で、従来の帰還型フィルター回路に比べ、通過帯域では増幅器を通らないため、信号の純度が保たれています。
また、定数の選択によってフィルターの周波数や減衰度を正確に保つことが可能です。
フィルターの減衰特性はフロント側のスイッチで選択することができ、スロープは-12dB/oct、-18dB/oct、-24dB/octの3種類が選べます。このスイッチはLowとHighで独立しており、各帯域別々にスロープを設定することも可能です。
モジュール化された出力バランス回路を採用しています。
出力バランス回路は2組のアンプで構成されており、それぞれの出力をもう片方にフィードバックするたすき掛けの構造とすることでプラスとマイナスの対称信号を低いインピーダンスで送り出すことが可能となっています。また、この回路はプラスとマイナスの対称信号がグラウンドからフローティングされた回路方式なので、出力の片側をアースしても両方のアンプが作動して出力電圧が変化しません。これにより、通常のアンバランス接続時は一方の出力をグラウンド・ラインに接続するだけで良く、バランス/アンバランスで音質の変化がありません。
この出力回路をさらに安定した動作で実現させるため、主要な半導体回路を熱伝導の優れたアルミナ磁器の基板上にモジュール化しています。
Low/Highの各チャンネルに出力の位相を反転させるフェーズスイッチを搭載しています。
切替方法はバランス出力アンプの接続を入れ替えるだけなので、音質を損なう心配がありません。
指向性がブロードな低域の左右の信号を混合し、1個の大型ウーファーから出力するサブウーファー方式に対応するため、リアパネルのLOW出力部に切替スイッチを搭載しています。
出力コントロールにはアッテネーターを搭載しており、0~-8dBまで0.5dBステップと-8dB~-20dBまで1dBステップ及び-∞の調整が可能です。このアッテネーターは左右独立して装備しているため、各帯域のレベルを精密に微細に調整できます。
機種の定格
型式 | チャンネル・ディバイダー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最大入力レベル(歪率0.01%以下、20Hz~20kHz) | Balanced:5.0V Unbalanced:5.0V |
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全高調波歪率(20Hz~20kHz、出力2.0V) | 0.003% | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
周波数特性(単一チャンネル等価帯域) | 20Hz~20kHz +0 -0.2dB 0.5Hz~300kHz +0 -3.0dB |
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利得 | 0dB | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クロスオーバー周波数 | クロスオーバーボードの差し替えで変更 標準周波数:21ポイント |
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クロスオーバー特性 | -3.0dB ±5% | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
スロープ特性 | -12dB/oct、-18dB/oct、-24dB/oct スイッチ切替式 |
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入力インピーダンス | Balanced:40kΩ Unbalanced:20kΩ |
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出力インピーダンス | Balanced:50Ω Unbalanced:50Ω |
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S/N(出力0.5V、IHF-A補正) | 100dB | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最小負荷インピーダンス | Balanced:600Ω Unbalanced:600Ω |
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レベル調整 | 0~-8dB、0.5dBステップ -8dB~-20dB、1dBステップ -∞ |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
消費電力 | 20W | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最大外形寸法 | 幅475x高さ150x奥行395mm | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
重量 | 10.4kg | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
備考 | F-20→F-20Mの改造(¥10,000) FB-650M(¥30,000) |
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別売 | 周波数ボード(各¥15,000)
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