
Accuphase M-8000
¥1,100,000(1台、2002年8月発売)
解説
理想の定電圧駆動を求めて開発されたハイパワーモノラルパワーアンプ。
出力段にはパワートランジスタを22組採用しており、並列駆動する事で総電力余裕6,600Wを実現しています。これにより1Ωの超低負荷でも2,000Wの出力を可能にする共に、負荷インピーダンスに対してリニアな理想的な定電圧駆動を実現しています。
出力素子にはコレクター損失150W、コレクター電流15Aのパワートランジスタを採用しています。また、アルミダイキャストによる大型ヒートシンクを組み合わせる事で効率的な放熱処理を行っています。
電源部には定格1.5kVA/最大3kVAの大容量スーパーリング型トロイダルトランスと40,000uFx2のアルミ電解コンデンサーを採用しています。
このトランスは熱伝導に優れた防振効果の高い充填剤を用いて放熱フィン付きアルミダイキャストケースに収めることで外部への影響を遮断しています。
入力部にはアキュフェーズ独自のMCS(Multiple Circuit Summing-up)回路を採用しています。
この回路では入力信号を増幅するユニットを3回路並列接続する事で低雑音化を図っており、S/N比や歪率などの諸特性を大幅に改善しています。
MCS回路およびドライブ回路の前段に直流安定化電源を搭載しています。
パワーアンプで大振幅に増幅された信号が、入力部に電源を通してノイズとして混入しないように前段回路を一定電圧で固定しています。これにより小信号増幅部における電源の質が改善され、高いS/N比を実現しています。さらに電源変動や温度変化に対しても安定した出力を得ています。
増幅方式には電流帰還型増幅回路を採用しています。
この回路では出力信号を電流の形で帰還しています。まず、帰還側の入力端子のインピーダンスを下げて電流を検出します。そして電流をトランス・インピーダンス増幅器でI-V変換し、出力信号を作っています。この方式では帰還入力部分のインピーダンスが極めて低いため、位相回転が発生しにくく、位相補償の必要がほとんど無いという特長を持っています。このため少量のNFBで諸特性を大幅に改善でき、立ち上がり等の動特性に優れ、音質的にも自然なエネルギー応答を得ています。
信号伝送回路には、テフロン基材(ガラス布フッ素樹脂基材)によるプリント基板を採用しています。
テフロン基材は最も低い比誘電率と誘電正接を持ち、高周波特性が優れ、耐熱性も良好な素材です。M-8000では銅箔面に金プレートを施す事でさらなる音質向上を図っています。
プリント基板の銅箔面だけでなく、信号経路の主要部品類にも金プレート化が施されています。
位相切替スイッチを装備しています。
バランス入力端子を装備しています。
2台をブリッジ接続する事でさらに大出力のモノラルパワーアンプとしても使用できます。
機種の定格
型式 | モノラルパワーアンプ |
定格連続平均出力(20Hz~20kHz間) | 2,000W(1Ω、音楽信号に限る) 1,000W(2Ω) 500W(4Ω) 250W(8Ω) ※ブリッジ接続時(2台使用) 4,000W(2Ω、音楽信号に限る) 2,000W(4Ω) 1,000W(8Ω) |
全高調波歪率 | 0.05%(2Ω負荷) 0.03%(4~16Ω負荷) |
IM歪率 | 0.003% |
周波数特性 | 定格連続平均出力時:20Hz~20kHz +0 -0.2dB 1W出力時:0.5Hz~160kHz +0 -3.0dB |
ゲイン(利得) | 28.0dB |
負荷インピーダンス | 連続出力時:2Ω~16Ω 音楽信号時:1Ω~16Ω |
ダンピングファクター | 400 |
入力感度(8Ω負荷) | 1.78V(定格連続平均出力時) 0.11V(1W出力時) |
入力インピーダンス | バランス:40kΩ アンバランス:20kΩ |
S/N(A-補正) | 125dB(入力ショート、定格連続平均出力時) |
出力メーター | 対数圧縮型、出力dBと%表示 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 170W(無入力時) 853W(電気用品安全法) 550W(8Ω定格出力時) |
外形寸法 | 幅465x高さ258x奥行545mm |
重量 | 49.0kg |