Accuphase P-450
¥380,000(1997年4月発売)
解説
アキュフェーズが蓄積してきたパワーアンプの技術を結集し、パーツ一つ一つを吟味した最高グレードの素子と、カレント・フィードバック増幅回路を採用したステレオパワーアンプ。
出力段には、コレクター損失150W、コレクター電流15Aの新開発ハイパワートランジスタを採用しています。
この素子は周波数特性、電流増幅率リニアリティ、スイッチング等の諸特性で優れた特長を持っており、これを4-パラレルプッシュプルで構成し、アルミダイキャスト製の大型ヒートシンクに取り付ける事で、効率的な放熱処理を行い、安定して大出力を実現しています。
出力信号を電流の形で帰還するカレント・フィードバック(電流帰還型)増幅回路を採用しています。
この回路の動作原理は、まず帰還側の入力端子のインピーダンスを下げて電流を検出します。その電流をトランス・インピーダンス増幅器でI-V(電流-電圧)変換し、出力信号を作っています。
この回路では帰還入力部分のインピーダンスが極めて低いため、位相回転が発生し難く、位相補償の必要が殆どありません。このため、少量のNFBで諸特性を大幅に改善できるため、立ち上がり等の動特性に優れ、自然なエネルギー応答により音質を改善しています。
切替スイッチを搭載しており、ブリッジ接続によりモノラルパワーアンプとして使用することができます。
ブリッジ接続は、2チャンネルのアンプに同じ電圧で相互に逆位相の信号を入力し、両アンプの出力端にスピーカーを接続する方法です。これにより、音質改善と大出力を得ることが可能です。
入力端子には、機器間の信号ケーブルから混入する妨害雑音を排除するため、バランス入力端子を設けています。
電源部には、約660VAの大型トロイダルトランスを採用しています。
トロイダルトランスはドーナツ状のコアに太い銅線を巻くため、非常にインピーダンスが低く、小型で変換効率が高いなどの特徴を持っています。P-450では特にスーパーリング型のトランスを採用しており、鉄芯の断面が円に近く、コイルも円形に近く巻け密着性が良いため、ロスが少なく、重量が軽くでき、負荷時のリーケージフラックスが小さく、唸り・振動も小さくなっています。また、鉄芯の断面積を小さく、銅線の重量比率を大きくすることにより、鉄損やインラッシュ電流が小さいという特徴も持っています。
アルミ電解コンデンサーには47,000μF/80WVの大容量型を2個搭載しています。
信号が通過する部品類には純度の高い銅を用いており、P-450ではその上から金によるプレート化が施されています。これにより、大きなリップル電流が流れるアース板やコンデンサー端子、入力端子、スピーカー端子など音質の向上を図っています。
特に使用頻度の高い入力端子は、通常の金プレートでは薄いため、約10倍の厚みを持たせた産業機器用処理を施し、信頼性向上を図っています。
対数圧縮により広いパワーレンジを直読できるアナログ式の大型パワーメーターを搭載しています。
メーターの動作と照明をon/offするスイッチも装備しています。
極太スピーカーケーブルにも対応した大型スピーカー端子を採用しています。
素材には真鍮無垢材を使用しており、削り出して金プレート化し、その上に絶縁目的のモールドキャップを被せてあります。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ | ||||
定格連続平均出力(20Hz~20kHz) |
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全高調波歪率 |
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IM歪率 | 0.003% | ||||
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.2dB(定格連続平均出力時) 0.5Hz~160kHz +0 -3.0dB(1W出力時) |
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ゲイン | 28.0dB(ステレオ/モノラル仕様時共) | ||||
負荷インピーダンス | ステレオ仕様時:2Ω~16Ω モノラル仕様時(ブリッジ接続):4Ω~16Ω |
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ダンピング・ファクター | ステレオ仕様時:400 モノラル仕様時:200 |
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入力感度(8Ω負荷時) |
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入力インピーダンス | アンバランス入力:20kΩ バランス入力:40kΩ |
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S/N(A補正、入力ショート) | 120dB(定格連続平均出力時) | ||||
出力メーター | 対数圧縮型ピークレベル表示 dB目盛および8Ω負荷時の出力直読 |
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電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 125W(無入力時) 450W(電気用品取締法) 630W(8Ω負荷定格出力時) |
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最大外形寸法 | 幅475x高さ211x奥行465mm | ||||
重量 | 30.6kg |