解説　

アキュフェーズが持つアナログパワーアンプ技術とデジタルオーディオ技術を融合した6チャンネルパワーアンプ。

PX-650では6チャンネルの全てに同一仕様のデルタシグマ方式デジタルパワーアンプを搭載しており、同一クオリティの音質を実現しています。
この方式では入力処理回路(Input Stage)と量子化器(Quantizer)、MOS-FET駆動回路(MOS FET Driver)、MOS-FET出力段(Output Stage)、帰還回路(Feedback Network)で構成されており、全体で2次デルタシグマ変調器を構成しています。
一般的にデルタシグマ方式のデジタルパワーアンプでは、入力処理回路と量子化器、帰還回路などを1チップにまとめたICを使用していますが、PX-650では個別部品によるディスクリート回路で構成しています。これによりアナログパワーアンプに匹敵する優れた低雑音特性を実現しています。

出力段に高耐圧/低オン抵抗のパワーMOS-FETを採用しており、アナログパワーアンプと同様のシングルエンド化を実現しています。
これにより2チャンネルのアンプをブリッジ接続する事が可能となり、6チャンネルアンプから大出力3チャンネルアンプにグレードアップさせる事ができます。
PX-650では、6チャンネルのうち2チャンネル毎の合計3ブロックをそれぞれブリッジ接続できます。モード切替スイッチによってブリッジ接続に切り替えます。

インスツルメンテーションアンプ構成を導入しています。
この方式では入力部を理想的なバランス回路にし、信号入力段を含めたパワーアンプ全体でバランス・アンプを構成しています。これによりCMRR(同相信号除去比)や歪率などの諸特性に優れると共に、外部雑音などの周囲の環境変化に強いアンプを実現しており、パワーアンプとしての安定度や信頼性を向上させています。

電源部には820VAの大電力容量を持つトロイダルトランスを採用しています。また、フィルター用アルミ電解コンデンサには33,000μFの大容量コンデンサーを2個搭載しています。

ノーマル/ブリッジともゲインを6dB向上させることができます。

3個のアナログ式大型パワーメーターを搭載しています。
メーター切替スイッチによって6チャンネル個々のモニターが可能です。また、メーターの動作と照明をON/OFFするボタンも装備しています。

フロントパネル側にバランスとアンバランスの入力切替スイッチを装備しています。

Yラグやバナナプラグに対応した大型スピーカー端子を装備しています。

機種の定格

型式	マルチチャンネルパワーアンプ
定格連続平均出力(20Hz～20kHz間)	6ch仕様時 　4Ω:200W/ch 　6Ω:170W/ch 　8Ω:150W/ch 3ch仕様時(任意の3ch使用) 　4Ω:240W/ch 　6Ω:200W/ch 　8Ω:160W/ch 3chブリッジ仕様時(B+Right、D+C、A+Left) 　6Ω:450W/ch(音楽信号に限る) 　8Ω:420W/ch 2ch仕様時(任意の2ch使用) 　4Ω:250W/ch 　6Ω:210W/ch 　8Ω:170W/ch 2chブリッジ仕様時(B+Right、A+Left) 　6Ω:530W/ch(音楽信号に限る) 　8Ω:450W/ch
全高調波歪率	6ch仕様時:0.1%(4～8Ω負荷) 3chブリッジ仕様時:0.1%(6～16Ω負荷)
IM歪率	0.003%
周波数特性(全てのチャンネルにおいて、4Ω時)	20Hz～20kHz +0 -0.2dB(定格連続出力時) 2Hz～80kHz +0 -3.0dB(1W出力時)
ゲイン(利得、全てのチャンネルにおいて)	28.0dB(Normal/Bridge) 34.0dB(Normal+6dB/Bridge+6dB)
負荷インピーダンス	6ch仕様時:4～16Ω 3chブリッジ仕様時:6～16Ω ※ブリッジ接続の6Ω負荷は音楽信号に限る
ダンピング・ファクター	ノーマル仕様時:150(50Hz) ブリッジ仕様時:75(50Hz)
入力感度(8Ω負荷)	6ch仕様時 　1.38V(定格連続平均出力時) 　0.11V(1W出力時) 3chブリッジ仕様時 　2.31V(定格連続平均出力時) 　0.11V(1W出力時)
入力インピーダンス	バランス:40kΩ アンバランス:20kΩ
S/N(A補正、入力ショート)	100dB(定格連続平均出力時)
パワーメーター	-40dB～+3dB(dB/%表示)対数圧縮型、表示消灯機能付き
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	48W(無入力時) 275W(電気用品安全法) 1,125W(8Ω定格出力時)
最大外形寸法	幅465x高さ180x奥行418mm
重量	25.8kg