
Accuphase AC-1
¥38,000(1979年10月発売)
解説
古典製品の音楽再生能力と現代技術を組み合わせて開発されたMC型カートリッジ。
カンチレバーには剛性を重視した肉厚のドイツ製アルミ・マグネシウム合金を使用しており、さらに全長の60%にベリリウム材を配することで、ロームビングマスでありながら高スティフネスを実現しています。
この構造によって60kHzの高域再生限界を実現し、さらにQダンプすることによって5kHz~10kHz付近が凹特性となるサドル特性を改善しています。
ダンパー部分にはダンプド・ダンパー方式を採用しており、主ダンパーの外にもう一つのダンパーを配置することで主ダンパーの振動を吸収しています。これにより振動子の運動によって発生するダンパーの固有振動を抑えています。
マグネットにはサマリウム・コバルト・マグネットを使用してます。そしてアーマチュアのヒステリシス特性上での動作点が完全にリニアになるようにマグネットの直流磁界の強さを調整し、飽和点の65%に設定しています。
アーマチュアのコアには磁性材として最も安定している良質なパーマロイ材を使用しています。
また、コイルにはMCカートリッジとしては最大径に属する0.035mmφの純度の高い銅線を使用し、一層巻きの少ない巻数でありながら0.2mVの出力を得ています。これによりインピーダンスを低く抑えています。
ボディにはアルミダイカストを使用しており、剛体かと内部損失に十分な配慮が施されています。また、シェルとの接触面を凹凸の無いフラット面に仕上げ、シェル取付時の強度を高めています。
レコードの反りなどによる針圧変化によって発生する出力電圧の変動にも留意し、1.0~3.0grの間では出力電圧の変化が殆どありません。
針交換は振動系が固定されているため針先のみを交換することができず、新品交換となっていました。
機種の定格
型式 | MCカートリッジ |
発電方式 | ムービング・コイル型 |
出力電圧 | 0.2mV(5cm/sec.、1kHz) |
周波数特性 | 20Hz~60kHz 20Hz~20kHz ±1dB |
チャンネルセパレーション | 30dB(1kHz) |
チャンネルバランス | 0.5dB(1kHz) |
コンプライアンス | 水平:15x10-6cm/dyne 垂直:15x10-6cm/dyne |
トラッカビリティ | 80μm(300Hz、2.0gr) |
針圧対出力電圧偏差 | 0dB(針圧1.0gr~3.0gr) |
内部インピーダンス | 4Ω |
推奨負荷インピーダンス | ヘッドアンプ使用時:50Ω以上 ステップアップトランス使用時:3Ω以上 |
垂直トラッキング角 | 20゜ |
再生針 | ライン・コンタクト型ダイアモンド |
曲率半径 | 6μmx35μm |
使用針圧範囲 | 1.5gr~2.5gr |
適正針圧 | 2.0gr |
自重 | 9.5gr |
針交換 | 本体交換(¥25,000) |